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東京一極集中是正『新しい地方経済・生活環境創生本部』の下、基本構想を策定する(政府答弁)

第214回国会(臨時会)(24年10月1日~10月9日)の参議院の質問主意書を眺めていて、東京一極集中に関する質問主意書があることに気が付いた。

牧山ひろえ 参議院議員(立憲)が10月9日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

読みやすいように、一問一答形式に再構成。

※時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

牧山弘惠 参議院議員(立憲)

牧山弘惠 参議院議員
参議院 本会議 2024年10月8日動画より)

牧山弘惠 参議院議員
(3期、立憲民主党、アメリカ合衆国弁護士、トーマス・クーリー法科大学院修了、60歳)

現在、東京には、人口のほか、大部分の政府機関や企業本社が集中している。しかし、一世代内で南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大地震が首都圏を直撃する可能性は極めて高く、さらに、東京は富士山の噴火や大規模水害等、複数の災害リスクを抱えていることを忘れるべきではない。

ちなみに、南海トラフ巨大地震は「40年以内に90%」、首都直下地震は「30年以内に70%」という発生確率が示され、また、富士山は30年に1回の頻度で噴火すると言われるが、宝永噴火以来既に300年以上経過している。しかもこれらの巨大リスクは連動する可能性さえ指摘されている。


東京一極集中による災害時のリスクには、膨大な建物被害と人的被害、医療機関等の不足、帰宅困難者による混乱や2次災害、避難所不足、情報通信の停止、密集市街地における火災発生時の逃げ惑いの危険といった人口や資産の集中によるリスクがある。

これに加え、首都中枢機能への影響によるリスクや、地域・地盤の脆弱性によるリスクなど、住民の生命、生活及び国家運営にも深刻な影響を及ぼす危険性が数多く指摘されている。


こうした東京一極集中の危険性については指摘されて久しくなったものの、一向に是正される様子がない。

令和6年1月に総務省が公表した住民基本台帳人口移動報告(令和5年)によると、東京圏は12万60515人の転入超過になったとされる。また、同年4月に総務省が公表した人口推計の結果(令和5年10月1日現在)によると、47都道府県で人口増加は東京のみになるなど、一極集中がむしろ加速している実態が浮き彫りになった。中央省庁の地方移転や首都機能のバックアップについても、文化庁の移転以来、目立った動きが見えない

以上を踏まえて、以下質問する。

問1:(東京一極集中の是正)具体的にどのような対策を講ずる?

自然災害に対する脆弱性を依然として抱えている東京の現状をこれ以上放置することは、余りにもリスクに目を塞いだ行為である。令和6年6月に政府が取りまとめた「地方創生10年の取組と今後の推進方向」では、「人口減少に歯止めをかけ、東京圏への過度な一極集中を是正するための対策は、我が国全体で戦略的に挑戦すべき課題」と指摘されており、国として、即座に実効性のある施策を講ずる必要があると考えるが、具体的にどのような対策を講ずるつもりか示されたい。

答1:「新しい地方経済・生活環境創生本部」、基本構想を策定する

お尋ねの「即座に実効性のある施策」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、石破内閣総理大臣が、令和6年10月4日の所信表明演説において、「地域の多様なステークホルダーが知恵を出し合い、地域の可能性を最大限に引き出し、都市に住む人も地方に住む人も、すべての人に安心と安全を保障し、希望と幸せを実感する社会。それが地方創生の精神です。」と述べたところであり、その実現に向け、新しい地方経済・生活環境創生本部の下で、東京圏への一極集中の是正の観点も含め、今後10年間集中的に取り組むべき施策に係る基本構想を策定することとしている


同構想の内容については、今後、同本部における議論の中で検討を進めていくこととしており、現時点でお尋ねについてお答えすることは困難である。

問2:富士山噴火、対策・計画策定等は行われている?

首都直下地震及び南海トラフ巨大地震については、令和5年から国による被害想定の見直しが始まっているが、この進捗状況を示されたい


また、地震災害に加え、東京において想定される富士山噴火や水害等による被害の現状に即したシミュレーション及びそれに基づく対策、計画策定等は行われているのか示されたい

答2:令和2年4月に報告書を取りまとめた

前段のお尋ねについて、政府としては、首都直下地震を想定した地震対策について、首都直下地震対策特別措置法(平成25年法律第88号)第4条第1項の規定’に基づき策定した「首都直下地震緊急対策推進基本計画」(平成27年3月31日閣議決定)、同法第5条第1項の規定に基づき策定した「政府業務継続計画(首都直下地震対策)」(平成26年2月28日閣議決定)等に基づき、対策を推進しているところである。


御指摘の「被害想定の見直し」については、「中央防災会議防災対策実行会議」に設置された「首都直下地震対策検討ワーキンググループ」において、現在、検討を行っているところである。


また、南海トラフ地震を想定した地震対策については、南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法(平成14年法律第92号)第4条第1項の規定に基づき策定した「南海トラフ地震防災対策推進基本計画」(平成26年2月28日中央防災会議決定、令和3年5月25日1部変更)等に基づき、対策を推進しているところである。


御指摘の「被害想定の見直し」については、「中央防災会議防災対策実行会議」に設置された「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」において、現在、検討を行っているところである。


後段のお尋ねについては、「東京において想定される富士山噴火や水害等による被害の現状に即したシミユレーション及びそれに基づく対策、計画策定等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「富士山噴火」を想定した首都圏における大規模火山噴火対策については、「中央防災会議防災対策実行会議」に設置された「大規模噴火時の広域降灰対策検討ワーキンググループ」において、富士山の宝永噴火規模の噴火をモデルケースにして、複数の降灰分布を推定し、令和2年4月に報告書を取りまとめたところである。


政府においては、現在、当該報告書の内容も踏まえて、首都圏における大規模火山噴火対策について更なる検討を行っているところである。


また、首都圏における水害対策については、例えば、水防法(昭和24年法律第193号)第10条第2項の規定に基づき、国土交通大臣が指定した荒川については、同法第14条第1項の規定に基づき、国土交通大臣が同項に規定する想定最大規模降雨により同川が氾濫した場合に浸水が想定される区域を同項に規定する洪水浸水想定区域として指定しており、同法第15条第1項の規定に基づき、当該洪水浸水想定区域に係る市町村防災会議が同区域に係る同項に規定する市町村地域防災計画において同区域における円滑かつ迅速な避難の確保等に必要な事項を定めるとともに、同条第3項の規定に基づき、同区域をその区域に含む市区町の長がハザードマップを作成し、住民に周知する等の対策を進めている。

雑感

石破茂氏が「東京一極集中」の解消を掲げて衆院を解散し、「日本創生解散」と命名したのは興味深い動きだ。石破氏は以前から地方創生に力を入れており、自民党総裁選でもその姿勢を強調していた。「新しい地方経済・生活環境創生本部」の設置は、その政策を加速させるための一環。

地方創生に向けた取り組みは、長年の課題であり、特に東京への人口集中と地方の過疎化が続く中で、バランスの取れた国土の発展が求められている。衆院選挙の結果が今後の政策実行に大きく影響を与えるため、選挙結果次第で地方創生がどこまで進むかが注目される……。

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