参院・国土交通委員会において4月25日、田村智子 参議院議員(共産)がレオパレス21(以下、「レオ」)の欠陥住宅問題・賃料減額契約問題を追及していた。
ネット中継録画をもとに、テキスト化(約5千文字)しておいた。
※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。
- レオパレス21の欠陥住宅問題について
- 田村:レオの欠陥住宅問題、改修済みは?
- 住宅局長:令和5年3月31日時点で57,288(戸)
- 田村:レオが責任を持って全ての物件を修繕するよう指導監督!
- 大臣:全てについて改修等行うよう指導しております
- 田村:レオは、未修繕のまま契約期限が切れる物件のオーナーに、他の不動産業者との新たなサブリース契約をと進めている
- 住宅局長:引き続き先に、丁寧に説明を行っておくことが求められる
- 田村:修繕終了までレオとの契約、延長するよう指導すべき
- 住宅局長:国交省がサブリース契約の期間を延長させることは困難
- 田村:監査結果報告書、レオ側の一方的な主張に過ぎない?
- 住宅局長:(監査結果報告書があっても)改修をしなくていいということにはならない
- 田村:全戸修繕の計画を改めて出させることが必要
- 大臣:改修等を着実に進めるよう、厳しく指導してまいります
- オーナーとの賃料支払いの契約について
- 雑感
レオパレス21の欠陥住宅問題について
田村智子 参議院議員
(共産党、3期、 元日本民主青年同盟東京都委員会専従、早大卒、57歳)
田村:レオの欠陥住宅問題、改修済みは?
日本共産党の田村智子です。質問の順番にご配慮いただき、ありがとうございます。サブリース大手のレオパレス21の欠陥住宅問題について質問いたします。
レオパレス21は、屋根裏の壁である界壁のない集合住宅を建築し、2018年にオーナーの皆さんからの告発によって社会問題化しました。隣の部屋の音が響いてくるなど、防音だけでなく、防火、耐火上も重大な建築基準法違反の欠陥住宅で、国会でも何人もの議員の方が取り上げてきた問題です。
この問題で国交省が現時点で把握している建築基準法違反の物件数、また改修が必要な物件のうち、改修済みはどれだけか示してください。
住宅局長:令和5年3月31日時点で57,288(戸)
塩見英之 住宅局長(1990年建設省入省、早大政経卒、56歳)
お答え申し上げます。株式会社レオパレスが2018年に建築基準法上の不備が発覚するまでに供給してきた共同住宅は全部で3万9085棟ございます。
このうち2018年と2019年に小屋裏の界壁などに不備があるとして同社が確認したものにつきましては、当該共同住宅が立地する地域の特定行政庁にその旨の報告がされております。各特定行政庁におきましては、同社からの報告に基づきまして、建築基準法に違反する事実がないかの確認を行いました上で、違反が認められた物件につきましては、その旨の報告が国土交通省へされているところでございます。
その件数は2022年12月末の現在で1万5779棟となってございます。また、先生お尋ねの改修済みでございますけれども、これはレオパレス21社の方で改修済みの戸数の集計・把握をしてございますが、令和5年3月31日時点で57,288(戸)、これは住戸の戸数でございます。戸となってございます。
田村:レオが責任を持って全ての物件を修繕するよう指導監督!
1つの会社で分かってるだけで約1万6千棟なんですね。しかも、未だ調査も不十分で、被害者のオーナー会からは独自調査をすれば必ず欠陥が見つかるというふうにもお聞きしています。
問題発覚から5年が経過していますが、調査も改修も遅い。レオパレスが真摯に対応しているとは到底思えません。大臣、違法建築、欠陥住宅、これは当然修繕によって解消されるべきで、レオパレスが責任を持って全ての物件を修繕するよう指導監督するということでよろしいでしょうか。
大臣:全てについて改修等行うよう指導しております
斉藤鉄夫 国交大臣
(公明党、衆議院議員10期、東工大院卒、元清水建設技術研究所研究員、71歳)
国土交通省では、レオパレス21に対して、同社が施工した小屋裏界壁などに不備のある共同住宅の全てについて改修等行うよう指導しております。
界壁などの準耐火性能が建築基準法に定める基準に適合しているとするためには、国土交通大臣が指定した性能評価機関が大臣認可を受けた方法により試験を行い、これに合格の上で大臣認定を取得する必要があります。
従って、これによらない調査結果があったとしても、改修をしなくて良いということにはなりません。
田村:レオは、未修繕のまま契約期限が切れる物件のオーナーに、他の不動産業者との新たなサブリース契約をと進めている
レオパレス21は、2024年末までに修繕するというふうに言ってるんですけれども、今も欠陥住宅の状態で居住している方がおられるんです。オーナーからは、修繕済みの部屋に転居してもらうということも含めて、もっと早く修繕をしてほしいという声が上がっています。
