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羽田新ルート|足立区議会「20年第2回定例会」質疑応答

足立区議会「20年第2回定例会」本会議の代表般質問(6月24日)で、羽田新ルートに関して、土屋のりこ議員(足立区議会議会改革を全力で推し進める会)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約2千700文字)しておいた。


質疑応答のポイント

土屋議員

土屋のりこ議員
土屋のりこ議員(足立区議会議会改革を全力で推し進める会、区議2期、39歳)

3月29日から都内低空飛行が始まりました。東京2020大会に向け、増便し、羽田空港の機能強化を、と言われていましたが、大会は延期され、簡素化。旅客も新型コロナを受け減便となり、計画された便数で運用されたことは一度もない状況です。にもかかわらず、都心低空飛行を強行する姿勢は、本来全体の奉仕者であるべき国交省が営利を追求する航空業界の代弁者となってしまったかのようです


当区議会でも繰り返し危険性が指摘されており、住民の安全と公衆衛生を守る観点から、羽田利用便は「海から入って海へ出る」という確認が地元自治体との間に作られてきました。大田区だけの問題でなく、皆で考えないといけないと思います。地域住民と合意形成を図ることが重要であり、首都圏住民の安全と環境のための航空行政をこそ求める立場から質問します。

問1:区民の困り事の声を把握してる?

足立区東部地域に住む方たちから「マンション上空から羽田を離陸した飛行機が飛んでくるのが見える」。また、「区内に高層建築物が少ないため、街全体に音が響く」「これから便数が増えると思うとやんなってくる」と困り事の声を聞きます。区は、こうした区民の困り事の声を把握してるでしょうか

問2:足立区に侵入した飛行機、可能な限り把握に努め区民に知らせてほしい

北風時、荒川に沿って北千住へ入り足立区上空を通過して行くルートと、南風時の川口市方面から舎人上空をかすめて着陸するルートの便が足立区上空を通過していると思われますが、新飛行経路詳細地図では足立区上空をどう飛行するのか示されていません


国交省に問い合わせると6000フィート(約1829m)を超える想定のため把握していないと言いますが、実際の高度は100m単位でずれることがあるし、2017年9月23日、関西空港を離陸した航空機からパネルが落下した時は3km離れた大阪市内を走っていた車に当たっています。


また、6月3日、国土交通委員会において、新ルートの影響の大きさからの質問に国交大臣が「固定化を避けるための方策を検討する有識者会議を早急に立ち上げる」と答弁していますが、固定化させないということは、それ以外も飛ぶということで、限定した時間とルートだったはずが都内全域に低空飛行の危険が広がる恐れがあります。となれば足立区も新飛行ルートに無関係とは言えません。


上空を飛んでいたとしても、万が一落下物があった場合、落ちるのは地上であり、さらなるルート拡大なれば影響がより大きくなります。今後、低空飛行ルートはどうなるのか、区としても情報収集し、足立区に侵入した飛行機が区内をどう通過しているのか、区として可能な限り把握に努め区民に知らせてほしいが、どうか。

また、区民の暮らしの安全を守る立場から、国に意見を言っていってほしいが、どうか。

問3:国から定期的な情報提供を求め、区民に情報提供できる体制を

一方で、航空機の影響は騒音だけでなく、浮遊粒子状物質による大気汚染の問題が指摘されます。内陸飛行により飛行機の排出する排気ガスが下に暮らす住民に健康被害をもたらすことになります。新ルートは環境アセスメントを行っておらず、その影響についての調査は行われていません。


今年7月、ロサンゼルス国際空港の風下でジェット機から排出された超微粒子による被ばくを受ける地域に住む女性の間で早産率が増加しているとするカリフォルニア大学の研究結果が発表されました。妊娠中の女性が航空機の排出する超微粒子に暴露すると早産のリスクが高まるという公衆衛生上の問題です。新飛行ルートで内陸低空飛行が始まれば、超微粒子が密集市街地にばらまかれることになり、早産リスクの上昇が懸念されます。


航空企業が最小コスト、最短ルートで羽田へ飛行するために、住民の健康や居住の安心が脅かされてはいけません。

航空立地自治体である大田区は、離着陸する飛行機の騒音やゴーアラウンドと呼ばれる着陸やり直しなど、区民生活に与える影響について国から毎月報告を受けるとともに、議会へ報告し、区民に情報提供しています。

当区でも今後、国から定期的な情報提供を求め、区民に情報提供できる体制をとってほしいが、どうか。

都市建設部長

都市建設部長
都市建設部長

答1:飛行確認時5件、運用開始後3件

私からは、羽田空港低空飛行ルートに関するご質問にお答えいたします。

まず、飛行に関する区民のお困り事の声を把握しているかとのご質問でございますが、本格運行の3月29日前の、実際の航空機による飛行確認時には5件のお問い合わせがありましたが、運用開始後のご要望は3件にとどまっております

答2:国に情報提供を求めるとともに、区民の皆様へ適宜情報提供

次に、低空飛行ルートについて区として情報を集約し、足立区に侵入した飛行機が区内をどう通過するか、区民へ知らせて欲しいとのご質問についてお答えいたします。


現在の飛行ルートの考え方によれば、飛行機が足立区上空を低空で飛行することはありませんが、飛行ルートの固定化を避けるために国が設置する有識者会議の状況につきましては、国に情報提供を求めるとともに、区民の皆様へ適宜情報提供してまいります


なお、落下物対策につきましては、何重もの安全対策の強化を行なっていると聞いてはおりますが、今後のさらなる強化について要望してまいります。

答3:定期的な情報、国土交通省に対して要望してまいります

次に、航空機の排出する粒子状物質や騒音など、国へ定期的な情報提供を求め、区民に情報できる体制をとってほしいとのご質問についてお答えいたします。


現在、区内の微小粒子状物質PM2.5の測定については、東京都が西新井、綾瀬、梅島の3地点で行なっていますが、新飛行経路移行後、測定値の大きな変化はございません

また、国土交通省からは「新飛行経路移行後の区内の航空機騒音については、騒音の基準を満たしている」との説明を受けております。

今後、定期的な情報を行うよう、国土交通省に対して要望してまいります。私から以上でございます。

雑感(羽田新ルートへの関心は低いのだが…)

足立区議会の会議録検索システムで調べてみると、過去の定例会本会議の代表・一般質問で羽田新ルートが取り上げられたのは、次の3件だけだったことが確認できる。

共産党の議員でさえ、今回の質問項目に掲げていないのである。ことさように足立区議の羽田新ルートへの関心は低い。

 

新飛行経路詳細地図では足立区上空をどう飛行するのか示されていないことにつき、国交省は「6000フィート(約1829m)を超える想定のため把握していない」と言ったという(土屋議員質問による)。

 

足立区上空を通過するC滑走路出発ルートは、北風時(全体の約6割)、午前(7時~11時半)・午後(15~19時、うち3時間)の時間帯で1時間当たり23回(2分36秒ごと)運用されることになっている。

C滑走路出発ルートは、荒川に沿いながら江東・江戸川区境上空を通過し、墨田・葛飾区境を「約4,500~10,000ft(約1,370~3,000m)」の高度で通過。さらに足立区を「約6,000ft(約1,830m)以上」の高度で通過する計画となっている(次図)。

国交省が公開している飛行騒音データによれば、大型機777-300の離陸時の飛行高度6,000ft(1,830m)の地上での騒音レベルは69dB。けっして小さいわけではない

墨田・葛飾・足立区を対象とした飛行経路図がない
羽田新ルート|墨田・葛飾・足立区民にも影響」より

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