衝撃的な著書『事件現場清掃人が行く』から8年。これまでに立ち会ってきた事故現場は3000件以上という高江洲 敦氏の2作目『事件現場清掃人』飛鳥新社(2020/11/26)を読了。
一般の人が体験し得ない悲惨な現場のリアルの数々は本書に譲るとして、著者のエピローグの一部だけご紹介。
3000件以上の事故物件で故人の生きざま、死にざまに思いを馳せてきた著者の言葉は重い……。
生きることの意味
(前略)その人生が長くても短くても、生まれてから死ぬまでの間に、いかに愛し、愛されたのかという実感をもてるかどうかが大切だと思います。少しでも「幸せだ」と思えた瞬間があったか、死を迎えるその瞬間に「いい人生だった」と思えたか。それこそが、その人にとっての人生の価値となるのだろうと思うのです。
人が亡くなる最期のときに「幸せだった」と思えたかどうかは本人以外にはわかりません。逆に言えば、どれだけ他人が「幸せな人生だった」と言おうが「かわいそうな人生だった」と思おうが、故人には一切関係がないのです。
(中略)
さあ、あなたがあの世に行くときは、何を思うでしょうか?(P212-213/エピローグ 日本から孤独死がなくなるとき)
本書の構成
8章構成。全228頁。
- プロローグ 事件現場清掃人の仕事
- 第1章 誰ひとり偲ぶ人がいない孤独な死―関りを拒絶した無縁社会の姿
- 第2章 自ら命を絶つ人々―からだの寿命とこころの寿命
- 第3章 生きづらさの果てに―繊細すぎる魂と不安が命を奪う
- 第4章 遺族たちの愛―与え続けた者が死後与えられるもの
- 第5章 死後の世界―相続、供養、お墓…遺族の現実
- 第6章 生まれくる命―故人から子どもたちへの恩送り
- エピローグ 日本から孤独死がなくなるとき
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