公益財団法人日本デザイン振興会は10月16日、2024年度のグッドデザイン賞の受賞結果を発表。5,773件を対象に審査し、1,579件(27%)の受賞を決定。
23区の分譲マンションで受賞した主な物件は4件(次図)。
※総戸数の多い順
グランリビオ浜田山
(C)JDP GOOD DESIGN AWARD
受賞企業:日鉄興和不動産/東京建物/安田不動産
物件概要:杉並区、3階建て、84戸、2023年10月竣工
東京都杉並区浜田山、環境の良い住宅地に5000㎡程ある広大な敷地である。
以前建っていた建築は社員寮で緑地面積が広く、周辺住宅に対しても環境の良い場所を提供していたことから、分譲集合住宅として建て替える際も緑地面積を十分に確保し、既存樹木である8.6m高のヤマボウシ・ヤマモモの保全を行い、生物多様性調査に基づいた在来種率90%以上の植栽計画・既存樹木の継承は大変優れた計画である。
今後も定期的なメンテナンスを行い、住人や周辺に対して良好な環境を提供していくことが期待されるところである。
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クレヴィア新御徒町
(C)JDP GOOD DESIGN AWARD
受賞企業:伊藤忠都市開発
物件概要:台東区、14階建て、52戸、2023年12月竣工
高層の集合住宅は、事業性や構造計画、設備計画などに高いハードルがあるため、とかく画一的な住戸構成に陥りやすい。
しかしこの作品は、あえて1層減らすことで高い階高を確保し、従来の事業性に新たな評価軸を導入した点で、極めて野心的である。さらに様々な規模の住戸、メゾネット住戸なども組み込み、多様性と快適性を高い次元で実現している。
街は本来、多様な人々の多彩な暮らしが展開して初めて魅力的なものになる。その意味で、こうした高層集合住宅が丁寧に作られていくことは、大いに歓迎したい。
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パークホームズ西池袋
(C)JDP GOOD DESIGN AWARD
受賞企業:三井不動産レジデンシャル
物件概要:豊島区、5階建て、40戸、2023年11月竣工
レンガ積みの列柱とガラス手摺が落ち着いた外観を作り出しており、好感が持てる。
マテリアルや色彩は周辺の歴史ある建築群から抽出したものを選んでおり、景観への高い配慮が感じられる。 また、風除室を拡大したウェルカムギャラリーや廊下を拡張したコリドーガーデンなど、限られた敷地条件の中で、あえて広いエントランスホールを確保するのではなく、動線を長くとることで豊かさを演出するという工夫は評価できる。
隣地側に設けられた塀がやや閉鎖的である点は工夫の余地があるように思うが、全体としては質の高い集合住宅であると言える。
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ピアース用賀テラス
(C)JDP GOOD DESIGN AWARD
受賞企業:モリモト
物件概要:世田谷区、4階建て、29戸、2023年12月竣工
高速道路の高架に隣接し、騒音や振動が懸念される状況に対して、住空間を守るプランニングとともに、外観デザインの明快な構成と素材選択によって、上質な存在感が醸し出されている点が評価された。
このような状況ではともすれば周辺に対して閉鎖的な集合住宅になりがちであるが、ここではネガティブな状況をデザインの力で調停している。このようなデザインによって街への帰属意識を育てることに繋がるであろう。
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