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「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」による国交省ヒア

「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」は衆議院第一議員会館で5月18日、氷塊落下事案など、国交省へのヒアリングを実施。

国交省の不誠実な質疑応答姿勢はあまりにも酷い……。


もくじ

氷塊落下で国交省、羽田新ルートの8機を調査(東京新聞)

国交省は「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」の会合で5月18日、羽田新ルートを飛行していた航空機8機につき、調査することを明らかにした。

羽田新ルート飛行の8機を調査 渋谷区のテニスコートへの氷塊落下で国交省

羽田空港(東京都大田区)の新飛行ルート直下に近い渋谷区のテニスコートで今年3月、氷塊が見つかった問題で、国土交通省は18日、当時テニスコート付近を飛行した航空機8機が、着陸のためにいつ車輪を出したか調査する意向を明らかにした
東京・永田町の衆院第1議員会館で開かれた「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」の会合で担当者が説明した。着陸前に車輪を出す際、機体から氷塊が落ちるケースがあるが、これまで調査していなかったという。(以下略)

東京新聞 5月18日

「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」による国交省ヒア(概要)

5が月ぶりに衆議院第一議員会館で開催された「羽田低空飛行見直しのための議員連盟」総会の議事は以下の通り、氷塊落下に係る国交省への質疑が中心となっている。

代表挨拶:海江田会長

出席者の紹介

議事

  • (1)3月13日の渋谷テニスコート氷塊落下について
  • (2)2月11日成田の日本貨物航空(NCA)のフラップカバー落下事故について
  • (3)新ルート用に運用が始まったPAPIについて
  • (4)固定化させない検討会について
  • (5)滑走路処理能力算定手法に関する調査について
  • (6)飛行実績数/脱落物実績数/飛行見込み数質問

出席議員は、以下の9名(立憲5、共産3、社民1)。※敬称略・順不同

  • 衆院議員
    • 立憲:海江田万里、松原仁、長妻昭、山崎誠
    • 共産:笠井亮
  • 参院議員
    • 立憲:川田龍平
    • 共産:小池晃、山添拓
    • 社民:福島瑞穂

国交省・関係団体の出席者は以下の19名。※敬称略・順不同

国土交通省(7名)

  • 航空ネットワーク部
     首都圈空港課  杉田博章室長、賀数純一補佐、田面木啓介係長
     航空戦略室   和田英嗣補佐、戸崎将太係長
  • 安全部
     航空安全推進室 菅康博整備審査官、堀井康佑係長
  • 交通管制部
     交通管制企画課 柳川真宏調査官

関係団体(12名)

  • 大村究   羽田問題解決プロジェクト代表(品川区)
  • 秋田操   羽田増便による都心低空飛行に反対する品川区民の会(品川区)
  • 大田美音  航空機の都心低空飛行に反対する江戸川区民の会(江戸川区)
  • 松橋隆司  羽田新ルートの中止・撤回を求める江東区民の会(江東区)
  • 村上典子  としまの空を考える会(豊島区)
  • 須永知男  渋谷の空を守る会(渋谷区)
  • 門村充明  羽田空港増便問題を考える会(大田区)
  • 酒井洋明  羽田新ルート絶対反対!大井町周辺住民の会(品川区)
  • 橋本悦夫  東大井の空を守る会(品川区)
  • 杉江弘   航空評論家(横浜市)
  • 羽田問題解決プロジェクト事務局:野口みわこ(練馬区)・黒田英彰(渋谷区)

国交省の不誠実な強弁

国交省の説明は約15分。そのあと議員や杉江弘氏(元JAL機長)、関連団体との質疑応答が約1時間。

国交省の不誠実な質疑対応姿勢については、海江田議員と杉江弘氏の一連のツイートによく表現されているので、以下引用する。また、最後に海江田議員と国交省との質疑応答を抜粋しておいた。

海江田議員ツート

着陸時の飛行機のギア・ダウン(脚下げ)の場所やギア・ダウンと氷片落下の因果関係について、国土交通省に質しましたが、ノラリクラリの答弁で、誠意のある回答は得られませんでした。国土交通省の担当者の不誠実な態度には怒りを禁じ得ません。

飛行機の氷塊その他の落下物による事故を防ぐためにも、国土交通省の真摯な対応を求めて、会を終えました。

海江田万里  事務所 5月18日ツイート

杉江弘氏(元JAL機長)ツイート

国会で低空飛行に見直しのための議員連盟の衆参議員が国土交通省へヒアリングをした。主なテーマは3月に渋谷区のテニスコートの落下して氷塊についてだ。今回のように多くの氷塊が人に当たれば人命に関わるので対策を求めたが国はそれがどこから落ちたか分からないと無責任な答弁に終始

杉江弘氏 5月18日ツイート

ヒアリングで国土交通省は氷塊がどこから落ちたかについて、答える立場にないと。それでいて航空機からではないと断言する。科学的な議論を避けて逃げの一手では対策を講じることも出来ない。国民の命と財産を守る責任を放棄したのも同然で酷いものだ

