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羽田新ルート|練馬区議会「21年第2回定例会」質疑応答

練馬区議会の「21年第2回定例会」本会議一般質問(6月10日)で、羽田新ルートに関して、小松あゆみ議員(共産党)の質疑応答があった。

議会放映(録画)をもとに、テキスト化(約2千300文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

小松あゆみ議員(共産)

小松あゆみ議員
小松あゆみ議員(共産党、区議1期、川村学園女子大学卒、46歳)

問1:練馬上空も飛んでいることに、区は懸念を持たないのでしょうか

次に、羽田新飛行ルートについてです。
新ルートの本格運用が始まって1年が経ちました。この間も区民が騒音に悩まされ、落下物の危険にさらされ続けています。区民からは「騒音が迷惑極まりない」「精神的にも苦痛だ」「体調が悪くなる」という声が寄せられています。

運行開始後、国に6千件以上の苦情があり、東京や神奈川、埼玉などで20以上の住民団体が新たに発足するなど、住民の理解が得られていないことは明らかです。声を上げているのは住民だけではありません。


国交省が2014年から導入した航空安全情報自発報告制度 VOICESは、航空安全上の支障を及ぼす可能性があった事象、ヒヤリハットを収集しています。ここに新ルートを飛んでいるパイロット達から危険報告が15件もあったというのです。

(参考記事:羽田新ルート|「VOICES」パイロットが経験した不安全飛行

羽田空港周辺は南西の風が多く、これが新ルートでは強い横風になるため不安定になり、あまり経験したことのない揺れ、強風で安全性に懸念があるということです。

以前の海から入るコースなら向かい風で安全に飛べるのに、危険な飛行を強いられ、機体のコントロールに苦心したなど、悲鳴が上がっています

米軍横田空域を避けるための、世界にない3.45度での降下の問題もあり、羽田新ルートは安全性を低下させているではありませんか。


航空機にとって、安全運行より大切なことはありません。そんな状況で、練馬上空も飛んでいることに、区は懸念を持たないのでしょうか。お答えください。

問2:(コロナ減便下)新ルートをそうまでして運用したい理由は?

国交省は落下物がゼロ件だと宣伝していますが、部品欠落の報告が減便しているにも関わらず、昨年10月、11月だけで187個もありました。年換算すると1,122個で、2019年1年間の928本より多くなっています。防止対策が生きていないと言わざるを得ません。


今年2月、コロラド州でボーイング機がエンジンを損傷させ、住宅地に部品が落下する重大な事故が起こりました。那覇空港でも昨年12月、日航機が左エンジンの故障で引き返すトラブルが発生しています。都心で起こっていたら、どうなっていたか。仮定の話ではすみません。


羽田新ルートは国際競争力強化やオリンピックのための増便だと宣伝されてきました。しかし、新型コロナの影響で今でも予定便数の3.5割しか飛ばせず、回復には数年かかるとみられます。さらにオリンピックは、海外からの観客を受け入れないことになり、目的は全て崩れています。


国は「騒音負担の分散」などと言い始めましたが、そんな説明は、運用開始まで一度もありませんでした。運用ありきの論理破綻です。機能強化にもならず、住民からもパイロットからも声が上がっている新ルートをそうまでして運用したい理由は何なのでしょうか。お聞きします。

問3:都心上空を避けるルートを真剣に検討するよう、区として求めるべき

こうしたなか、国交省は新ルートを始めて1年満たないにも関わらず、固定化回避に係る技術的検討会を設置し、これまで3回開いています。羽田への飛行方式について、12の案が出され、メリット・デメリットを検討し、さらに絞り込むとしています。

しかし、当区、都心上空の飛行が前提です。検討案では、都心上空で曲線を描いて、現在よりショートカットする方法を考えているようですが、航空評論家の杉江弘氏は「どれも羽田でできるものではなく、国際的に通用しない飛行方法であり、より危険が増すだけ」と指摘しています。

(参考記事:羽田新ルートの「固定化回避」は実現するのか


都心ルートのままである限り、対策をとるほど新たな問題が現れ、悪循環に陥っているのが羽田新ルートです。パイロットや管制官など現場を無視して、国が強引に推し進めたことが矛盾の元凶です。


安全が第一になっていない羽田新ルートは中止し、元の海上ルートに戻すしかありません。住民をごまかすだけの時間稼ぎの検討会は止め、都心上空を避けるルートを真剣に検討するよう、区として求めるべきです。それが住民の願いに応えることではないでしょうか。お聞きします。

環境部長

環境部長
環境部長

答1:区民への丁寧な情報提供を行うことを改めて要請した

私から羽田新飛行経路および福島第一原発の処理水についてお答えします。はじめに、羽田新飛行経路についてです。

区はこれまで、新飛行経路の導入にあたり、落下物・騒音対策を確実に実施し、対策の強化に努めるよう繰り返し国に要請してきました。国は落下物防止対策基準の策定、駐機中の機体チェックや情報収集・分析の強化、低騒音機導入の促進など、対策を講じてきました

また、航空安全情報自発報告制度によるパイロットからの提言を受け、南西強風時には従来経路に切り替えるなどにより、安全な運用を確保しているとしています。


米国で航空機エンジン損傷事案が発生したことから、区は「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」を通じて、国に対し原因を早急に究明し、類似事案を発生させないために必要な措置を講じること、当該落下物事案を含む落下物・騒音対策について区民への丁寧な情報提供を行うことを改めて要請したところです。

答2:区はお答えする立場にありません

新飛行経路の運用については、国の責任において行うべきものであり、区はお答えする立場にありません。なお、国は羽田空港における将来的な交通需要の拡大を見据え、我が国の国際競争力の強化などの観点から、羽田空港の機能強化を決定しており、新飛行経路の運用は必要であるとしています。

答3:検討会の動きを注視していきます

羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」では、最近の航空管制や航空機の技術革新の進展を踏まえ、現在の滑走路の使い方を前提とした上で、騒音軽減等の観点から見直しが可能な方策について検討しています。これまでに3回開催された検討会では、羽田空港へ導入可能性のある飛行方式の絞り込み、導入する場合の課題の整理が行われています。引き続き検討会の動きを注視していきます

 

雑感

今回の定例会本会議の一般質問では11人登壇して、羽田新ルート問題を取り上げたのは小松あゆみ議員(共産)だけ。質問内容は事前によく勉強した跡が見受けられるのだが、原稿棒読みなので迫力不足。環境部長の答弁は、国に丸投げスタンスが貫かれている。

飛行騒音の影響を受ける練馬区民の3割・21万人(筆者調べ)は、このような区議会の状況を知っているのだろうか……。

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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