国交省が「丁寧で分かりやすい情報提供を行っています」として羽田新ルートが通過する自治体の住民を対象にポスティングしたチラシ(次図)には、国交省に都合のいい情報ばかりが目立つ。
このブログで書いてきた羽田新ルート関連記事のうち、特に渋谷区民に係る情報をまとめておいた。
※投稿21年10月4日(更新23年9月30日)
基本情報
到着ルート(都心低空飛行)概念図
- 南風時(年間の約4割)の午後3時から7時のうち3時間、新宿⇒渋谷⇒港⇒目黒と降下。品川上空では、東京タワーよりも低い高度300mで飛ぶ。
- 「A滑走路到着ルート」は1時間当たり14回(4分17秒ごと)、「C滑走路到着ルート」は1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で、上空から騒音が降り注ぐ。
羽田新ルートが通過する地域(26地域)
羽田新ルートは渋谷区内の26地域の上空を通過する(次図)。
- A滑走路到着ルート
恵比寿南2丁目、恵比寿西1丁目、恵比寿西2丁目、代官山町、猿楽町、鴬谷町、桜丘町、道玄坂1丁目、道玄坂2丁目、神山町、宇田川町、富ケ谷1丁目、元代々木町、初台1丁目、初台2丁目、本町1丁目、本町2丁目、本町4丁目、代々木5丁目 - C滑走路到着ルート
千駄ケ谷1丁目、千駄ケ谷2丁目、千駄ケ谷3丁目、千駄ケ谷4丁目、千駄ケ谷5丁目、神宮前2丁目、神宮前3丁目
渋谷区民5割(12万人)が騒音の影響を受ける
A滑走路到着ルート約10万人、C滑走路到着ルート約2万人。
渋谷区民23万人のうち、5割超(12万人)が羽田新ルートの騒音の影響を受ける(次表)。
航空機騒音の測定
渋谷区(独自測定なし)
渋谷区は、品川・港・豊島・北区などと違って、区独自の騒音測定を実施していない。
東京都(猿楽小・千駄谷小)
東京都が羽田新ルート周辺で騒音をモニタリングしている測定局は5か所。うち渋谷区内は2か所(猿楽小学校と千駄谷小学校)。
両校とも最大騒音レベルの最大値は70dBを超え、騒音環境は悪い。特に、千駄谷小学校(Cルート下)の騒音発生回数は猿楽小学校(Aルート下)の概ね2倍(次図)。
※詳細および最新情報は「東京都の騒音測定結果を可視化※随時更新」
国交省(広尾中)
国交省が騒音データを公表している測定局は19か所。うち渋谷区内では広尾中学校に設置されている(A滑走路着陸経路とC滑走路着陸経路のほぼ中間、どちらからも側方800m程度。高度約600m)。
※詳細および最新情報は「国交省の騒音測定データを可視化※随時更新」
資産価値への影響
羽田新ルートは不動産価値にどの程度の影響を及ぼしているのか?
同ルート近くに位置する中古タワーマンション相場への影響を調べることにした。特に中古タワーマンションを調査対象にしたのは、取引が盛んで相場が把握しやすいからである。
タワマン2件の価格変動状況を比較しやすいように、13年5月の単価を100とした場合の変化を可視化したのが次図。
羽田新ルートの影響が出ているのか否か、何とも言えない状況である。
※詳細および最新情報は「羽田新ルート|中古タワマン相場への影響 ※適宜更新」
反対運動
※日付はTwitterアカウント開設時期
- 13年2月:都民カフェ渋谷 (@tomincafe_sy) | Twitter
- 17年2月:都心の空を守る会・渋谷(@HanedaTomin) | Twitter
- 18年9月:渋谷の空を守る会(@SWC97514522)さん | Twitter
渋谷区議会
渋谷区議会の定例会本会議での代表・一般質疑応答(まとめ)
- 23年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 22年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 21年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 20年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
- 19年定例会(第1回、第2回、第3回、第4回)
羽田新ルート問題に対する渋谷区議会議員の関心は、徐々に低くなってきているのではないか(次図)。
渋谷区議会、「笑顔」オウンゴール
渋谷区議会の定例会最終日(20年3月23日)、「羽田空港増便による都心低空飛行計画の抜本的な見直しを国に求める請願」の中間報告を求める動議が出されるという珍事が発生。他の事案は知らないが、少なくとも羽田新ルート推進に関しては、「シブヤ笑顔」が自公の補完勢力であることが明らかになった。
羽田新ルートに係る請願・陳情の採決状況
渋谷区議会のパワーバランス
19年4月21日の統一地方選挙後、渋谷区議会では、羽田新ルート推進派は47%から41%へと減少。13区のなかで推進派の割合が最も低い(次図)。
羽田新ルートのスタンスを明確にしていない立憲民主党の推薦を受けて当選した4人の行動が注目される。
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