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羽田新ルートの質疑応答時間が減少傾向!?|渋谷区議会「21年第1回定例会」

渋谷区議会の「21年第1回定例会」本会議の代表・一般質問(2月24~26日)で、羽田新ルートに関して4名の議員から質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、全文テキスト化(約3千300文字)しておいた。

※以下長文。時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。

※投稿21年3月4日(追記23年9月30日:鈴木建邦 議員)


質疑応答のポイント

五十嵐千代子 議員(共産)

五十嵐千代子 議員(共産)
五十嵐千代子議員(共産、区議9期、国学院大学Ⅱ部卒、66歳)

五十嵐:羽田新飛行ルートの取り消しを国に求めるべき

羽田空港の都心低空飛行ルートの運用がコロナ禍で大幅減便にも関わらず実施されていることに多くの区民が怒りの声を上げています。

新ルートの取り消しを求めた訴訟の第2回口頭弁論で陳述した区民の方は、昨年12月の日本航空機が那覇空港離陸直後にエンジンを損傷した事故などを挙げ、「もし川崎コンビナートに落下したらどうなったか、住民の生命・財産の侵害を予防できない航空行政は公共の福祉ではない」と指摘されました。


このまま都心低空飛行を続ければ事故の危険性が増大するばかりです。改めて区長は区民の命と財産を守るため、羽田新飛行ルートの取り消しを国に求めるべきです。所見を伺います。

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長(無所属、2期、元渋谷区議会議員3期、専修大学商卒、48歳)

区長:現段階では、国に取り消しを求める考えはありません

次に、羽田空港新飛行ルートについてのお尋ねです。

羽田空港新飛行ルートについては、これまでも貴会派のご質問にお答えしているとおり、国の責任において、引き続き丁寧な説明と十分な情報提供を行うよう、また騒音対策や安全対策等に対して、さらなる取り組みの強化を図るよう、必要に応じて国に対して求めていきます


こうしたことから、現段階では、国に取り消しを求める考えはありません

五十嵐:危険な都心低空飛行は撤回するしかない

区長に再質問いたします。羽田空港新飛行ルートと広尾病院の独法化についてです。

昨年12月、那覇空港でエンジン破損を起こした日航機と同じボーイング777型航空機が22日、アメリカでエンジン損傷。部品が住宅に落下する事故を起こしました。オランダでも20日、ボーイングの航空機が破損し、部品落下で2人が負傷したことが発表されています。


国土交通省は全日空と日航の同型機の点検強化を指示しましたが、「外国の航空機の点検はできない。落下物のリスクをゼロにすることもできない」と、この間国会答弁で述べています。


区長は「国で説明すべきだ」と述べていますが、こうした危険が今のまま低空飛行を都心で続ければ起こることを避けることはできません。危険な都心低空飛行は撤回するしかないと考えます。

改めて区長の答弁をこの2件の事故を通じてどのように受け止めるのかを伺います。

 区長:今までの答弁が変わることもありません

五十嵐議員の再質問に順次お答えします。

まず羽田の件ですけども、これも再三答えしてる通りですが、区からの要望は区として、しっかり国にこれからも変わらずに伝えてまいります。ですので、今までの答弁が変わることもありません

治田 学議員(立憲民主党)

治田 学議員(立憲民主党)
治田学議員(立憲民主、区議3期、長妻昭元秘書、専修大卒、50歳)

治田:区長は今年度、この問題について特別区長会等で発言された?

次に、羽田空港問題について、前回質問でお聞き出来なかったことについて、端的にお尋ねいたします。

区長は今年度、この問題について特別区長会等で発言されたでしょうか。また、国土交通省と直接のやり取りをされたでしょうか。

加えて、同様に何かしらの会議もしくは国土交通省とのやり取りが副区長、または部課長レベルで行われていましたら、それについてもあったのであればそれぞれ日付と内容についてお聞かせください。区長の答弁を求めます。

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長

区長:昨年8月、特別区長会として、要望しました

次に、羽田空港の機能強化に係る対応についてのお尋ねです。

昨年8月、特別区長会として、国の施策および予算に関する要望において羽田空港の機能強化に係る対応に関し、騒音影響や落下物対策等の安全管理などの課題への住民が納得できる取り組み、丁寧な説明および情報提供を行うよう要望しました


また、同月このことについて、国へ働きかけることを東京都に対しても要望をしています。

さらに9月には区役所において国土交通省に直接同様の趣旨を伝えました

加えて区としては昨年3月29日の運用開始以来、区民の皆様から頂いたご意見・ご要望については、都度必要に応じて国に対して伝えてきたところですが、国が夏ダイヤの運用実績をまとめたことに合わせ、改めて先月の20日に国交省に対して、羽田空港の機能強化に関する要望を行っています。


なお、副区長および所管部署における国交省との会議等については、概要の報告を受けております。日々の業務の中で適宜適切に遂行しているものと認識しています。

治田(所感):都心低空飛行は中止にするべき

所感をいくつか述べさせていただきます。
(中略)

