港区議会「24年第3回定例会」本会議の代表・一般質問(9月12日・13日)で、羽田新ルートに関して、3名の質疑応答があった。
議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約2千500文字)しておいた。
※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
さいき陽平 議員(みなと未来会議)【代表質問】9月12日
斎木陽平 議員(こどもの党/みなと未来会議、区議1期、慶応院卒、32歳)
斎木:固定化回避にどう向き合うのか、改めて決意を
次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避についてお伺いをいたします。
以前より、港区としては独自の騒音調査などを実施し、国土交通省に情報提供をするとともに、羽田空港新飛行経路の固定化回避に係る技術的方策検討会での取り組みを求めてまいりました。
また、港区議会は国土交通省に対し、騒音の現状と区民からの不安の声を真摯に受け止め、港区の上空を低空飛行する新飛行経路の固定化回避のため空港の管制方法の見直しや地方空港への分散などの選択肢を早急かつ具体的に検討することを強く求める意見書も全会派一致で提出してまいりました。
しかし、残念ながら依然として、区民から羽田空港新飛行経路の固定化回避については検討が十分に進んでいると言えず、区民から様々な要望や問い合わせは寄せられ続けております。
港区のホームページでは、区民の声の回答として「引き続き国の責任において区民の不安や疑問の払拭に向けたきめ細やかな情報提供や丁寧な説明を行うとともに、航空技術の進展に伴う新たな取り組み、海上ルートの活用、地方空港への分散化など新飛行経路固定化回避に係る検討を加速するよう強く要請してまいります」と述べております。
しかし、令和4年8月に第5回羽田新飛行経路の固定化回避に係る技術的方策検討会を実施して以降、令和5年秋頃に予定していた第6回の検討会が、1年経った今でも未だに開催をしておりません。
この第6回の会合は、検討会の基準素案が示される重要な会合であり、港区の住民にとっても極めて重要な意味を持つことは繰り返し指摘してきたところでございます。国土交通省自身が示したスケジュールを遵守し、1日も早く検討会を開くことが望ましいと考えております。
こうした区民の声を代弁すべく、清家区長は就任早々に議長とともに国土交通省に対し要望書を提出してきたと伺っております。
区民の声を届けていただいたことを高く評価すると同時に、区長としてこの羽田新飛行経路の固定化回避にどう向き合うのか、改めて決意をお聞かせください。
区長:固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります
清家愛 港区長(1期、元区議4期、青学卒、元産経新聞社会部記者、49歳)
次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避に向けた取り組みについてのお尋ねです。
私は8月28日に港区議会議長とともに国土交通省を訪問し、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会および住民説明会の早期開催等を要請してまいりました。
今後も、区は国に対して、海上ルートの活用を含め、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります。
兵藤ゆうこ議員(立憲)【代表質問】9月12日
(立憲、区議3期、美容業界出身、東海大卒、57歳)
兵藤:(固定化回避検討会の早期開催)今後どのように行動?
次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避に向けた取り組みについてです。
区長は羽田空港新飛行経路の固定化回避の早期実現に向けた取り組みを公約に掲げました。前回の定例会でも多数の会派が羽田空港飛行経路の問題に触れ、区長も早期実現に向けていくことを述べられました。
先日、「渋谷の空を守る会」の共同代表であり、「羽田問題訴訟の会」の代表の方が、区長に「羽田問題の現況」という資料を手渡しました。
内容は、運用前に国土交通省が住民説明会で使用した「羽田空港のこれから」の説明で、海上ルートでは1時間あたり離発着は82回が限度なので、それを増やすために北から直線着陸するとの説明や、航空管制機関の通知で積極的に公開していない内容。
また、国会議員の質問主意書と内閣答弁書において、全国7空港における部品欠落について、83.4kgや97.3kgの欠落が明らかになっていますが、その部品は発見されていないなどの事実があるという中で飛行が繰り返されているということです。
区長は、議長とともに8月28日に羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の開催等の要請について、国土交通省に行かれました。内容は、第6回羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の早期開催について、早期開催に向けた丁寧な説明、教室型住民説明会の早期開催についてでした。
このように即実行する区長ですが、この要請に対して国土交通省からの回答がどのようなものだったのか、またその回答を受け、今後どのように行動していくのかお伺いします。
区長:固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります
次に、羽田空港新飛行経路の固定化回避に向けた取り組みについてのお尋ねです。
私は8月28日に港区議会議長とともに国土交通省を訪問し、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の早期開催等を要請してまいりました。
国土交通省からは「できるだけ早く検討会を開催するとともに、固定化回避について引き続き検討を行うことや、住民の皆様への説明方法を検討する」との回答をいただきました。
今後も、区は国に対して、海上ルートの活用を含め、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります。
福島宏子議員(共産)【一般質問】9月13日
福島宏子議員(共産党、区議1期、聖徳学園保育士専門学校卒、保育士、58歳)
福島:元の海上ルートに戻すよう国に要請すること
羽田都心低空飛行の運用中止を国に求めることについてです。
第2回定例会での答弁の通り、区長は議長とともに8月28日、国土交通省を訪れ、固定化回避に係る技術的方策検討会の早期開催と速やかな周知、教室型の住民説明会の早期開催を要請されました。ありがとうございます。
それでも、連日、飛行機は飛んでいます。午後3時から7時の4時間で騒音発生回数は100回を超える日があります。次から次へと、絶え間なく続く騒音に、その下で暮らす住民は我慢の限界です。落下物の危険も後を絶ちません。
何よりも、住民の願いは「飛行機を飛ばさないで欲しい」ということです。固定化回避というのであれば、都心上空を飛ぶ現在の着陸ルートの運用を中止して、元の海上ルートに戻すよう国に要請すること、答弁を求めます。
区長:固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります
次に、羽田空港新飛行経路を海上ルートに戻すよう要請することについてのお尋ねです。私は8月28日に港区議会議長とともに国土交通省を訪問し、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会および住民説明会の早期開催等を要請してまいりました。
今後も、区は国に対して、海上ルートの活用を含め、新飛行経路の固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります。
雑感(前回に続き、清家区長の残念な答弁)
清家区長の選挙公約は、「羽田空港新ルート固定化回避」の早期実現!だった。官僚が編み出した「固定化回避」を掲げた段階ですでに怪しかった。
区議時代には幾度も羽田新ルート問題を取り上げていたが、「(固定化回避の検討加速)是非、強く進めていただくようお願いいたします」といった、発言にとどまっていた(羽田新ルートに係る区議会での過去発言)。
前回の定例会(6月)の答弁では、「固定化回避検討会の開催、早い時期に国交省に伺い強く要請」する旨を繰り返し約束していたので、今回の定例会(9月)が始まる前の8月28日、清家区長と区議会議長は要請文書を国交省に持参。最低限の約束は守ったかたち。
ただ、前区長も22年3月18日に国土交通省を訪れ、騒音等の対策や新飛行ルートの固定化回避の検討に役立てるよう、国に要請済みなので、何ら代わり映えしない。
今回3名の質問に対して、「固定化回避に向けた検討を加速するよう強く求めてまいります」といった棒読みのコピペ答弁もまた、武井雅昭 前区長と代わり映えしない内容であった。
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