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首都圏の新築マンション価格、まだバブル期を超えていない!?

不動産経済研究所の1月26日の発表を受けて、首都圏の新築マンション価格が2年連続で過去最高になったことを伝えるメディア報道。
でも、この30年間の物価上昇率を考慮すると、まだバブル期を超えていないんじゃないか、という話。


もくじ

首都圏の新築マンション価格 、2年連続で過去最高更新(NHK)

不動産経済研究所は1月26日、「首都圏マンション市場動向2022年(年間のまとめ)」を発表。

同研究所の発表を受けて、首都圏の新築マンション価格が2年連続で過去最高になったことを伝えるメディア報道が流れてくる。

たとえば、NHKが26日15時15分に報じたニュース。

首都圏で去年発売の新築マンション価格 2年連続で過去最高更新

去年1年間に首都圏で発売された新築マンションの1戸当たりの平均価格は6288万円と、2年連続で過去最高を更新しました。

調査会社「不動産経済研究所」のまとめによりますと、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で去年1年間に発売された新築マンションの、1戸当たりの平均価格は6288万円で、おととしを28万円、率にして0.4%上回りました。

首都圏のマンションの平均価格は、おととし、バブル期の1990年に記録した最高値を上回りましたが、去年はさらに上昇して、2年連続で過去最高値を更新しました。

(以下略)

NHK 1月26日

バブル期の価格はいくらだったのか?

NHKニュースは「バブル期の1990年に記録した最高値」の具体的な数値に言及していない。NHKだけでなく、日経も朝日も、なぜかバブル期に記録した最高値には言及していない。

ひょっとして、不動産経済研究所が1月26日に国交省で公表した資料には具体的な数値が記されていなかったのか……。

筆者の手元にある資料で確認すると、90年の首都圏新築マンションの平均価格は6,214万円だから、21年(6,260万円)・22年(6,288万円)は2年連続で過去最高値を更新していることが確認できる(次図)。

供給戸数と平均価格の推移(首都圏新築マンション)

不動産経済研究所「全国マンション市場40年史」13年10月7日などを元に筆者作成

まだバブル期を超えていない!?

首都圏新築マンションの平均価格として、21年(6,260万円)・22年(6,288万円)は、たしかに90年の6,214万円を上回っている。

でも、これらの価格には、この30年間の物価上昇率が考慮されていない。失われた30年とはいえ、消費者物価指数は90年に対して22年は1.098倍と微増しているのだぞ。

そこで、「2020年基準の消費者物価指数(東京都区部 年平均)」(23年1月20日公表)の総合指数を用いて物価補正したグラフを描いてみた(次図)。

2020年基準で補正すると、90年6,577万円に対して、22年は6,153万円。その差424万円。バブル期よりも424万円下回っているのだ。

首都圏新築マンション平均価格推移(物価補正の有無比較)

 

ということで、物価を考慮すると首都圏新築マンションの平均価格はまだバブル期を超えていないというのが、本日の結論。

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