2020年の不動産市場はどうなるのか?
ネットから拾った業界関係者の予想をピックアップしておいた。
※12月28日更新、日付の新しい順。
- 久光龍彦氏(トータルブレイン社長):ビッグ4の比率は50%超
- 小島一雄氏(大京社長):「3G」が今後は重要
- 吉野薫氏(日本不動産経済研):20年新築マンション価格上昇率0.8%
- 長嶋修氏(不動産コンサル):国内政治の混沌、短期的にはマイナス
- 松田忠司氏(不経研):年明け以降、在庫圧縮に追われる状況
- 牧野知弘氏(オラガ総研代取):日本人が苦しむ時代の到来
- 市川宏雄氏(都市政策専門家):バブル期の価格水準に近づきつつある
- 井出武氏(東京カンテイ):分譲価格は高止まり
- 筆者の予想:羽田新ルートの影響について
久光龍彦氏(トータルブレイン社長):ビッグ4の比率は50%超
大手不動産会社の寡占化が進む。
とりわけ住友不動産、野村不動産、三菱地所レジデンス、三井不動産レジデンシャルの『ビッグ4』の供給比率が今後、高まる。1999年に12%だったが、2018年は38%。事業環境はさらに厳しくなる見通しで後5年でビッグ4の比率は50%超となる。
小島一雄氏(大京社長):「3G」が今後は重要
マンションのあり方を根本的に見直すべきだという。
グレー(高齢者)・グリーン(環境)・外国人の「3G」が今後は重要になる。マンションブームに沸いた1990年代は、日本人の平均年齢が30代だった。それが今や40代になり、今後は50代にさしかかる。それなのに不動産屋は。いまだにありし日の家族像を意識して、3LDKのファミリータイプを造っている。やっていることが20年前と変わっていない。では老人ホームを造るかといえばそうではなく、マンションのあり方を根本的に見直すべきではないか。
(週刊東洋経済 新春合併特大号 12月23日)
吉野薫氏(日本不動産経済研):20年新築マンション価格上昇率0.8%
東京23区の新築マンション価格の上昇率を18年実績の7.3%に対して、19年、20年はそれぞれ0.8%に留まると予測。
不動産投資家の間でこれまで以上に高値への警戒感が広がっていることをうかがわせる。
実際、一部では市況の頭打ちも見え始めている。例えば本研究所は、東京23区の新築マンション価格の上昇率を18年実績の7.3%に対して、19年、20年はそれぞれ0.8%に留まると予測している。(週刊ダイヤモンド 新年合併号 12月23日)
長嶋修氏(不動産コンサル):国内政治の混沌、短期的にはマイナス
国内政治の混沌がしばらく続き、短期的にはマイナス。
(国内政治の)混沌がしばらく続くというようなことになるんでしょうね。となると株価とか金利、もちろん不動産市場にも大きく、短期的にはマイナスということになると思います。
松田忠司氏(不経研):年明け以降、在庫圧縮に追われる状況
年明け以降、在庫圧縮に追われる状況も考えられるという。
売れ行きが鈍ってきたことで、在庫の課題も出てきた。19年11月末時点の販売在庫数は7525戸と、前月末比525戸増。12月末には9000戸超になる可能性もあるという。
「年明け以降、在庫圧縮に追われる状況も考えられる」(不動産経済研究所の松田忠司主任研究員)ことで、新規供給が抑えられるとの見方もある。
牧野知弘氏(オラガ総研代取):日本人が苦しむ時代の到来
金利上昇で、多くの不動産で日本人が苦しむ時代の到来が懸念される。
(前略)都心部のマンションも「都心居住」の浸透と言いながら実はその多くの需要はインバウンドマネーと富裕層のもの。今後金利が上がると言われる中で、借入金に頼るマンション購入者は実需層、投資家層に関係なく大きな影響を及ぼす可能性が高い。
2020年以降、不動産にとっては新しい課題に直面する時代になりそうだ。一部の優良不動産は別として、多くの不動産で日本人が苦しむ時代の到来が懸念される。
市川宏雄氏(都市政策専門家):バブル期の価格水準に近づきつつある
市川氏のいう「不動産価格上昇の鉄則」とは、ブランド力のあるエリアと大規模開発が行われることでインフラ整備がなされるエリアが地価上昇の可能性が高いということを指している。
東京で続いている地価の上昇は、経済的なドラスティックな変化が起きなければ、海外からの来外客の増加も含めて、当面はその傾向が続くかもしれません。東京で行われている大規模開発がさらに海外からの需要を引き付けていくという期待もあります。
しかし、既に不動産は1990年代のバブル期の価格水準に近づきつつあり、米中摩擦やヨーロッパ諸国の成長鈍化で世界経済が急速に減速するというリスクも考えると、オリンピック開催後の動向について考えるには、あらためて不動産価格上昇の鉄則に従うことの重要性がこれからますます高まることになります。
井出武氏(東京カンテイ):分譲価格は高止まり
投資比率が大きく下がらなければ分譲価格は(高止まりで)維持される可能性が高い。
東京カンテイ上席主任研究員の井出武氏は、2020年以降の不動産市場動向ついて、「足もとでは、ファミリーマンションの投資比率が高まっているが、それを受けて価格が上昇している。投資比率が大きく下がらなければ分譲価格は(高止まりで)維持される可能性が高い」と話す。
50m2以上のファミリー住戸に対する投資比率は千代田区と港区で40%を超え、渋谷区30%、中央区25%以上となっているという。
筆者の予想:羽田新ルートの影響について
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