日本では空き家が増え続けている。そのまま放置すれば倒壊などの危険性が高く、近隣に悪影響を及ぼす空き家を「特定空家」に認定し、市区町村による指導や勧告、解体などの強制執行を行うことができる「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空家法)が2015年に制定された。
さらに、特定空家になってからの対応には限界があることから、特定空家になる前の段階から空き家の適切な管理が図られるよう2023年、「管理不全空家」に対する措置が新設された(次図)。
国交省は毎年、「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等」を公表しているので、可視化してみた。
「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!|政府広報オンライン」に筆者がピンクを加筆
※投稿20年11月27日(更新24年11月14日:23年度データ反映)
特定空家等「助言・指導」件数、20年度をピークに減少
空家法が施行されて以降の、管理不全空家等・特定空家等の措置状況(全国)の推移を次図に示す。
- 管理不全空家等 ※23年度新設
- 「指導」件数は1,091件。「勧告」は0件
- 特定空家等
- 「助言・指導」件数は20年度の5,755件をピークに減少。23年度は4,246件
- 「勧告」件数は22年度の622件をピークに減少。23年度は534件
- 「助言・指導」・「勧告」以外の件数は2桁どまり
- 「命令」(74件)、「行政代執行」(33件)、「略式代執行」(94件)、「緊急代執行(23年度新設)」(5件)
【メモ】(空家等対策の推進に関する特別措置法)
「管理不全空家等」
空家等が適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にあると認められる空家等をいう。(13条)「特定空家等」
以下の状態にある空家等をいう。(2条2項)
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
「助言・指導」、北海道ダントツ(23年度)
都道府県別の管理不全空家等「指導」・特定空家等「助言・指導」件数(23年度)を次図に示す。
ダントツで多いのは北海道840件(=管理不全空家等 51件+特定空家等 789件)。自治体面積が大きいため、件数が多くなることに留意する必要がある。
北海道以外で300件を超えているのは、次の7県。
- 兵庫 364件(52件+312件)
- 鳥取 258件(14件+244件)
- 新潟 249件(128件+121件)
- 三重 241件(129件+112件)
- 茨城 236件(136件+100件)
- 長崎 234件(0件+234件)
- 福島 213件(13件+200件)
地図化(23年度)
都道府県別の管理不全空家等の「指導」件数
都道府県別の管理不全空家等の「指導」件数(23年度)を地図に落としてみた(次図)。
相対的に中国地方や四国地方の自治体が少ない……。
都道府県別の特定空家等の「助言・指導」件数
都道府県別の特定空家等の「助言・指導」件数(23年度)を地図に落としたのが次図。
相対的に日本海側の自治体の件数が多く見えなくもない。積雪による倒壊懸念でもあるのだろうか……。
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