羽田新ルートに係る「都議会自民党」所属議員の過去4年間の発言実績を以下に整理しておく。
※2021年(令和3年)の東京都議会議員選挙は、6月25日告示、7月4日投開票。
※朱書きは筆者コメント。
- 21年2月24日 第1回定例会 : 羽田空港のさらなる機能強化、欠かせません
- 20年11月16日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、積極的に
- 20年10月21日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、ぜひとも必要
- 20年3月19日 都市整備委員会:羽田空港の一層の機能強化、積極的に
- 19年10月31日 都市整備委員会:羽田空港の増便、非常にいいこと
- 19年9月10日 第3回定例会:羽田空港の機能強化、必要不可欠
- 19年3月20日 都市整備委員会:羽田空港の一層の機能強化、積極的に
- 19年2月15日 都市整備委員会:住民の不安が払拭されるよう
- 18年11月16日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、積極的に推進
- 18年6月8日 都市整備委員会:住民の不安が払拭されるよう
- 18年2月15日 都市整備委員会:発着容量拡大、可能な限り協力
- 17年12月6日 第4回定例会:羽田空港の機能強化は重要
- 17年11月20日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、積極的に推進
- ★雑感(自民の羽田新ルート推進姿勢は筋金入り)
東京都議会HPの「会議録検索」を使って、「羽田」でヒットした新しい順。
※17年第3回定例会以降、21年第1回定例会本会議(速報版)までが検索対象(21年第1回定例会の各委員会は含まない)。
21年2月24日 第1回定例会 : 羽田空港のさらなる機能強化、欠かせません
都議会自民党の代表質問のなかで「羽田空港のさらなる機能強化を初め、首都圏全体との結びつきを強める道路交通インフラ整備が欠かせません」と明言。
【山崎一輝 議員(江東)】
(前略)コロナ禍の今、ポストコロナを見据えた東京の成長戦略をしっかり描くことが大変重要になっています。そして、東京の国際競争力を高めていくには、羽田空港のさらなる機能強化を初め、首都圏全体との結びつきを強める道路交通インフラ整備が欠かせません。(以下略)
20年11月16日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、積極的に
自民を代表して、羽田空港の機能強化と国際化を積極的に進めることを明言。
【山田加奈子 議員(北)】
東京都議会自由民主党を代表して、令和元年度各会計決算について意見開陳を行います。(中略)
都市整備局については、都市づくりのグランドデザインで描いた東京の将来の都市像実現に向けた取り組みを着実に推進し、羽田空港の機能強化と国際化、広域幹線道路ネットワークの形成、公共交通の整備やバリアフリー化を積極的に進められたい。(以下略)
20年10月21日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、ぜひとも必要
主語(私は)を明確にしたうえで、「羽田空港の機能強化というのはぜひとも必要」と断言。
【鈴木章浩 議員(大田)】
(前略)私は、インバウンドの増加などによって、我が国の国際競争力の強化というのは、首都圏空港のさらなる機能強化が求められているわけであって、成田空港とともに、この羽田空港の機能強化というのはぜひとも必要だというふうに考えているんですけれども、まず改めて、羽田空港の機能強化について東京都の見解をもう一度お伺いいたします。
20年3月19日 都市整備委員会:羽田空港の一層の機能強化、積極的に
自民を代表して、羽田空港の一層の機能強化を積極的に取り組むことを明言。
【菅野弘一 議員(港)】
都議会自民党を代表して、本委員会に付託されました令和2年度予算関係議案について意見開陳を行います。(中略)
騒音対策、落下物対策、住民への周知徹底等に万全を期すとともに、羽田空港の一層の機能強化や国際化及び空港アクセスの整備に向けて積極的に取り組まれたい。(以下略)
19年10月31日 都市整備委員会:羽田空港の増便、非常にいいこと
羽田空港の増便は、東京・日本の経済にとって非常にいいことだと明言している。
【秋田一郎 議員(新宿)】
(前略)ご案内のとおり、国の方では、2020年3月29日から新航空経路の運用を開始し、羽田空港において国際線を年間3.9万回増便することとしております。羽田空港の増便によって、人や物や、あるいはお金が動いていくことは、東京の経済にとっても、もちろん日本の経済にとっても、非常にいいことだと思います。けれども、一方で空港周辺のインフラ整備は案外進んでいないというのが現状でございます。(以下略)
19年9月10日 第3回定例会:羽田空港の機能強化、必要不可欠
「我が党は(略)思っております」という表現はヘン。代表質問ではなく、一般質問のなかでの発言なので、「羽田空港の機能強化については必要不可欠だと思っております」は港区選出の菅野議員の強い意志なのであろう。
【菅野弘一 議員(港)】
(前略)我が党は、東京の国際競争力の強化、東京2020大会の円滑な実施のためにも、羽田空港の機能強化については必要不可欠だと思っております。(中略)騒音、安全対策の実施の徹底を引き続き図るとともに、住民に対し、丁寧な説明を続け、飛行開始後も円滑に運用が進められるよう、国に一層要請すべきものと考えます。東京都の見解を求めます。(以下略)
19年3月20日 都市整備委員会:羽田空港の一層の機能強化、積極的に
自民を代表して、羽田空港の一層の機能強化を積極的に取り組むことを明言。
【高橋信博 議員(小平)】
