不動産市況アナリスト・幸田昌則氏の新著『不動産バブル 静かな崩壊』日経BP(2024/3/20) を読了。
データ(図表)を元に、これからの日本の不動産市況を解説しているので、分かりやすい。
※朱書きは、私のメモ。
中古市場に見られるバブル崩壊の象徴的な現象
2023年、年明け後、売れ行きの悪化が鮮明となり、市場の在庫が急増。
中古市場に見られるバブル崩壊の象徴的な現象
新築住宅市場は、デベロッパー自らの意思で供給量や価格が決定できるが、中古流通市場の動向は、その時の市場の実需の需給状況を反映しているので、実態を正確に把握するのに適している。バブル崩壊を検証するための好例として紹介してみよう。
まず、首都圏の中古マンション市場(図表2-35)で、この約10年間のトレンドを見ると、2012年の安倍政権誕生時は、市況は低迷し、在庫は高水準となっていた(1期)。
しかし、その後の積極的な金融緩和政策によって市況は好転し、拡大を続けて、2015年頃まで一気に在庫は減少した(2期)。
その後、需要の一巡もあって、コロナ禍直前2020年春頃まで在庫の増加が続いた。筆者も、この時点で3回目の住宅バブルの崩壊を指摘した(3期)。
しかし、2019年にパンデミックという想定しないことが起きた。コロナ感染拡大によって、突然、大都市圈を中心として住宅特需が生まれて、住宅市場は大活況が続き、品不足の状態が2022年秋頃まで続き、その間、価格は上昇の一途を辿った(4期)。
その後、2023年、年明け後、売れ行きの悪化が鮮明となり、市場の在庫が急増した。その在庫の中には、不動産事業者の物件も数多く見られるようになった(5期)。
(P85-86/第2章 水面下で静かに進行するバブル崩壊)
※本書に掲載されたモノクロの棒グラフは見にくいので、カラーの面グラフを作成するとともに、1期~5期等を追記(ピンク色)した(次図)。
※東日本不動産流通機構が毎月発表している「月例マーケットウォッチ」データを元に作成。
本書の構成
9章構成。全221頁。
- 序文 変化が始まった不動産市況
- 第1章 最大、最長のバブルはなぜ生まれたか
- 第2章 水面下で静かに進行するバブル崩壊
- 第3章 「格差社会」が市場の二極化を加速させた
- 第4章 高齢者と企業が不動産市場を活性化させる
- 第5章 人口減少社会が不動産市場を変える
- 第6章 デジタル化と省エネ化の革命
- 第7章 気候変動・自然災害を想定したリスク管理
- 第8章 2024年、これからの不動産のリスクと展望
- 第9章 不動産についての12の新ルール
Amazon⇒『不動産バブル 静かな崩壊』
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