羽田空港の問題について20日に先程、ほかの議員からもありました。ユナイテッド航空のボーイング・スリーセブンがエンジンが炎上したあの映像、ここでも見られた方いると思います。


もし仮に渋谷区の上空であれが起きたらと思った方も多いのではないかと思います。都心低空飛行は中止にするべきであるということを改めて指摘をいたします。

堀切稔仁 議員(れいわ渋谷)

堀切稔仁 議員(れいわ渋谷)
堀切稔仁議員(れいわ渋谷、区議3期、東京綜合写真専門学校卒、52歳)

堀切:緊急事態宣言、不必要な都心低空飛行は区として抗議すべき

次に、羽田空港の低飛行問題についてでございますが、緊急事態宣言のなか、便数が減ってんのに、この新飛行ルートをどんどん飛行機は飛ぶと。

多くの区民の皆様から、これはもう大変やめていただきたいと。


そして多くの区民の皆さんから、「区は国土交通省に何も言わないのか」と、非常に嘆きの声があります。せめて、緊急事態宣言を、不必要な都心低空飛行は区として抗議すべきでありますし、東京都からも抗議していただくように働きかけてはいかがでしょうか。

区長のご所見をお願いします。

長谷部健 渋谷区長
長谷部健 渋谷区長

区長:国が判断することで区が判断することではありません

次に、羽田空港新飛行経路についてのお尋ねです。
羽田空港新飛行経路の運用は国の責任において行われるものであり、緊急事態宣言のなか飛ばす必要があるかどうかは国が判断することで区が判断することではありません


その上で、具体の行動とのことですが、昨日の立憲民主党渋谷、治田学議員の代表質問にお答えしたとおり、国や都に対し、騒音対策、安全対策、情報提供等について、さらなる取り組みの強化と対策を講じるよう要望を行っています


また、国土交通省職員による「飛ばす必要はない」との趣旨の発言については承知していませんが、国からは、「減便の中で新飛行経路の運用はコロナ収束後の復興に備えているため必要である」と聞いています

堀切:区長は何もやらないって(区民は)言うんですよ

さらにもう一つ、これは検討していただきたいんですが、渋谷の上空を飛ぶ飛行機に関しては、やはり「海から入って海から出る」と。こういう原則に立たないと。


区長は何もやらないって(区民は)言うんですよ。ですから区民は(区長は羽田新ルートへの対応をキチンとやっているとは)思ってません。

是非とも、対応をきちっと明確に、区長からやってるという、区から(羽田新ルートへの対応をキチンと)やってるということころを是非(区民に)見せてください。

区長:区としてできること、それはしっかりとやってきております

羽田空港についてですけども、再三ご説明しておりますが、区としてできること、それはしっかりとやってきております

 

鈴木建邦 議員(無所属)

鈴木建邦 議員(無所属)
鈴木建邦 議員(無所属、区議5期、東大経済卒、46歳)

鈴木:今後も定期的に要望等を国に届けるべき

今後、航空便の需要が回復してくると、羽田空港新ルートについてまた苦情等が増えてくるとも考えられます。エンジン事故もありました。今後も定期的に要望等を国に届けるべきと考えますがいかがでしょうか。区長の見解を伺います。

区長:引き続き要望等を行っていきます

羽田空港新ルートについてのお尋ねです。

昨日、立憲民主党渋谷、治田 学議員の代表質問、また先ほど、れいわ渋谷、堀切稔仁議員の一般質問にお答えしたとおり、区民の皆様からいただいいた御意見、御要望については、都度、必要に応じて国に対し伝えております。

また、今般、国が夏ダイヤの運用実績を取りまとめたことに合わせて、改めて先月20日に国土交通省に対して「羽田空港の機能強化に関する要望」を行いました。

今後も、国に対して、区民の安全・安心と生活環境を守る立場から、騒音対策、安全対策、情報提供等について、さらなる取組の強化と対策を講じるよう引き続き要望等を行っていきます。

雑感(質疑応答時間が減少傾向!?)

羽田新ルート問題の質問に対して、過去2年間でたった1回しか答弁に立たなかった濱野健 品川区長。それとは対照的な長谷部健渋谷区長。同じ健で、こうも違うものなのか。

長谷部品川区長は毎回答弁に立ち、自分の言葉で説明しようしている。そして、国に丸投げロジックを貫く長谷部区長の姿勢には1ミリもブレはない。

羽田新ルートの本格運用が20年3月に始まって、20年6月の第2回定例会以降、羽田新ルート問題を取り上げる議員数に大きな変化はないものの文字数(≒質疑応答時間)に減少傾向が見られる(次図)。

この現象は、取りあえず羽田問題を取り上げておく姿勢だけは支援者らに見せておこうという、議員の後ろ向きな姿勢を意味しているようなことはないのだろうか。

長谷部区長の”国の責任論”の一点張りに議員が押し切られ、議員の質問内容に鋭さが感じられないがゆえにそのように思った次第である。

羽田新ルートに係る本会議定例会の 代表・一般質問の登壇者数・質疑応答文字数推移(渋谷区議会)

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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