不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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「ご契約者様アンケート」には生存者バイアス

湾岸エリアに建つ、駅から遠いマンションのチラシである。

物件概要

【第5期予告】東京駅直通16分、駅徒歩17分。総戸数135戸、11階建。販売戸数/2戸、3LDK(67.81~70.69m2)。予定販売価格4,428万円・4,788万円。2020年1月下旬竣。

第5期の予告広告

B4判サイズに二つ折りされたチラシ裏面の「物件概要」に目を凝らすと、第5期の予告広告であることが分かる。

この物件については、昨年の12月22日にも取り上げたが、そのときも本日と同じ「第5期予告」だった。

たった2戸の住戸を売るのに1か月以上も本広告を出さず、予告広告のままだなんて、よほど売れていないのだろうか……。

総戸数135戸の期分け発売履歴
総戸数135邸のアーバンリゾート、駅徒歩17分は厳しい…」より

駅徒歩17分なのに、なぜ立地が1位なのか?

チラシ裏面には、「ご契約者の声」として、購入の決め手になった順位の円グラフが掲載されている。

  • 1位:立地(21%)
  • 2位:価格(16%)
  • 3位:子育て環境(14%)
  • 4位:ブランド力(13%)
  • 5位:設備・仕様(11%)
  • (6位以下、省略)

マンション選びは、立地が全てといっても過言ではない。ご契約者の声の1位もダントツで立地となっている。

でも、駅徒歩17分なのに、なぜ立地が1位なのか?

アンケートの注釈に目を凝らすと、アンケートの対象者は「第1期ご購入者様」と記されている。

第1期の発売戸数は60戸。仮に60人全員がこのアンケートに答えたとすると、立地を1位にあげたのは12人(≒60人×21%)となる。

立地が気に入ってこのマンションを選んだ人は多くても12人。逆にいえば、このマンションを見送った人ははるかに多いはずなのだが、この事実は「ご契約者様アンケート」からは浮かび上がらない

「ご契約者様アンケート」には生存者バイアスがかかっているのである。

生存者バイアスとは、何らかの選択過程を通過できた人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過できなかった人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうという誤謬である。

生存者バイアス - Wikipedia

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(本日、マンション広告1枚)

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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