これは、居住者の安全確保からも一刻も早い修繕が必要ではないかということをまず1点確認したいのと、いま少なくないオーナーが2024年末までにレオパレス21との建物賃貸借契約の期限が到来をいたします。レオパレス21は、未修繕のまま契約期限が切れる物件のオーナーに、他の不動産業者との新たなサブリース契約をと進めているということも聞いているんです。これは法令違反の勧めに当たるのではないのかというふうに考えます。この2点を確認したいと思います。
住宅局長:引き続き先に、丁寧に説明を行っておくことが求められる
お答えを申し上げます。国土交通省におきましては、株式会社レオパレス21が施工いたしました共同住宅のうち、小屋裏の界壁などに不備が認められるものにつきましては、現在お住まいの方がおられる物件も含めまして、同社において建築基準法に適合させるための改修等を行うよう指導しております。
この改修につきましては、2024年末までの完了を、明らかな不備があるものについては改修完了を目標に進めるように指導しておりますが、この目標についてもできるだけ早く実現できないかということについても併せて指導させていただいてございます。
この改修がまだ終わっていない物件につきまして、その管理の業務を株式会社レオパレス21から別の不動産業者に引き継がせるということにつきましては、この引き継ぎが行われました場合でありましても、これまで国土交通省が指導してきた改修等、これは引き続き株式会社レオパレスが行うことを求めることになります。このため、管理業務を引き継ぐこと自体に特段法令上の問題はないものと考えますが、後々、建物所有者と管理会社との間でトラブル等が生じないようにする必要がございます。
株式会社レオパレス21においては、新たに管理業務を引き継ぐ場合には、引き続き先となります不動産業者に対しまして、必要な改修等が未了であるということについて、丁寧に説明を行っておくことが求められるものと考えます。
田村:修繕終了までレオとの契約、延長するよう指導すべき
通常、欠陥住宅のままで新たな業者とサブリース契約を結ぶなんて、あり得ないことですからね。ここは厳しく、レオパレスに対して私は指導監督をやっていただきたいというように思うんです。
これは、法令遵守のためにはやっぱり、契約期間内に修繕するように強い指導が必要だと思いますので、これ重ねて求めます。
また、今年5月、6月にも契約期限が切れるオーナーもおられます。これは修繕が終わるまでレオパレスとの契約延長をしないと、賃貸事業に利用することのできない違法物件をただ押し付けられてしまうということになってしまうんです。
そうすると緊急策として、修繕終了までレオパレスとの契約、これを延長するようレオパレス21に対して指導すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか?
住宅局長:国交省がサブリース契約の期間を延長させることは困難
お答え申し上げます。サブリースの契約は、共同住宅の建物所有者の方と株式会社レオパレス21との間で締結されているものでございます。これを変更しようとする場合につきましても、両当事者でこれは合意をするということが必要になります。
このため、国土交通省がサブリース契約の期間を延長させるということは困難ではございますけれども、株式会社レオパレス21には、建物所有者等の不安を解消するために、丁寧に説明・対応するよう、これまでも指導を行っておりまして、その際は個別物件のサブリース契約の状況など、それぞれの建物所有者が置かれている個別の事情についてもよく踏まえる必要があるものと考えてございます。
個々の物件ごとの改修時期につきましても、建物所有者への丁寧な説明・対応を行う中で、同社において適切に設定すべきものと認識でございます。
田村:監査結果報告書、レオ側の一方的な主張に過ぎない?
とてもレオパレス21の対応、ひどいんですよ。いまレオパレスは修繕を約束せずにサブリース契約の終了を示した「承継合意書」という書面をオーナーに提示し、サインせよと迫っています。
資料の1枚目を見てください。この特約事項には、「施工不備対応を中断している防・耐火性の検証を行い、居住に特段の支障がないことを確認している」と書かれています。つまり、物件に問題がないので修繕しないということへの了承を求めているんです。この防・耐火性の検証というのは、物件一つ一つを検証したものではありません。レオパレスが一級建築士事務所の立合いのもと、燃焼試験なるものを行い、安全性は確保されているものといえる、という監査結果報告書を作らせているんですよ。それが資料の2枚目です。
確認いたしますが、この監査結果報告書は、レオパレス側の一方的な主張に過ぎないと考えますが、いかがでしょうか。これによって、違法建築物件が違法でなくなるとか、修繕の必要ありとされた物件がその必要がなくなるということにはならないと思いますが、いかがですか?
