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マン管業者への是正指導率4割、「参事官」新設で改善できるか?

国土交通省は7月27日「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(令和元年度)」を公表。
過去データを含めて可視化してみると是正指導率は13年度以降、4割程度で変わっていないことが分かる。
今月1日付けで新設された「参事官」の登場で、今後改善は図られるのかという話。


もくじ

 マン管業者への是正指導率、4割程度で推移

国土交通省は7月27日「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(令和元年度)」を公表。

「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(令和元年度)」文書を開いてみると、61社に是正指導を行ったことが記されている。

2.検査結果

今回の検査では、昨年度に引き続き、管理業務主任者の設置、重要事項の説明等、契約の成立時の書面の交付、財産の分別管理及び管理事務の報告の5つの重要項目を中心に、全国145社(昨年度146社)に対して立入検査を行い、61社(昨年度63社)に対して是正指導を行いました。

(以下略)

 

この調査は05年度から毎年実施されている。過去のデータを含めて可視化してみた。

マンション管理業者への是正指導率は13年度以降、4割程度で推移している(次図)。

マンション管理業者の全国一斉立入検査結果(調査対象数と是正指導率の推移)

 

是正指導された内訳を見ると、「重要事項の説明等」は10年度をピークに減少しているものの、13年度以降は23~36%で推移している(次図)。

マンション管理業者の全国一斉立入検査結果(是正指導の内訳)

3年連続完コピ対策で改善する気なし!?

上述のように13年度以降、さしたる改善が見られない。

国交省はどのような対応策を取っているのか、改めて過去の文書をひも解いてみて腑に落ちた。

今回の公表文書と過去2年の公表文書を読み比べてみると、「今後の対応策」の文章は完コピなのである(次図)。

マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(令和元年度)
「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(令和元年度)」(2枚目)

 

さらに、国交省がマンション管理業協会理事長に宛てた今回の要請文書と過去2年の要請文書を読み比べてみると、こちらもほぼ完コピなのである。

違いがあるのは、2か所(立入検査を実施した年度と是正指導した会社数)だけなのである(次図)。

【別添】マンション管理業の適正化について(要請)
「【別添】マンション管理業の適正化について(要請)」

 

これでは本気で改善しようとしているとは思えないのだが。

不動産管理業担当「参事官」の新設で改善できるか

マンション管理業協会理事長に宛ての文書を見ていて、「おやっ」と思ったのは、文書の発信者が「不動産・建設経済局参事官」となっていること。

昨年度までは「土地・建設産業局不動産業課長」だったのに、今回は「参事官」。しかも「土地・建設産業局」ではなく、「不動産・建設経済局」だ。

じつは、今月1日付けで、土地・建設産業局が再編されて「不動産・建設経済局」が誕生したのだ。

再編のポイントはいくつかあるが、そのなかのひとつが、不動産業課の不動産管理業(賃貸住宅・マンション・民泊)を担当する「参事官」の新設

国交省の人事異動情報「令和2年7月1日付(国土交通省第65の2号)」をひも解くと、参事官に任じられたのはS氏(東大法93年建設省)であることが確認できる。ただ、S氏がこれまで務めていた不動産業課長との兼務辞令である。

組織の改編が行われても、中身が伴っていなければ何も変わらないのではないか。

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