都議会自民党を代表して、本委員会に付託されました平成31年度予算関係議案について意見開陳を行います。(中略)騒音対策、落下物対策、住民への周知徹底等に万全を期すとともに、羽田空港の一層の機能強化や国際化及び空港アクセスの整備に向けて積極的に取り組まれたい。(以下略)
19年2月15日 都市整備委員会:住民の不安が払拭されるよう
「住民の不安が払拭されるよう」といいながら、請願2件・陳情2件のうち、3件は不採択(≒却下)、1件(羽田空港の機能強化等並びに新飛行経路における情報公開及び説明責任に関する陳情)だけ「趣旨採択」(≒実質的には却下)。
【神林茂 議員(大田)】
(前略)我が党といたしましては、前回同様、これからの航空機の必要性とともに、従来より騒音対策や落下物対策、地元住民への情報提供や説明などの対策に万全を期すとともに、特に地元地域については、過去の移転への経緯を十分に理解した上で、地元の意向にも可能な限り対応することを強く要望してきており、都としても、それに応えて現在取り組みが進められ、一定の成果も出てきております。
したがって、東京都では、今後とも引き続き住民の不安が払拭されるよう、こうした取り組みを全力を持って進めていくことを改めて要望して、私の意見表明といたします。
採決の結果、第94号(下記黄色)だけが「趣旨採択」、ほか3件は不採択(≒却下)となった。「趣旨採択」とは、請願、陳情の願意は妥当であるが、その実現性について、当分の間は不可能である場合、「趣旨には賛成である」という意味の議決をいう。
- (第42号)国に羽田空港増便による都心低空飛行計画の撤回を求めることに関する請願
- (第43号)国に新都心低空飛行ルートの「教室型説明会」の開催を求めることに関する請願
- (第94号)羽田空港の機能強化等並びに新飛行経路における情報公開及び説明責任に関する陳情
- (第112号)羽田空港の国際線増便計画に伴う都心上空の低空飛行の中止に関する陳情
18年11月16日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、積極的に推進
自民を代表して、羽田空港の機能強化を積極的に推進することを明言。
【清水孝治 議員(立川)】
東京都議会自由民主党を代表して、平成29年度各会計決算について意見を開陳いたします。(中略)羽田空港の機能強化と国際化、広域幹線道路ネットワークの形成、公共交通の整備やバリアフリー化を積極的に推進されたい。(以下略)
18年6月8日 都市整備委員会:住民の不安が払拭されるよう
19年2月15日 都市整備委員会での発言(上述)は、下記発言とほぼ同じコピペ発言であったことが分かる。
【神林茂 議員(大田)】
- 議題「羽田増便に伴う都心上空縦断の新ルートの情報公開と都民の安全を求める陳情」
(前略)我が党といたしましては、これからの航空機の必要性とともに、従来より騒音対策や落下物対策、地元住民への情報提供や説明などに万全を期すことを強く要望してきており、東京都としても、それに応えて現在取り組みが進められ、一定の成果も出てきております。
したがって、東京都では、今後とも引き続き住民の不安が払拭されるよう、こうした取り組みを全力をもって進めていくことを改めて要望しておきます。
採決の結果、不採択(≒却下)となった。
18年2月15日 都市整備委員会:発着容量拡大、可能な限り協力
「住民への丁寧な情報提供」と言いながら、羽田新ルートの陳情案件を却下した。
【神林茂 議員(大田)】
- 議題「羽田空港増便による都心での新低空飛行ルートの再検討を国に求めることに関する請願」
(前略)羽田空港の発着容量拡大は、我が国の発展のために避けては通れない国策であり、可能な限り協力して、空港と地元の共存、共生を図っていくべきであると考えております。(中略)都においても、安全管理については万全を期した対策を図るよう国に強く求めるとともに、航空機騒音の影響を最小限にするための一層の取り組みと住民への丁寧な情報提供についても、引き続き国に対して強く働きかけるよう要望しておきます。
採決の結果、不採択(≒却下)となった。
17年12月6日 第4回定例会:羽田空港の機能強化は重要
自民を代表して、羽田空港の機能強化は重要であると明言。落下物対策には触れているが騒音対策には触れていない。
【鈴木章浩 議員(大田)】
東京都議会自由民主党を代表して質問いたします。(中略)都心から近く、24時間オープンしているという強みを持つ羽田空港の国際線が増便すると、企業誘致、投資にも追い風となり、東京や我が国の国際競争力の向上に大きく寄与し、さらなる国際競争力強化には、日本の玄関口である羽田空港の機能強化は重要であると考えます。
一方、本年9月には、成田空港周辺や大阪で航空機のパネルが落下するなど、住民を不安に陥れる事態が発生しました。(中略)羽田空港での航空機からの落下物対策について、国はどのように取り組んでいくのか、また都の今後の取り組みについて、所見をお伺いいたします。(以下略)
17年11月20日 決算特別委員会:羽田空港の機能強化、積極的に推進
自民を代表して、羽田空港の機能強化と国際化を積極的に推進することを明言。
【柴崎幹男 議員(練馬)】
東京都議会自由民主党を代表して、平成28年度各会計決算について意見を開陳いたします。(中略)
羽田空港の機能強化と国際化、広域幹線道路ネットワークの形成、公共交通網の整備やバリアフリーを積極的に推進されたい。(以下略)
★雑感(自民の羽田新ルート推進姿勢は筋金入り)
17年7月の選挙以降の4年間で「都議会自民党」の議員が定例会で羽田新ルートに言及したのは上記のとおり13件であった。
これら13件の発言を時系列に整理したのが次表。
19年第2回定例会(6月)以降、羽田新ルート問題に全く触れていない都民ファーストとは異なり、自民党は過去4年間まんべんなく羽田新ルートに言及している。しかも常に積極的に推進する姿勢は筋金入りである。
※厳密にいえば定例会の期間外で開催された委員会もあるが、煩雑さを避けるため便宜的に定例会の枠内に記入した。
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