不動産経済研究所は8月8日、「2022年上期及び2021年年間の首都圏投資用マンション市場動向」を発表。
今後の首都圏の投資用マンション市場は、東京都心部などでは厳しい用地取得競争が続いていることから、引き続き城東や城北、神奈川県の横浜市や川崎市などのシェアが高いまま推移する見込み。
同研究所が過去に発表したデータも交え、首都圏投資用マンション市場動向を可視化してみた。
過去15年間の「首都圏投資用マンション市場動向」
エフ・ジェー・ネクスト3年連続1位
年間供給戸数は、エフ・ジェー・ネクストが3年連続で1位。
- 1位:エフ・ジェー・ネクスト(1067戸)
- 2位:青山メインランド(690戸)
- 3位:日本ワークス(546戸)
- 4位:TFDコーボレーション(487戸)
- 5位:NST(467戸)
かつて上位に顔を出していたスカイコートやトーシンパートナーズは、いまや圏外。栄枯盛衰の激しい投資マンション業界でエフ・ジェー・ネクストと青山メインランドは上位に踏みとどまり続けている(次図)。
上位5社のシェア 5割前後で推移
投資用マンション供給戸数上位5社のシェアの推移を次図に示す。
11年にピーク(71.9%)を記録。13年以降は、5割前後で推移している(次図)。
投資用マンション vs 一般分譲マンション
さらに、同研究所が定期的に発表している一般の新築分譲マンションのデータも交えて、首都圏の投資用マンションのトレンドを可視化してみた。
「投資用マンション率」アベノミクスで上昇
「投資用マンション率」(一般新築分譲マンションに対する投資用マンションの供給戸数の割合)は、リーマンショックで低下したあとアベノミクスで上昇傾向を見せている。(次図)
※一般の新築分譲マンションに投資用は含まれていない(よくある質問より)。
投資用・一般分譲の単価、ともに上昇傾向にあったが…
一般新築分譲マンションと投資用マンションのm2単価は、アベノミクスが始まった13年以降、ともに上昇傾向。20年以降、投資用マンション(首都圏)は、一般新築分譲マンション(23区)を下回っている(次図)。
投資用25m2程度、一般分譲65m2程度
一般の新築分譲マンションの平均専有面積は65m2程度なのに対して、投資用マンションは25m2程度。
投資用マンションは、ワンルームタイプが多いことが推察される。
投資用は広く高く、一般分譲は狭く高く
一般新築分譲マンションの「平均専有面積」と「平均単価」の推移をみてみると、首都圏、23区ともに、09年頃までは毎年、専有面積を小さくしながら分譲単価を抑えていたのだが、その後は面積を小さくしながら分譲単価が上昇していることが分かる(次図)。
一般新築分譲マンションが年々狭く高くなっているのに対して、投資用マンションは逆に年々広く高くなっている傾向がみられる(次図)。
投資用マンションは、13年までは分譲単価は変わらないまま、若干ではあるが専有面積を増やしている。13年以降、平均面積はあまり変わらずに単価は上昇している。
※縦軸・横軸の目盛りが一般新築分譲マンションの図よりも狭いことに要留意。
あわせて読みたい