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丸山穂高 衆議院議員の質問主意書(通学路沿い等の空き家対策)

第204回国会(21年1月18日~6月16日)の衆議院の質問主意書51件(2月23日現在)のなかに、32番目として 空き家対策に係る次の質問主意書が埋もれている。

丸山穂高 衆議院議員(N国党)が2月5日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

読みやすいように、一問一答形式に再構成しておいた。
※以下長文。時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。

※下記朱書きは、関連情報。


質疑応答のポイント

丸山穂高 衆議院議員
丸山穂高 衆議院議員(3期、維新除名⇒N国党、元経産官僚、東大経済卒、37歳)

空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という。)は、平成26年に議員立法によって制定され、平成27年5月に全面施行された。

これにより、放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある等の特定空家等については、助言・指導、勧告、命令が行えることとなるなど、市区町村が空き家に対処するための手段が法的に整備された意義は大きい

他方で、人口減少などを背景に空き家の増加傾向は継続しており、総務省「住宅・土地統計調査」によると、「空き家」の総数は平成10年の576万戸から平成30年の849万戸と20年間で約1.5倍となった。


とりわけ、周辺に通学路等の高い安全性の確保が求められる場所がある空き家(以下「通学路沿い等の空き家」という。)については、自らの判断で危険から身を守ることが難しい児童生徒などの生命・身体の保護を確実なものとすべきという観点や、より積極的な対処を求める地域住民の要望が強いことなどから、引き続き、空家法の見直しも含めた取組の強化が必要である。

上記を踏まえ、以下質問する。

問1:空家法の施行の状況等

問1-1:空家法の施行の状況及びその評価?

空家法の附則において「政府は、この法律の施行後5年を経過した場合において、この法律の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。」と規定されているが、同法が全面施行されてから令和2年5月で既に5年が経過している。

そこで、空家法の施行の状況及びその評価について、政府の認識を問う。 

問1-2:空家法の規定について検討を加える必要がある?

1(問1-1)の状況等を踏まえ、政府として、空家法の規定について検討を加える必要があると認識しているのか、明らかにされたい。

答1:法制上の措置の要否を含め検討してまいりたい

令和2年3月31日現在、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第6条第1項の規定に基づき空家等対策計画を作成している市町村(特別区を含む。以下同じ。)は、全市町村の69.4%に相当する1,208団体、法第7条第1項の規定に基づき協議会を組織している市町村は、全市町村の46.6%に相当する812団体と承知している。


また、法施行後における法第14条の規定に基づく特定空家等(法第2条第2項に規定する特定空家等をいう。以下同じ。)に対する措置を実施した件数は、同日までの累計で、法第14条第1項の規定に基づく助言又は指導については1万9029件、同条第2項の規定に基づく勧告については1351件、同条第3項の規定に基づく命令については150件、同条第9項の規定に基づく代執行については69件、同条第10項の規定に基づく代執行については191件と承知している。


政府としては、法に基づき、多くの市町村において積極的に空き家対策が進められていると認識しており、まずは、こうした市町村における法の施行状況を踏まえつつ、現行法の規定に基づいて、同条第14項の規定に基づき定められた「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(以下「ガイドライン」という。)の改正等の必要な措置を講じてきているところであり、引き続き、空き家対策のより一層の推進のための措置について、法制上の措置の要否を含め検討してまいりたい。 

※空家法が施行されて以降の特定空家等の措置状況(全国)の推移を次図に示す。

特定空家等に対する措置状況の推移(全国)
特定空家等「助言・指導」件数、北海道・新潟が特に多い」より

問2:通学路沿い等の空き家への対応強化

問2-1:周辺に通学路、考慮すべき事項に含まれる?

