第203回国会(20年10月26日~12月5日)の衆議院の質問主意書83件のなかに、40番目として羽田新ルートに係る次の質問主意書が埋もれている。
松原仁 衆議院議員が11月26日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。
松原仁 衆議院議員(7期、立憲民主党、早大商卒、64歳)
2001年に発生した米国での同時多発テロ以降、わが国のテロ対策は飛躍的に進んでいる。特にニューヨークの貿易センタービル2棟に航空機が激突し崩壊させたことは、ハイジャック対策の強化の重要性を認識させた。
諸外国では飛行中の航空機と無線連絡が取れないなど、不測の事態が発生した場合には、軍用機をスクランブル発進させ撃墜することもあり得るなどの対策を行っているとのことである。
わが国では羽田空港発着の飛行機が都心部上空を飛行する新飛行ルートの運用が始まり、首都東京における飛行機テロに対し万全の対策を期さなければならない。そこで以下質問する。
問1:ハイジャックされた飛行機、撃墜体制は整っているか
わが国のテロ対策として、ハイジャックされた飛行機が安全への脅威とみなされた場合、航空自衛隊機等によりその撃墜が行われる体制は整っているか。
問2:羽田新ルート、どのような対策を講じているか
羽田空港新飛行ルートのように人口が密集する都心部や市街地上空を飛行する飛行機の撃墜は、海上や山間部などに比べて被害の抑えられる地点が少ないと考えられるが、どのような対策を講じているか。
答1&2:仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい
政府としては、従来より、空港における先進的な保安検査機器の導入の推進等、御指摘のハイジャックを含むテロの未然防止のための諸対策を推進してきているところであり、御指摘の「ハイジャックされた飛行機が安全への脅威とみなされた場合」との仮定を前提としたお尋ねにお答えすることは差し控えたい。
雑感
仮定であっても、起こり得る事実に対して、効果的な対策を準備しておくことは国の責務である。
「機密情報を含んでいるので、具体的な対策については差し控えたい」という回答ならばまだ理解も得られよう。
菅政権が得意とする「仮定の質問・差し控え技」をすんなり受け入れる羽田新ルート周辺の住民はどれほどいるのだろうか……。
あわせて読みたい(松原議員の質問主意書)
これまでに松原仁議員が提出した、羽田新ルートに係る質問主意書関連の記事:
※日付は本ブログで記事化した日
20年
- 12月10日:羽田新ルート運用を問う住民投票
- 12月10日:コロナ禍に伴う羽田空港発着の航空需要の減少
- 6月25日:航空機の降下率
- 3月23日:新型コロナ、モラトリアム適用
- 3月5日:着陸方式、パイロット懸念、デルタ・エアカナダ対応
- 2月4日:「飛行経路指定」に関する大臣告示
19年
- 12月16日:新飛行ルートの騒音調査
- 7月12日:区議会決議、公聴会、試験飛行、世論調査
- 6月13日:落下物防止のための洋上脚下げ
- 6月7日:京浜島の事業者・労働者への影響
- 6月6日:品川・渋谷区の見直しを求める決議への対応
- 5月31日:大田区との約束は!?
- 5月23日:低空飛行ルートの採用方法
- 5月23日:上皇陛下の仮住まい対策
- 2月26日:羽田空港への低空飛行問題
18年
- 12月18日:羽田空港新飛行ルート案の変更