航空環境研究センターは5月27日午後、「第6回航空環境研究センター研究発表会」をZOOMオンラインにて開催。
興味深い発表があったので整理しておいた。
第6回航空環境研究センター研究発表会(ZOOMオンライン)
航空環境研究センターは5月27日午後、「第6回航空環境研究センター研究発表会」をZOOMオンラインにて開催。
特に羽田新ルートとの関係で(5)と(6)に関心があったので、視聴(事前登録要、無料)した。
- (1)「航空機騒音の変遷と音質評価の必要性に関する考察」(25 分)
副主任研究員 下山晃司- (2) 「短期測定に基づく航空機騒音評価の信頼性検討」(35 分)
航空環境研究センター 所長 篠原 直明- (3) 「航空機の離陸滑走時騒音の予測精度向上」(25 分)
主任研究員 中澤 宗康- (4) 「FAA モデル AEDT による空港騒音予測の課題検討」(25 分)
副主任研究員 菅原 政之- (5) 「海外空港における騒音対策と根拠法令に関する考察」(25 分)
主任研究員 武田 修- (6) 「海外空港における騒音軽減のための飛行経路管理について」(25 分)
調査役 深野 賢治
発表者・司会進行者を含む参加者は169名(16:15頃、ZOOM表示による)。
組織別の内訳は以下の通りで、自治体からの参加者が最も多く全体の27%を占めていた。
- 国(19人)
- 自治体(46人)
- 国立研究開発法人(2人)
- 独立行政法人(4人)
- 一般財団法人(21人)
- 公益財団法人(5人)
- 大学(6人)
- 空港会社(25人)
- 企業(27人)
- 個人(8人)
- 不明(6人)
海外空港における騒音対策と根拠法令に関する考察:ノイズマップ
海外では、定期的な騒音暴露状況の把握や情報公開という観点からノイズマップという手法も法定対策の一つとして取り入れられているとして、米国運輸省 運輸統計局が運用している「National Transportation Noise Map(全国交通騒音マップ)」が紹介されていた(次図)。
(National Transportation Noise Map_ロサンゼルス国際空港ほか航空機騒音2018年)
同マップは、インタラクティブ方式で、道路、鉄道。航空およびその結合表示が選択できるようになっており、16年と18年の各分野別暴露人口比較も公開されている(次図)。
上図の数値を可視化したのが次図。
米国の航空機騒音の暴露人口は2016年から2018年に増加していることが分かる。
24時間の平均騒音レベルで定義される航空機騒音70dB以上にさらされているのは、総人口の0.01%(16年)から0.02%(18年)に増加しているのである。
聴講者から「日本では(海外事例のように)暴露人口を把握する考えはないか?」との質問に対して、武田主任研究員は「残念ながら日本にはそのような仕組みはない。騒音マップと人口マップの組み合わせでなんとなく作成できるが、今後の課題である」との回答であった。
海外空港における騒音軽減のための飛行経路管理について:トローンボーン方式
飛行経路を分散させる方法として、ロンドン・ヒースロー空港で実施されている、最終進入前のトローンボーン方式が紹介されていた(次図)。
※航跡がトローンボーンの形をしているのでこのように呼ばれているとのこと。
「研究発表会資料(要旨版)」P13より
ちなみに、ロンドン・ヒースロー空港では21年12月2日から、RNAV方式の一つであるRNP進入方式による3.2度の進入方式で、2本の滑走路の4方向すべてに高降下角進入方式が設定されている(Slightly Steeper Approaches | Heathrow)。
あわせて読みたい