3月29日から羽田新ルートの運用が始まった。南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートが運用されたのは、4月18日までに9回。
新型コロナによる減便の影響で、到着ルートはスカスカである。
新型コロナの影響で大幅な減便
新型コロナの影響で大幅な減便が続いている(次図)。
それにも関わらず、3月29日から羽田新ルートの運用が始まった。
減便状況下における3月29日の運用開始の必要性を説明するうえで、赤羽大臣は”助走期間論”がよほど気に入ったと見える。記者会見の場はもとより、国会答弁でもこの、”助走期間論”を振りかざしている。
南風時の到着ルートはスカスカ(4月17日)
南風時に都心上空を通過して羽田に到着するルートが運用されたのは、4月18日までに9回。4月17日(好天時の運用)では、15時から18時にかけて、「A滑走路到着ルート(西側)」9機、「C滑走路到着ルート(東側)」28機の計37機が通過した(内訳後述)。
計画では、「A滑走路到着ルート」は1時間当たり14回(4分17秒ごと)、「C滑走路到着ルート」は1時間当たり30回(2分ごと)の頻度で飛ぶことになっていた。
新型コロナによる減便の影響が著しい。特に、北米便などが利用するA滑走路到着ルートはスカスカ状態である(次図)。
国際便は台北発の2機だけ
4月17日の南風・好天時の到着ルート37機の内訳を次表に示す。
37機のうち、国際便はC滑走路到着ルートを利用した台北発の2機(ANA852便・JAL 98便)だけだった。
※上表を作成するにあたり、「Flightradar24」(スウェーデンの航空ファンが構築した、飛行中の民間航空機の現在位置をリアルタイムに表示しているウェブサイト)を利用した。チェック漏れがあった場合にはご容赦。
コロナ減便は、国交省に好都合!?
ハーバード大研究チームの4月14日発表によれば、新型コロナウイルスの世界的流行を抑えるためには、外出規制などの措置を2022年まで断続的に続ける必要があるという。もう、東京オリンピック・パラリンピックは延期で済まないじゃないのという思いが頭をよぎるのだが、赤羽国交大臣は羽田新ルートを中止する考えは1ミリもないようだ。
国交省の羽田新ルート関係者にしてみれば、新型コロナによる減便はむしろ好都合なのではないか。都心を低空飛行する便数が減ったので、住民には騒音インパクトを過小評価してもらえる。また、マスメディアは連日、新型コロナの報道が忙しくて、羽田新ルートにまで手が回らない。
そうこうしている間に、新ルート周辺の住民は、ゆでガエル状態になっていく。つまり、飛行騒音の影響に知らず知らずのうちに慣らされてしまうということ。
今後動きがあるとすれば、7月5日(実施できるのか?)の都知事選。新型コロナの拡大を契機に存在感を増し始めた小池知事に対して、野党統一候補が対立軸のひとつとして羽田新ルート問題を掲げるのかどうか……。
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