杉江弘氏 5月18日ツイート

議員達が着陸装置を出した際に氷塊が落ちたのは間違いないのでは?と質問に対しギアダウンと氷塊落下とは関係ないと歴史を塗り替える新答弁をして驚かせた。成田空港での着陸では海上でギアダウンするようにパイロットに要請してるがその理由は氷塊落下を防ぐためと認めてきたのに

杉江弘氏 5月18日ツイート

実録(海江田議員vs.国交省)

航空機が脚下げすることと氷塊落下との因果関係をめぐって、海江田議員と不誠実な強弁を続ける国交省とのやり取りを以下に示す。

海江田

私は渋谷のあのあたり、土地勘がありまして、よく行ったりしますので。飛行機の脚下げですよね。ランディングギア出すのは、僕が前聞いていたのは、(国交省の)皆さん方から聞いたのか、どっから聴いたのか分からない。「(脚下げは)ちょうど都庁の上あたりですよ」という話を聞いていたんですよ。


都庁の上あたりで、真っすぐ(飛んで)いくと、だいたい(今回氷塊落下があった)テニスコートのオペラ席があってね、(脚下げに)なるんですよ。


だから、脚下げが通常どのへんでやるのかということを改めて教えていただきたいし、飛行機によっていろいろ違うとは思いますけれども、特に(国交省は航空会社に対して脚下げのタイミングを)指導はしていないということですから、それぞれ違うと思うけど、だいたい都庁の上あたり、あるいはちょうど渋谷の本町(ほんちょう)かな、本町(ほんまち)かな、こっちが西新宿で四丁目でこうすぐホントに直ぐ近くになってますから。


あすこのところの上あたりで脚下げをやる可能性というか、そういうことがあるのかどうなのかということはやっぱり教えていただきたいなと。


やっぱり脚下げで機体に着いた氷が落ちるという可能性があるんじゃないだろうか、とこういうことですから。だから脚下げとの関係どうなっているのだということを教えてください。

松原

ご討議お願いします。

国交省

ギアダウンに関しては特別に「ここで(脚を)降ろしてください」というような指導とか要請はしておりません。一般的に、パイロットの方々に聞くと、だいたい千フィート、降下していって千フィートまでには機体を安定させなければならないというふうに聞いていますので、その辺はその時の気象条件ですとかパイロットの判断によって(脚が)降ろされていますので、一概にここで(脚を)下ろすという範囲はお示しすることはできないかというふうに考えています。

海江田

ただ、私の理解では、違ってたら言ってくださいね。「やっぱり氷が落ちるのは、まさにランディングギアを下ろす時が一番多いですよ」ということを私は聞き知っているわけですけど、これは事実ですか、事実ではないですか?

国交省

先程、杉田(室長)等から説明させて頂いた通り、これまでの調査でもギアダウンと氷が落ちるという因果関係というのは、はっきり分からないということがございまして。

海江田

今度の事例じゃなくて一般論で言って、一般論で言って、氷が落ちると。航空飛んでて氷結して、それが落ちるという機会というのはランディングギアを降ろすときのケースが多いですよ、ということが言えるか言えないかと。

国交省
すいません。ちょっと繰り返しになりますけども、一般論としても、ギアダウンと氷が落下するというのを、因果関係については我々としては承知していないということでございます。

海江田

ホントですか。(市民:じゃあ何故九十九里で降ろしてんの?
いま言った、冷静に聞いているんだから、冷静にちゃんと答えてくれなきゃいけないんで。じゃあ、もしそれが事実と違ってたらどうします? そういうデータが出てきたら。

国交省

申し訳ありません。私たちとしてもデータ自体を持ち合わせておりませんので、ここで微意・敷衍な(?)回答することをすることもできませんけれども、因果関係、ギアダウンと氷が落ちるということについては承知をしないということになります。

海江田

(首をかしげて)は~あ……。

※詳細については、YouTube動画「羽田低空飛行見直しのための議員連盟 総会 」(1時間28分)参照。

雑感(国交省の不誠実な質疑応答姿勢はあまりにも酷い)

国交省の説明は約15分。そのあと議員や杉江弘氏(元JAL機長)、関連団体との質疑応答が約1時間。国交省の不誠実な質疑応答姿勢はあまりにも酷い。

その一例が、3月13日の渋谷テニスコート氷塊落下に係る質疑。国交省は「一般論としても、ギアダウンと氷が落下するというのを、因果関係については我々としては承知していない」と断言した。

成田空港では、国交省の要請により、氷塊落下対策として洋上での脚下げが実施されているにもかかわらず、氷塊落下との因果関係を承知していないというのは、あまりにも不誠実な物言いではないか。

※国交省は1991年1月25日、運輸省東京航空局新東京国際空港長(当時)から、新東京国際空港航空会社運営協議会(当時)に対し、「氷塊落下物防止対策について」という要請文書を発出し、成田空港に着陸する航空機の脚下げを洋上で行うことを要請している。この事実は、19年6月7日に閣議決定されている。詳細は、「羽田新ルート|質問主意書(落下物防止のための洋上脚下げ)」参照。

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