”原稿棒読み総理”だとか、”答弁差し控え総理”だとか、だから議論が深まらないと嘆いている方。都議会や一部の区議会ではもっとひどい状況にあることをご存知だろうか。
19年・20年定例会(全8回)の代表・一般質問のうち、羽田新ルートに係る質疑応答スタイルにつき、筆者独自の観点で3つ星評価してみた。ただし、羽田新ルートが通過する13区議会と都議会が評価対象。
※再質問、再々質問が多いほど、高評価とした。
都・区議会定例会の質疑応答スタイル評価
都議会 ★
小池百合子 都知事
東京都技監(~20年第2回定例会)
都市整備局長(20年第3回定例会~)
過去7回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは5回。小池都知事が答弁したあと、技監や局長が補足答弁をするのが主なパターン。
共産党の議員から「新ルートは容認できないと表明すべき」との訴えに対して、「丁寧な情報提供」を繰り返す小池都知事と技監・局長。毎回、結果が見えているという意味では、共産党議員と小池都知事・技監・局長との間で繰り広げられるのはプロレスのような質疑応答である。
しかも、どのプレイヤーも原稿棒読み。
港区議会 ★
武井雅昭 港区長
過去8回の定例会で毎回、羽田新ルート問題が取り上げられた点だけは評価できる。ただし、再質問があったのは19年第4回定例会の1回だけ。
毎回、原稿棒読み大会が繰り広げられている。
新宿区議会
吉住健一 新宿区長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは3回。議員は再質問の代わりに「意見」を述べて終わり。
毎回、原稿棒読み大会が繰り広げられている。
江東区議会
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたことは1回もない。評価以前の問題。
品川区議会 ★★★
都市環境部長
過去8回の定例会で毎回、羽田新ルート問題が取り上げられている。
しかも、再質問ではなく、毎回多くの議員が再々質問まで繰り出している。
羽田新ルート問題が最も活発に議論されている区議会である。ただ、残念なことに濱野区長は、都市環境部長に答弁を丸投げ。
20年第4回定例会で区長が2年ぶりに羽田新ルート問題に答弁。議員が「本当に区長、ありがとうございました」と謝意を示したほど珍しい事態であった。
目黒区議会 ★★
青木英二 目黒区長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは3回。うち2回は再質問あり。
区長が自らの言葉で語っていることは、内容は別として評価できる。
大田区議会
松原忠義 大田区長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは4回。
再質問もなく、典型的な原稿棒読み大会になっている。
渋谷区議会 ★★★
長谷部健 渋谷区長
過去8回の定例会で毎回、羽田新ルート問題が取り上げられている。
しかも、再質問ではなく、毎回多くの議員が再々質問まで繰り出している。品川区に次いで、羽田新ルート問題が活発に議論されている区議会である。再々質問のあと、多くの議員が「意見」を述べて終わっているのが特徴的。
品川区長と違って、長谷部区長自らが答弁に立ち、自分の言葉で説明しようとする姿勢だけは評価できる。
中野区議会
酒井直人 中野区長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのはたったの1回なので、評価保留。
豊島区議会
呉祐一郎 副区長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは3回。
19年第4回定例会以降、副区長が答弁。再質問もなく、典型的な原稿棒読み大会になっている。
北区議会
生活環境部長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは3回。
区長は生活環境部長に答弁を丸投げ。再質問もなく、典型的な原稿棒読み大会になっている。
板橋区議会
坂本健 板橋区長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは2回。
再質問もなく、典型的な原稿棒読み大会になっている。
練馬区議会
環境部長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは3回。
区長は環境部長に答弁を丸投げ。再質問もなく、典型的な原稿棒読み大会になっている。
江戸川区議会 ★★
斉藤猛 江戸川区長
過去8回の定例会のうち、羽田新ルート問題が取り上げられたのは4回。
再質問のあと、「意見」を追加しているケースが見られる。
区長が自らの言葉で語っていることは、内容は別として評価できる。
まとめ
再々質問が行われるなど、活発な議論が行われているのは、品川区議会と渋谷区議会。次いで目黒区と江戸川区。
あとは、原稿棒読み大会になっている残念な区議会ばかり。とりわけ残念な区議会は、答弁を部長に丸投げしている北区議会と練馬区議会。
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