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大規模地震後、復旧対策の優先順位!高木真理氏(立憲)参院災害対策委

参院・災害対策特別委員会において4月14日、高木真理 参議院議員(立憲)が「予想される大規模地震災害への対応について」取り上げていた。
会議録ネット中継録画をもとに、整理しておいた(約5千500文字)。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

予想される大規模地震災害への対応について

高木:首都直下地震、南海トラフ地震の被害想定額と対GDP比

高木真理 参議院議員
高木真理 参議院議員
(立憲民主党、1期、元東京銀行職員、東大法卒、55歳)

立憲民主・社民の高木真理です。大臣所信に対する質疑させていただきたいと思います。

まず1点目、予想される大規模地震災害への対応についてということで、首都直下、南海トラフの被害想定額が現実化した場合の影響について考慮された計画になっているかという観点でいろいろ伺っていきたいというふうに思います。


今日4月14日は、7年前に熊本地震が起きた日でもあります。被災されて7年間大変な思いをされてきた方々に改めてお見舞いを申し上げたいと思います。

そして、今年は関東大震災から100年という特別な年です。

地震には周期があって、関東大震災から第2次世界大戦終戦辺りまで比較的大きな地震がたくさん来ておりました。高度成長期は地震が来ない中でどんどんと新しい町づくりを進めていけたので、震災からの復旧復興コストというのを掛けずに成長に専念することができた時期でもあります。これが成長をより後押しもできたわけですけれども、またこの局面で地震が多く発生する時期に掛かってきております。


南海トラフ地震については今後30年以内に発生する確率が70から80%であり、昭和東南海地震、昭和南海地震の発生から約80年が経過していることから切迫性の高い状態でもあります。私は東日本大震災を経験して巨大地震の恐ろしさを痛感しましたし、まだ復興も、私たちそういった経験もしたけれども、まだ復興も道半ばというところであります。しかし、首都直下や南海トラフでは、被害想定額が東日本大震災をはるかに超える規模ということであります。


そこで伺いますが、東日本大震災の被害額と対GDP比、首都直下地震、南海トラフ地震の被害想定額と対GDP比、これ幾らになるか端的に伺います。

内閣府政策統括官:首都直下地震で約17%、南海トラフ地震で約38%

官榊真一内閣府政策統括官
榊真一 内閣府政策統括官
(1988年建設省入省、東大法卒、58歳)

お答えを申し上げます。
東日本大震災における被害額につきましては、建物やライフライン施設等の資産の被害額が約16兆9000億円に上りますことを平成23年6月に内閣府が公表しておりますが、これは当時の名目GDP比で約3%となっております。


また、内閣府が公表しております首都直下地震と南海トラフ地震の被害想定において資産の被害に着目をした経済被害額は、首都直下地震で最大約47兆4000億円、南海トラフ地震で最大約169兆5000億円と推計されております。これらの被害額は2022年の名目GDP比で、首都直下地震は約9%、南海トラフ地震は約30%となっております。


また、首都直下地震と南海トラフ地震につきましては、これらの建築物やライフライン施設等の資産の被害想定額に加えまして、生産とサービスの低下についても被害額の推計を行っております。

それぞれ、首都直下地震で最大約47兆9000億円、南海トラフ地震で最大約44兆7000億円と推計されており、これらを含めた場合のGDP比は、首都直下地震で約17%、南海トラフ地震で約38%となります。

高木:救援に向かえる体制はどのくらい想定?

ありがとうございました。
東日本大震災であれだけ大変な思いをしたわけでありますが、資産に着目してということでありましたけれど、3%であるところが、資産に注目しただけでも南海トラフだと先ほど30%ぐらいということで、サービスなども含めると南海トラフは38%、約4割にもなるということで、国の形が変わってしまいかねないというか、大変な事態になろうかと思います。

被害が少しでも少なく済むように耐震化を進める、避難訓練のソフトを充実させると、備えをするということは大事なんですけれども、これだけのスケールの地震被害となりますと、それに備える想定というのもどのくらいちゃんと人間の想像力が及ぶかというのも難しいことになってくるかと思います。


そこで伺います。
これだけの全国的な影響も出てくる巨大地震が想定されるわけですが、被災地への支援というのもこれまでの大地震のようにいかない可能性が出てくるかと思います。

例えば、初動期の救命ということでありますけれども、相当な面積が被災する、南海トラフの場合。そうすると、被災していない地域から応援が駆け付けるといってもかなり薄くなってしまうのではないか。ここを効率的になるべく救援に向かえる体制はどのくらい想定されているのかということですね。