空家法に基づく助言・指導、勧告、命令は、市区町村が特定空家等として認識することが前提となっているが、その判断に当たっては「「特定空家等に対する措置」に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」(以下「ガイドライン」という。)が大きな役割を果たしている。

しかし、ガイドラインにおいて、周辺に通学路があることが「特定空家等に対する措置」の実施の判断に当たって考慮すべき事項に含まれているかは明示されているわけではない。そこで、

  • ①ガイドラインの「第2章「特定空家等に対する措置」を講ずるに際して参考となる事項」において「「特定空家等」が現にもたらしている、又はそのまま放置した場合に予見される悪影響の範囲内に、周辺の建築物や通行人等が存在し、又は通行し得て被害を受ける状況にあるか否か等により判断する」とされているところであるが、周辺に通学路があることは、「特定空家等に対する措置」の実施の判断に当たって考慮すべき事項に含まれると考えるが、政府の認識を問う。
  • ②また、周辺に通学路があることが「特定空家等に対する措置」の実施の判断に当たって考慮すべき事項に含まれないとの認識であるならば、政府はその認識を改めるとともに、ガイドラインを見直し、周辺に通学路があることを考慮すべき事項として明記する必要があるのではないか。 
答2-1:地域の実情に応じて総合的に判断する

周辺に通学路がある空家等(法第2条第1項に規定する空家等をいう。以下同じ。)について、法第14条の規定に基づく特定空家等に対する措置を講ずるか否かについては、ガイドラインにおいて、「「特定空家等」が現にもたらしている、又はそのまま放置した場合に予見される悪影響の範囲内に、周辺の建築物や通行人等が存在し、又は通行し得て被害を受ける状況にあるか否か等」及び「その悪影響の程度が社会通念上許容される範囲を超えるか否か、またもたらされる危険等について切迫性が高いか否か等」により判断し、「その際の判断基準は一律とする必要はな」いとされており、周辺に通学路があるかどうかを含め、当該空家等の状態及び当該空家等の存する地域の実情に応じて総合的に判断することとなると考えている

問2-2:通学路沿い等の空き家、迅速に対処する必要がある

特定空家等である通学路沿い等の空き家については、周辺の安全性確保等の観点から、特に迅速に対処する必要がある

しかし、空家法に基づく特定空家等に対する措置は、助言・指導、勧告、命令の3つの段階を必ず経る必要があるため、緊急事態の場合であっても、各段階を省略することはできず、当該空き家の除却等に至るまでに、相当の時間を要する

事例によりばらつきがあるものの、特定空家等として認識してから代執行の実施までに1年以上を要したものも現に見られる。


特定空家等である通学路沿い等の空き家に関しては、所有者等を把握できない場合に限らず、必要に応じて助言・指導及び勧告を経ずに、簡易・迅速な手続で、緊急的な危険回避に必要な最小限度の命令等を行えるような手段を、空家法に位置付ける必要があるのではないか、政府の見解を問う。

答2-2:必要に応じて、(略)適切に対処されるよう促してまいりたい

法第14条の規定に基づく特定空家等に対する措置については、財産権に対する制約を伴う行為が含まれるため、当該特定空家等の所有者等(法第3条に規定する所有者等をいう。)に対し、行政指導である助言又は指導及び勧告を経た上で、不利益処分である命令等を行うことができるとされていることから、現時点では、御指摘のような「簡易・迅速な手続」に関する規定を設けることについては、慎重な検討が必要であると考えている。


もっとも、法第2条第2項において、特定空家等とは、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等」と定義されており、将来の蓋然性を考慮して特定空家等であると判断できるものであることから、市町村において、御指摘の「特に迅速に対処する必要」が生じる前の段階から、必要に応じて、法第14条の規定に基づき、適切に対処されるよう促してまいりたい

雑感

北方領土滞在中の言動で物議を醸し、日本維新の会を除名され、現在N国党の副党首である丸山穂高衆議院議員。マスメディアのこれまでの扱いはさておき、この質問主意書も含め同議員がこれまで提出したの質問主意書(文末の「あわせて読みたい」参照)を読む限り、地味な分野ではあるが重要な問題としてよく勉強している印象を受ける。

政府答弁を一言でいえば、ガイドラインを策定し対応しているので問題ないというスタンス。

あわせて読みたい(丸山議員の質問主意書)

2020年6月1日、このブログ開設から16周年を迎えました (^_^)/
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