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湾岸エリアのマンション市場動向|20年第2四半期

国土交通省は8月21日、全国主要都市の計100地区を対象に四半期ごとに実施している「主要都市の高度利用地地価動向報告(地価LOOKレポート)」<20年第2四半期>を公表。

20年第2四半期(20年4月1日~20年7月1日)の佃、月島、豊洲、有明といった、湾岸エリアの新築分譲マンションの価格動向を中心に、不動産鑑定士のコメントをピックアップしておこう。

ざっくり言うと、前回から「横ばい」表記となっていた佃・月島に、豊洲・有明も仲間入りした状況。

※今回レポートは7月1日時点のものであるため、その後の新型コロナウイルス感染症者数の増加(いわゆる第2波)を受けた状況は反映されていない。


これまでの「上昇」基調が「横ばい」に一変した(次図、次表)。

20年第1四半期⇒20年第2四半期

湾岸エリアのマンション市場動向
「地区毎の総合評価(変動率)推移」(P12)を切り張り

【佃・月島】緊急事態解除宣言後、マンション分譲価格、横ばいで推移

緊急事態解除宣言以降は取引件数が徐々に回復しており、マンションの在庫数や需給動向に大きな変化は生じておらず、マンション分譲価格については横ばいで推移している。

地価動向
  • 当地区は銀座等の都心への優れた接近性を備えるとともに、東京タワーや東京スカイツリー等のランドマーク施設や河川等に囲まれた変化に富んだ眺望が得られることから、分譲・賃貸ともに高層マンションの需要が強く、人口・世帯数共に増加傾向にあり、さらなる発展が期待される。
  • 新型コロナウイルス感染症の影響により、新築マンション及び中古マンションの売買取引は停滞したが、緊急事態解除宣言以降は取引件数が徐々に回復しており、マンションの在庫数や需給動向に大きな変化は生じておらず、マンション分譲価格については横ばいで推移している。
  • マンション開発素地については、当地区内外で高層マンションの開発計画が見られ、デベロッパー等による素地に対する需要は継続して堅調であり、取引利回りは横ばいが続いて、当期の地価動向は横ばいで推移した。
将来地価動向
  • 新型コロナウイルス感染症の影響については予断を許さない状況であるが、BRTのプレ運行や環状2号線の整備等の都市基盤整備による利便性の向上が期待され、こうした背景からマンション市況は安定した状況が続くと予想され、将来の地価動向は概ね横ばいが続くと予想される。

【豊洲】緊急事態解除宣言後、マンション分譲価格、横ばいで推移

緊急事態解除宣言後は、販売活動が再開され、取引件数は徐々に回復しており、マンション分譲価格は横ばいで推移した。

地価動向
  • 当地区は、他の湾岸エリアと同様に需要者の購入意欲が底堅いエリアであることから、マンション需要は堅調に推移していたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い緊急事態宣言が発令され、当期前半は取引の停滞感が特に強かった
  • 緊急事態解除宣言後は、販売活動が再開され、取引件数は徐々に回復しており、マンション分譲価格は横ばいで推移した。
  • マンション開発素地の供給が極めて少ないこと等からデベロッパー等の開発素地に対する需要は安定しているものの、新型コロナウイルス感染症の影響等から取引利回りは横ばい傾向となり、当地区の地価動向は横ばいで推移した。
将来地価動向
  • 当地区は、利便性の高さから買換え需要を中心にマンション需要は引き続き安定的に推移すると予想され、優良なマンション開発素地に対する需要も安定した状態が持続すると見込まれるため、新型コロナウイルス感染症の影響による取引停滞等の懸念はあるものの、将来の地価動向は当期同様に概ね横ばいで推移すると予想される。

【有明】緊急事態解除宣言後、取引市場は低調に推移

緊急事態解除宣言後は徐々に取引等が見られ始めたが、取引市場は低調に推移し、上昇傾向にあったマンション賃料も横ばいで推移した。

地価動向
  • 当地区では、都心部に近接する湾岸エリアでの割安感や将来性等からマンション需要は堅調に推移していたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い緊急事態宣言が発令され、当期前半は取引等の動向がストップした状態であった。
  • 緊急事態解除宣言後は徐々に取引等が見られ始めたが、取引市場は低調に推移し、上昇傾向にあったマンション賃料も横ばいで推移した。
  • 一方で、当地区は国家戦略特区の認定を受けた大規模開発事業や東京五輪関連施設の整備のほか、環状2号線の開通や銀座と有明を結ぶ地下鉄構想による都心部へのアクセス向上等、その将来性により注目度は非常に高いことから、デベロッパーの安定した開発素地需要が見込めるエリアであることに変わりはなく、当期の取引利回りは横ばい傾向に留まって、当地区の地価動向は横ばいで推移した。
将来地価動向
  • 新型コロナウイルス感染症が終息せず、経済打撃や東京五輪開催延期が不動産市場へ与える影響の程度は依然として不透明であるが、当地区の将来性を背景にデベロッパーの開発素地取得需要は底堅く、将来の地価動向は横ばいで推移すると予想される。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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