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東京湾上空に新ルート(日経・朝日)、品川区長選の争点隠し?

日経は9月21日、朝日は9月22日、都心上空ではなく海上ルートだけを飛行しそうな期待を抱かせる記事を掲載。

よく読んでみると両記事とも特に目新しい内容ではない。なぜ、この時期にこのような記事が掲載されたのか……。


もくじ

羽田発着、東京湾上空に新ルート(日経新聞)

日経新聞は9月21日18時の電子版で、国交省が「海上を飛ぶ新たなルートは23年度中に方針をまとめる。数年内の運用開始を目指す」と報じた。

羽田発着、東京湾上空に新ルート

騒音緩和へ国交省検討【イブニングスクープ】

(前略)新たな飛行システムを導入して海上からの発着を増やし、陸地の上を通過する航空機を減らす。都心の騒音問題を和らげ、訪日客受け入れ拡大の体制を整える。
海上を飛ぶ新たなルートは23年度中に方針をまとめる。数年内の運用開始を目指す
(中略)
国交省は羽田の飛行ルールの見直しや飛行システムの改良を進め、海上を通る新ルートを設ける。ドイツなど世界17カ国以上が導入している「RNP-AR」の導入などがシステム改良時の候補となる。航空機を測位衛星からの信号をもとに自動操縦する仕組みで、多数の航空機が円滑に発着できるようになる。
22年度から航空会社と連携して安全性などを検証する。関係者間の調整を経て23年夏~秋にもルート設計や運用に関する素案をまとめる。新しい海上ルートの運用開始後は都心の上空を飛ぶ航空機をできる限り減らし、海上ルートに移していく。(以下略)

(日経新聞電子版 22年9月21日 18:00)

日経記事の見出し「東京湾上空に新ルート」を見ると、羽田新ルートが都心上空ではなく東京湾上空に移るように思えるけれど、そうではない。

記事をつぶさに読んでいくと、目新しい内容は特にない。

同様の記事が朝日新聞9月22日朝刊7面(経済面)にも掲載されているので、日経のスクープというわけではなさそうだ。

羽田着陸 新ルート検討 騒音対策東京湾の上空

(前略)新ルートは現在、国交省か技術的な検証を進めており、2023年度に方向性を示す。実際の運用は数年内に始まるとみられる。(中略)

東京湾の上空を通る新たなルートが確立できれば、都心上空を通るルートを減らし、千葉県方面などから着陸する従来のルートとあわせて使用する。

(朝日新聞 9月22日)

朝日新聞の見出し「東京湾の上空」も、都心上空ではなく海上ルートだけを飛行しそうな期待を抱かせるが、そうではない。日経同様、目新しい内容は特にない。

元JAL機長・杉江弘氏 の見立て

元JAL機長・航空評論家の杉江弘氏 が9月22日にビジネス系ウェブメディアJBpressに寄せた論考<都心低空飛行の羽田新ルート、国交省の「机上の空論」で危険は解消されず>には、日経の記事を受けて「机上の空論」として一蹴している。

ようやく見直しに動くとの報道(「羽田発着、東京湾上空に新ルート 騒音緩和へ国交省検討」日本経済新聞電子版、9月21日)も出たが、この案は昨年8月にすでに出されていたもので、世界の例を見ても実現可能性はゼロに等しい。世界の航空界やパイロットからも安全面の疑義が出ているこの問題について、「机上の空論」に固執していては物笑いの種にされてしまう

「RNP-AR」飛行方式の導入で都心上空飛行はなくなるのか!?

日経記事で触れられている「RNP-AR」は、ロサンゼルス空港での実績がある飛行方式(次図)。

各飛行方式の対応策整理表
第4回 羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」資料1に筆者が加筆

 

RNP-AR方式を導入しても、都心上空を通過する距離を減らすことはできても、ゼロにすることはできない(次図)。

羽田新ルート(現状)に海外事例を適用したイメージ
現状の羽田新ルートに技術的選択肢を適用してみた」より

※上図の3ルートは、あくまでも曲線経路の可能性を示したのであって、3ルートのいずれかが実現するという意味ではないことに要留意。

品川区長選の争点隠し?

日経や朝日の記事を読んだ人は、羽田新ルートの見直しによって、都心上空ルートが海上ルートに変るような印象を持ったかもしれない。実際、Twitterには驚きや期待の声が流れている。

でも、残念ながらそうはならない。

では、なぜこの時期に、何ら目新しくもない、読者に期待を抱かしそうな情報が日経と朝日に掲載されたのか。

10月と11月に実施される品川区長選挙(投開票10月2日)と新宿区長選挙(投開票11月13日)が関係しているのではないか。

特に、品川区長選では6名の候補者が乱立し、自民推薦の石田秀男氏が厳しい戦いを強いられているため、羽田新ルートの争点隠しになるように国交省が日経・朝日の記者に情報を流したのではないか。

まあ、ホントに都心上空を飛行しない見直しルートが実現しようとしているのでれば、それはそれで素晴らしいことである。

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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