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なぜ江戸川区は仕事始めに航空機騒音への取り組みを掲載したのか

なぜ江戸川区は、わざわざ仕事始めに、航空機騒音に係る区の考え方をホームページに掲載したのか。

考え得る理由は2つ……。

※投稿23年1月8日(追記23年1月9日)


もくじ

区の上空を飛ぶ飛行機の騒音について(江戸川区の回答)

新年早々(1月4日)、江戸川区のホームページに羽田新悪天時従来ルートに係る区の考え方が、市民からの「ご意見」に答えるというかたちで掲載された(次図)。

区の「新着情報」には掲載されていないので、ほとんどの区民は知ることができない。

区の上空を飛ぶ飛行機の騒音について
区の上空を飛ぶ飛行機の騒音について

区の上空を飛ぶ飛行機の騒音について

ご意見

羽田空港に4本目の滑走路ができて以来、飛行機の騒音の問題は悪化する一方です。特に天候の悪い日は気になります。

飛行経路については、国とどのような取り決めになっているのでしょうか。

この問題についての区の考え方や取り組みをお聞かせください

回答

(前略)
区では測定器を設置し、航空機騒音と上空の飛行状況の常時監視を行うとともに、国土交通省や羽田空港等の関係機関へ騒音の軽減を図るよう随時申し入れを行っています。また、騒音でお困りの区民の方からいただいているお話についても国土交通省にお伝えしています。

昭和46年3月から羽田空港への着陸機が江戸川区上空を飛行するようになり、大きな騒音問題が発生しましたが、江戸川区も区民とともに騒音対策・改善の申し入れを行いました。その結果、国土交通省(当時の運輸省)は航路の見直しを行い、騒音の改善が図られてきました。以後、江戸川区の航空機騒音に対しては国の特別な配慮がなされているところです。

しかしながら、平成22年10月の羽田空港再拡張後(4本目の滑走路完成)の平成23年度以降、江戸川区上空を飛行する航空機数が増加していることは区としても重く受け止めており、国土交通省や羽田空港等の関係機関へ騒音軽減を含めた対応を求める文書を提出するなど強く申し入れているところです。

今後も環境の悪化を防ぎ、区民の皆様への健康被害等が無いよう、関係機関への働きかけを続けてまいります

仕事始めに「回答」を掲載したワケ

なぜ、わざわざ仕事始めに、航空機騒音に係る区の考え方をホームページに掲載したのか。

考え得る理由は2つ。

ひとつは、区民からのクレームや、区民からのクレームを受けた区議からのクレームに押されて、QAというかたちで応じた可能性。そうすることによって、クレームを上げた区民や区議らに対して、「それなりに対応しているんですよ」と取り繕ことができる。

しかも、ほとんどの区民がアクセスできないページに掲載したことで、寝た子を起こす心配をする必要がない。

2つ目の理由は、4月の区長選挙との絡み

斉藤猛 江戸川区長(59)は11月28日に、再選を目指して立候補する意向を表明済み。

江戸川区民が被っている航空機騒音について、「国土交通省や羽田空港等の関係機関へ騒音軽減を含めた対応を求める文書を提出するなど強く申し入れている」ことを文書として残しておきたかった可能性。

※以下、追記23年1月9日

フォロアーさんからの(区回答は羽田新ルートではなく、従来ルートについて)である旨の指摘を頂戴した。

改めて区の文面を確認すると、たしかに羽田新ルートについては全く言及していない。「ご意見」が天候の悪い日限定(悪天時従来ルート)なので、区回答としては羽田新ルートに言及する必要がないという建付けなのかもしれないが(聞かれていないことには応えない)、そうだとすればたちが悪い。

「ご意見」として、悪天時従来ルートを取り上げるのであれば、羽田新ルートの意見を取り上げないことはとても不自然に思えるからだ。

航空機騒音が悪化し続けている

江戸川区が「国土交通省や羽田空港等の関係機関へ騒音軽減を含めた対応を求める文書を提出するなど強く申し入れている」としても、残念ながら結果が伴っていない。

ただでさえ悪天時に22ILSルート(悪天時従来ルート)が江戸川区上空を通過していたところに、羽田新ルートとしての荒川沿い北上ルートが加わったことで、江戸川区上空を通過する機数、騒音発生回数ともに急上昇しているのである(次図)。

通過機数・騒音発生回数の経年変化
羽田新ルート|江戸川区の騒音測定データを可視化」より。


川崎ルートではNGのエアバス340が、荒川沿い北上ルートではOKとなっている。物言わぬ区長・区議らのお陰で、江戸川区上空は離着陸ルートの草刈り場状態なのである(川崎ルートで禁止されているA340、荒川沿い北上ルートはOK)。

斉藤猛区長への対抗馬の出現は…

区長を6期も務めた多田正見氏から禅譲された役人上がりの斉藤猛区長には、都や国と一戦交えるような事案に立ち向かう根性もなければインセンティブもなさそうだ。

江戸川区議40人(定員44人)のなかで、ただ一人本気で羽田新ルート問題に対応している大橋美枝子議員(共産)に対して、論破したつもりになってドヤ顔しているような環境部長がいては、江戸川区民は救われない(聞く耳を持たない区長とドヤ顔部長)。

4月の区長選に向けて、斉藤猛区長への対抗馬は出てくるのか……。

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