それから、食料なんかも、3日間は自助の範囲で、自分たちでストックしておいたもの、あるいは自治体なども備蓄をしておいたもの、こういったもので耐えますけれども、今、4日目以降プッシュ型で政府からの対応もある、あるいは8日目以降はプル型で要望を聞いてお届けいただけるというようなことで今までやってきておりますが、被災面積が大きいとそれだけの地域にちゃんと食料は届くのかということであったり、いろいろなことで影響を受けていると、実際、まあどのくらい長期化するかにもよりますけれども、届け続ける食料がちゃんと調達できるのかといったような問題もあろうかと思いますが、その辺りどうでしょうか。

内閣府政策統括官:自衛隊など、最大15万人規模の広域応援部隊

お答え申し上げます。
首都直下地震や南海トラフ地震による被害の発生を完全に防ぐということは困難ですが、できるだけその被害を軽減していくことを目指す必要があると考えております。

このため、例えば首都直下地震対策について申し上げますと、国では、首都直下地震緊急対策推進基本計画を策定し、想定される最大の死者数約2万3000人、これを10年間でおおむね5割減少させるなど、定量的な減災目標を設定するとともに、目標の達成、目標を達成するための実現方策を定めて、これを推進しているところであります。


また、実際に発災した場合に備えて、警察、消防、自衛隊の救助部隊の活動拠点や広域物資輸送拠点、緊急輸送ルート等をあらかじめ明確にし、人命救助のために重要な72時間を意識したタイムラインを明示した具体的な応急対策活動に関する計画を定めております。


この計画に基づき、災害発生時には、警察、消防、自衛隊など、最大15万人規模の広域応援部隊を活用するとともに、自治体や民間事業者と緊密に連携し、迅速に対応することとしております。さらに、支援物資の輸送につきましても、国が、被災自治体からの具体的な要請を待つことなく、食料等必要不可欠と見込まれる物資を調達し、被災地に向けて緊急輸送するプッシュ型支援を行うこととしております。


こうした広域応援部隊や支援物資等の輸送が迅速かつ円滑に行われますよう、計画では通行を確保すべき道路を緊急輸送ルートとして定めており、できるだけ速やかに通行の確保を図ることとしております。


内閣府といたしましては、各種訓練などを通じて計画の実効性を確保、向上していくとともに、関係省庁や自治体などと緊密に連携し、首都直下地震や南海トラフ地震に備えてまいります。

高木:何から優先に取り組んで復旧、全体的な取組?

なかなかそれだけの規模を想定するということが難しいと思いますので、今とても大切な基本のところをお答えをいただいていると思いますけれども、そうした規模になったときにも対応できる体制というのをしっかり御対応願いたいと思います。


次に、経済活動に大幅な影響が出ることへの対策について伺います。

これは、それだけの地域が被災をするとどんなダメージになるか分かりませんが、そこと取引をしているところなどの取引もできなくなる、あるいは、空港であったり港であったり道路であったり、そういったものが止まってしまうと、そうしたことの経済的な活動も止まっていく。


様々、かなり巨大な影響になってくるかと思いますけれども、そこをなるべくリスクを減らすために何から優先に取り組んで復旧させていくとか、そうした全体的な取組というのは想定されていますでしょうか

大臣:特措法に基づき基本計画を作成して、様々な対策を講じている

谷公一 内閣府特命担当大臣(防災)
谷公一  内閣府特命担当大臣(防災)
(自民党、7期、元兵庫県職員、明大卒、71歳)
世襲2世議員(谷洋一氏 ― 谷公一氏)

お答えをさせていただきます。
我が国の地震が活動期に入ったと言われて久しいわけでございますが、御指摘の首都直下地震や南海トラフ地震につきましては、大変発生確率が高い、また、一たび発生した場合には、資産の大変大きな被害だけではなくて、サプライチェーンの寸断などによる全国の経済への大変大きな甚大な影響が及ぶものと、これは想定をしているところであります。


このため、国においては、それぞれの特別措置法、具体的には、首都であるとか南海トラフ、あるいは日本海溝、千島海溝のそれぞれの特別措置法に基づき基本計画を作成して、様々な対策を講じているところであります。

首都直下地震対策南海トラフ地震防災対策日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震防災対策

例えば、首都直下地震につきましては、この基本計画に基づき、首都中枢機能の維持を図り、国民生活及び経済に及ぼす影響を最小化することを目的とした政府業務継続計画などを策定しているところであります。


この中には、内閣機能の維持であるとか、被災地域への対応、金融、経済の安定、国民の生活基盤の維持、防衛及び公共の安全と秩序の維持、並びに外交関係の処理を非常時優先業務として位置付けて、首都中枢機能の維持を図ることとしているところであります。


また、経済への二次的な影響を回避するため、例えば、ライフライン、インフラ関係の対策として、地震発生時にいわゆるライフラインの確保をするために耐震化を更に進めることとか、あるいは、発生後においては全国から要員や資機材の確保を行うなど、できる限り早い復旧に努めるといった災害応急対策の基本的な方針を基本計画において定めているところであります。


