国交省は12月27日、羽田新ルートPR動画を改訂。
改訂前後で、どこがどのように変わったのか整理しておいた。
国交省、羽田新ルートPR動画を改訂
国交省は12月27日、羽田新ルートPR動画を改訂。
国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」のトップページに掲載されていた動画は次の4種類。動画時間はほとんど変わっていないが、内容は微妙に変更されている。
※( )内は改訂前の時間
- 目的編 2分32秒(2分38秒)
- 運用概要編 3分12秒(3分06秒)
- 騒音対策編 2分57秒(2分56秒)
- 落下物対策編 2分55秒(2分29秒)
改訂前後で、どこがどのように変わったのか。以下順に示す。
目的編:減便下での羽田新ルート運用の継続理由には触れられていない
改訂前動画(20年2月14日)⇒改訂後動画(21年12月16日)
改訂前にあった「グローバル化が急速に進む中日本の経済社会を成長させるには諸外国との結びつきを 深めることが必要だからです」が改訂後には削除されただけでなく、改訂前に掲げられていた4つの目的が改訂後には3つに集約された。
(改訂前)
- 1つ目として海外と行き来が便利になりビジネスがよりしやすい環境になることで首都圏の国際競争力の強化につながります。(略)
- 2つ目の目的はより多くの外国人観光客をお迎えして国内の消費を活性化させることです。(略)
- 3つ目の目的は地方を元気にすることです。(略)
- そして2020年は東京オリンピックパラリンピック競技大会が開催され多くの人たちが東京を訪れます。海外から東京へのアクセスをスムーズにすることで大会の円滑な開催をサポートすることが4つ目の目的です。
(改訂後)
- 1つ目として海外との行き来が便利になりビジネスがよりしやすい環境になることで首都圏の国際競争力の強化につながります。(略)
- 2つ目の目的は東京オリンピックパラリンピック競技大会5の国内経済の活力強化に向けてより多くの外国人観光客をお迎えして国内の消費を活性化させることです。(略)
- 3つ目の目的は地方を元気にすることです。(略)
改訂後はコロナ減便が追加されたが、減便下での羽田新ルート運用の継続理由には触れられていない。
(改訂後)
- 新型コロナウイルス感染拡大の影響により一時的に国際線は減便していますが、収束後には諸外国との結びつきを深め日本の経済社会の成長を支える空港として機能してまいります。
運用概要編:予定便数通りに運用されると…
改訂前動画(20年2月14日)⇒改訂後動画(21年12月16日)
羽田新ルートの運用が計画した通り進んでおらず、年間発着回数約3万9千回に増えていないため、改訂後は表現が微妙に修正されている。
(改訂前)
- この結果羽田空港の国際線は年間では約3万9千回発着回数が増えることとなります。
(改訂後)
- 予定便数通りに運用されると羽田空港の国際性は年間では約3万9千回発着回数が増えることとなります。
騒音対策編:改訂前後に大きな違いはない
改訂前動画(20年2月14日)⇒改訂後動画(21年12月16日)
改訂前後に大きな違いはない。次のような羽田新ルート運用開始前と後の時制の違いくらい。
(改訂前)
- 羽田空港が新しい飛行経路を追加する上で騒音は気になるところですね。
(改訂後)
- 羽田空港で追加された飛行経路の運用による騒音は気になるところですね。
落下物対策編:安全に運航されていることをアピールする情報が追加さ
改訂前動画(20年2月14日)⇒改訂後動画(21年12月16日)
まず、マイナーチェンジが2か所。
一つ目は、「しっかりと準備」が「充実」に言い換えられたこと。
(改訂前)
- 未然防止策だけでなく、事後対策についてもしっかりと準備しています。
(改訂後)
- 未然防止策だけでなく、事後対策についても充実させています。
二つ目は、改訂後、「これまで以上に」が削除されたこと。
(改訂前)
- 全国の空港事務所などに対し、落下物に関わる情報報告をこれまで以上に徹底します。
(改訂後)
- 全国の空港事務所などに対し、落下物に関わる情報報告を徹底しています。
あと、大きな変更として改訂後は、下記ように、羽田新ルートが安全に運航されていることをアピールする情報が追加されている。
(改訂後)
- 2021年10月現在新飛行経路における落下物は確認されていません。
- 落下物対策の取り組み状況はホームページで定期的に公表しています。
- また、新飛行経路の運行に関して、航空会社やパイロットへのヒアリングや意見交換を行い、安全上問題なく運行できていることを確認しています。
- 今後も継続的にヒアリングや意見交換を行うなど安全運航に努めてまいります。
雑感
一般の人は動画の改訂前後の違いなど比較しないだろうから、どこがどう変わったのか気が付くことなない。
そもそも改訂前の動画はほとんど視聴されていない。YouTubeの視聴回数をチェックすると、4千回を超えている運用概要編以外は、千回にも達していないことが分かる。
- 目的編:770 回
- 運用概要編 :4,405 回
- 騒音対策編:650 回
- 落下物対策編:477 回
そんな低視聴率の動画であっても、国交省は発信したい情報をしっかり改訂版に反映してくるあたりは流石である。
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