住宅局長:(監査結果報告書があっても)改修をしなくていいということにはならない
お答え申し上げます。委員がお示しになられた承継合意書の中に、乙というのはレオパレス21社が防・耐火性の検証を行い、居住に特段の支障がないことを確認しているという記載があることは承知をしてございます。
ただ、この記載はレオパレス21社が独自に調査を行ったことをお示しになられているものと思われ、先ほど大臣からも答弁がありましたとおり、建築基準法に基づいて、これが適合しているというふうに言うためには、国土交通大臣が指定をした性能評価機関が大臣認可を受けた方法によって試験を行ってこれに合格の上で、大臣認定を取得しなければなりません。
したがって、これによらない、今ご指摘のような調査結果があっても、その改修をしなくていいということには全くならないということでございます。
田村:全戸修繕の計画を改めて出させることが必要
いまレオパレスはこの監査結果報告書を示して、「おたくのアパートは修繕しない」という宣告が始まってるんですよ。
オーナーが「修繕しないと判断したのは誰か」というふうに聞くと、「会社の判断」という回答だということです。社として、建築基準法違反のアパートを修繕しなくて構わないという方針を出したということにもなります。
大臣、オパレス21に対して、事情聴取を直ちに行い、オーナーへの対応を是正させる、全戸修繕の計画を改めて出させることが必要だと思いますが、いかがでしょうか?
大臣:改修等を着実に進めるよう、厳しく指導してまいります
先ほど来申し上げている通り、国土交通省では、レオパレス21に対して、同社が施工した小屋裏界壁などに不備のある共同住宅について、改修等を行うよう指導しているところです。
このため、仮に修繕をしないとの方針が同社にあるのだとすれば、国土交通省が行ってきた指導とは異なる方針と考えられますので、同社に対し、修繕しないとの説明をした事実があるか確認を行った上で、同社において改修等を着実に進めるよう、厳しく指導してまいります。
オーナーとの賃料支払いの契約について
田村:一方的な減額賃料、法律で認めてはいない?
是非お願いしたいと思います。不動産事業が信頼揺らぎかねないことになりますのでね。厳しい対応をお願いしたいと思います。
オーナーとの賃料支払いの契約についても、トラブルが多発しています。レオパレス21が一方的にオーナーへの支払い賃料の減額を決め、オーナーとの合意がないまま、減額賃料しか振り込まないという事案が起きています。借地借家法は32条第1項で賃料減額請求権を認めています。その上で、第3項で、建物の借賃の減額については当事者間に協議が整わない時は、その請求を受けたものは減額を正当とする裁判が確定するまでは相当と認める額の建物の借賃の支払いを請求することができるとしています。
賃料減額請求は、第1項にある経済事情の変動などによって、賃借人の居住権を守るために必要な権利です。しかし、協議が整わない時は、裁判確定まで減額前の額での請求権があるので、協議なく一方的な減額賃料を押し付けることまで、法律で認めてはいないという理解でよろしいか、確認したいと思います。
法務大臣政務官:(減額前の賃料を)支払わない場合、債務不履行
高見康裕 法務大臣政務官
(自民党、衆議院議員1期、東大院卒、元読売新聞記者⇒海上自衛官、42歳)
個別事案についてお答えを差し控えますが、その上で一般論としてお答えをいたしますと、借地借家法上、建物の賃借人が賃貸人に対して賃料の減額を請求した場合において、賃料の減額について当事者間で協議が整わないときは、賃貸人は減額を正当とする裁判が確定するまでは相当と認める額の賃料の支払いを請求することができるとされております。
そのため、賃貸人は賃料減額請求を受けたとしても、減額を正当とする裁判が確定するまでは賃借人に対し相当と認める額の賃料の支払いを請求することができるのであり、賃貸人がその額を支払わない場合には、債務不履行に当たり得るものと考えられます。
田村:国交省として、指導監督すべき
この件も是非国交省として、少なくとも、協議のないままの減額賃料の振込、これはさせないよう指導監督すべきだと思いますが、いかがですか?
不動産・建設経済局長:適切に対応したい
長橋和久 不動産・建設経済局長
(1989年建設省入省、京大農学部卒、57歳)
お答え申し上げます。国土交通省として、賃貸住宅管理業法の観点からご答弁申し上げますが、賃貸住宅管理業法の観点からすると、賃貸人への事前の説明がなく一方的に契約変更となる賃料の減額を行うということは、これは法律で定めました重要事項の説明等の義務に違反するというふうに該当いたします。
レオパレス21については、一方的な減額を行った事実が確認されたため、国土交通省としては、重要事項説明を丁寧に行うよう指導してきたところでございまして、現時点においては、一方的な減額を行っておらず、契約の相手方の状況に応じて必要な対応を行っているものと認識しておりますが、今後、違法な行為が確認された場合には、賃貸住宅管理業法に基づき、適切に対応したいと思っております。
田村:(質問を)終わります
(質問を)終わります。
雑感
事前協議なしの賃料の一方的な減額など、大家さんにとっては興味深いテーマだと思うのだが、田村議員が鋭く追及し官僚や大臣らが懸命に応じる場面が大手メディアで報じられないのはもったいない。
約15分(倍速8分)の動画だから、連休で暇を持て余している大家さんにはおススメしたい。
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