いずれにいたしましても、大規模災害発生時におきましては、内閣総理大臣を本部長とする緊急災害対策本部を設置して、一応想定はしておりますけれども、現実にどういう事態が起こるかも分かりません、そういったことも柔軟に考えながら、政府一体となった対応を取ってまいりたいと思います。

電力、通信等が使えなくなった場合の備え

高木:(デジタル技術不可)電力や通信が復旧までどのように補うか

ありがとうございます。
それでは次に、デジタル・防災技術の活用促進に対応した電力、通信等が使えなくなった場合の備えについて伺います。


このデジタル・防災技術の活用促進、大いに前に進めていただきたいと思います。被害の最小化、被災者支援の充実、やっぱりこれデジタル化で進めることができる部分が大きくあると思います。防災デジタルプラットフォームの構築、これも大臣所信にありましたけれども、是非頑張っていただきたいというふうに思いますけれども、1つ懸念があります。


それは、大地震は電力供給や通信を途絶させる可能性があるからでありまして、このデジタルという、電力の供給あるいは通信ということに頼ったところにいろいろな情報が集約されていると、それが使えなくなったときのダメージが大変大きいという問題があります。


非常電源などでバックアップを取る体制であったりとか、通信もなるべく復旧を早める体制などを取っているかとは思いますけれども、先ほど来申し上げている、南海トラフなどで発電所などにも大きなダメージが複数出たりした場合には、いわゆる非常電源で対応できる日数を超えて、復旧できないケースなども想定されるかと思います。


こうした、デジタルでやろうとしていることができない、デジタルではできないという場合に備えて、電力や通信が復旧するまでどのように補うか、そうしたことも考えていらっしゃるか、伺います。

内閣府政策統括官:地方公共団体のBCP支援を行ってまいりました

お答え申し上げます。
まず、国の中央省庁の電力、通信の確保につきましては、政府業務継続計画に基づいて対応しております。


電力につきましては、中央省庁の庁舎に対して電力供給設備の多重化の措置を講ずるとともに、非常用発電設備について非常時優先業務及び管理業務を1週間程度継続するために必要な燃料を確保することとしております。

また、通信につきましては、専用回線や衛星携帯電話等複数の通信手段の確保や、通信網の冗長化等の措置を講じることとしているところであります。


また、南海トラフ地震のお話もありましたが、地方公共団体におきましても、大規模な災害が発生した際、災害応急対策の主体として大変重要な役割を担っていただいております。このため、電力、通信等が途絶した場合にも的確に災害応急対策を行っていただけるよう事前に業務継続計画を定め、電力や通信手段を確保しておく必要があると考えております。


こうしたことから、内閣府では、大規模災害発生時における地方公共団体の業務継続の手引きなどを作成するとともに、消防庁始め関係省庁と連携し、市町村向けの研修を実施するなど、地方公共団体のBCP、業務継続計画策定に対する支援を行ってまいりました。


地方公共団体に対しては、具体的には、BCPに最低限定めておくべき重要な6要素をお示ししておりますが、特に、電力につきましては非常用発電機や燃料の備蓄、通信につきましては災害時優先電話や防災行政無線、衛星携帯電話等、多様な通信手段の確保などの備えを促してきているところであります。


引き続き、大規模災害時における電力や通信の確保も含めた公共団体の業務継続体制の強化を図ってまいりたいと存じます。

高木:BCP、まだまだ体制が十分でないところなどもあるかと

東日本大震災のときにも、本当に庁舎ごとあるいは担当者も津波に流されてしまったところなどはなかなかその地域の情報も入らないというようなことで、電力、通信が復旧しても難しい局面なども出てきたりもするかとも思いますし、あと、実際の自治体側では、先ほど、いろんな対策を取るようにBCPのことなども促していただいているということでありましたけれども、まだまだ体制が十分でないところなどもあるかと思いますので、是非そちらの取組もお願いをしたいと思います。

雑感

事前に公開されていた高木議員の質疑項目のひとつに「大規模地震後の経済活動への影響軽減のための復旧対策における優先順位想定の在り方」があった。

首都直下地震や南海トラフ地震で日本中がガタガタになっているときに、どのような優先順位で復興対策が行われるのか、とても気になっていた。

5月16日に公開された議事録には、谷公一  内閣府特命担当大臣(防災)は次のように答弁していた。

資産の大変大きな被害だけではなくて、サプライチェーンの寸断などによる全国の経済への大変大きな甚大な影響が及ぶ(略)首都であるとか南海トラフ、あるいは日本海溝、千島海溝のそれぞれの特別措置法に基づき基本計画を作成して、様々な対策を講じているところであります。

日本経済が不安定化するなかで、国民生活は一定程度維持できるのか……。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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