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羽田新ルート|目黒区議会「19年第3回定例会」質疑応答

目黒区議会の「19年第3回定例会」本会議一般質問(9月5日)で、羽田新ルートに関して、斉藤優子議員(共産党)の質疑応答があった。

議会放映(録画)をもとに、テキスト化(約5千100文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

斉藤優子議員(共産)

斉藤優子議員
斉藤優子議員(共産党、区議1期、会社経営、川村短大卒、50歳)

大きな1問目は、羽田新ルートの見直しと結果について伺います。

羽田低空飛行は、国交省がルールを示した当時から、騒音や落下物、大気汚染などが心配され、反対の声が上がっていました。国交省は、都心の上空を飛ぶ羽田低空飛行ルートは2020年3月29日の夏ダイヤから運行する方針を示しました。

南風の時15時から19時の間、三田2丁目、下目黒1丁目の600m真上を1分半の間隔で飛ぶことになります。影響がある地域は、ルート直下、下目黒2丁目、目黒2丁目、上目黒1丁目、青葉台1丁目から3丁目はルート西側500m以内。

目黒3丁目、中目黒1丁目から4丁目、上目黒2丁目から3丁目、東山1丁目、大橋1丁目から2丁目、駒場1丁目、3丁目はルート西側1km以内です。

2017年4月1日に作成された「私たちの街目黒」の地図で施設を確認したところ、騒音や落下物の影響があるルート1.5km範囲には保育園と幼稚園が合わせて30園以上、小・中・高・短・大学・専門学校は23校、老人憩の家7施設、学童クラブ2か所、病院2院があります。

15時から19時の時間帯は保育園の保育士は山手線並みに数珠繋ぎで毎日飛んでくる旅客機の騒音に不安になった子供たちにどのように対応できるか心配しています。また、視覚障碍者は音が全て。精神的なストレスも増え、15時から19時の間は、家から出れなくなるとおっしゃっています。

このたび、国交省が作成した、羽田空港機能強化に向けた追加対策の資料を確認しましたが、抜本的な解決にはなっていません。世界の大空港では降下角は3度で、安全に降下できる角度だからです。

3.5度に引き上げることによって、騒音影響の低減を図るとしていますが、元日本航空機長杉江氏によると、降下角3.5度は世界のほぼ全てのパイロットは経験しておらず、羽田は世界で最も着陸が難しい空港となり、尻餅事故など多発しかねないと警告しています。

専門家から危険性を指摘される一方、北海道大学環境衛生学の松井利仁教授の試算では降下角度を0.5度引き上げても、騒音値の影響は1デシベル程度にとどまり、住民に違いが分からないと指摘しています。

また、羽田空港機能強化に対する都および関係区市の意見への回答資料3(PDF:536KB)では、目黒区の落下物に対する不安についての回答として、落下物対策総合パッケージを着実に履行する、羽田空港における外国航空機に対する検査を強化するとともに定期的にその結果について情報提供を図るなどとありますが、着陸態勢に入った機体が車輪を出すとき、タイヤに付着した氷の塊を防ぐ構造にできないことは明らか。

羽田空港は日本一バードストライクが多い空港でもあり、国交省が示した対策では落下物をゼロにすることはできません。

また、近年、世界的に旺盛な航空需要に対して整備士の不足は深刻さを増しています。アメリカのボーイング社は、2017年から2036年までの20年間に、120万人ものパイロットや整備士が必要である予測を発表しています。そのうち、64万8千人は整備士となっています。

国交省が2017年7月に公表した安全上のトラブルの件数は2016年度990件と過去最高となりました。そのうち機材の不具合によるものが370件、人的ミスは311件と2年前の2207件から63%急増し、2007年から統計を取り始めて以来、過去最多を更新しています。

人的ミスの内訳はパイロットによる事故が84件で、近年、操作がハイテク化し、操作ミスによる事故も増えています。整備士不足による事故は119件で、整備を外注に回している中国やシンガポールでの整備ミスも件数に含まれています。

近年、日本の航空会社は、大手を含めてオーバーホールなど定期的な重整備は経費削減を目的として外注するのが一般的となっています。地味で夜勤も多いことから、希望する若者が減っています。

こういったなか、2017年9月23日、関空を飛び立った直後にKLMオランダ航空のパネルが大阪市内に落下し、走行中の乗用車に直撃しました。2018年5月25日には熊本でエンジントラブルを起こした日本航空の機体から益城町300m四方の範囲で金属破片が23点、98個落下し、大きいものでは、縦8センチ横5センチありました。その他、病院の窓ガラスが割れ、車3台、建設中の建物5棟が被害にあいました。

最大の問題は、なぜ大都市の上空にルートを設定するかということです。
国交省は1時間44回の着陸が増えると説明しています。しかし、羽田新ルートによる増便数は1年間で最大1.1万回、現行の44.7万回の発着枠に対する比率はわずか2%に過ぎません

元日本航空機長杉江氏は成田・関空・中部国際どこでも発着枠を増やせる余力がある。これらの空港を活用するか、離陸機が滑走路に進入する際、次の飛行機を離陸させる間隔を15秒圧縮することで、羽田においても5%の発着枠を増やすことができると指摘しています。

国交省が示した対策には、全く安全対策になっていないし、住民の安全と不安を解消するのではありません。以上のことを踏まえて、3点質問します。

問1:都の意見案、なぜ異論や意見を述べなかったのでしょうか

1つ目は、日本共産党都議団の情報公開請求で、東京都が意見表明にあたって、事前に議事内容の確認とともに、羽田低空飛行を容認するとの意見案について意見が求められ、目黒区は「なし」と回答していました。

容認することの都の意見案が提出されることを事前に知っておきながら、都の意見案への意見を求められたとき、なぜ異論や意見を述べなかったのでしょうか

問2:全区民に対して教室型説明会を開催すべき

2つ目は国交省が教室型説明会を開催する場合は、区と相談するといっています。区は住民の暮らしの立場に立って説明責任を果たすべきであり、全区民に対して教室型説明会を開催すべきと考えますが、いかがでしょうか。

問3:羽田新ルートは認められない

3つ目は、目黒区議議会でも陳情が4回出され、継続審査になっています。区民から合意が得られないなか、目黒区としても全区民の安全と命を守る立場から、羽田新ルートは認められないと態度をきちんと示すべきではないでしょうか。

青木英二 目黒区長

青木英二目黒区長
青木英二 目黒区長(4期、慶應大学経済学部卒、64歳)

答1:本区の主張と特段の齟齬がありませんでしたので

まず、第1点目。羽田低空飛行ルートの見直しと結果についての第1問。

都の意見案への意見を求められたときに、なぜなぜ異論や意見を述べなかったのか、についてでございますが、議員ご質問の都議団の情報公開請求に関わる文書は本年8月1日に書面開催という形で行われた第20回の「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会 幹事会」の議事であると推察し答えさせていただきます。

この幹事会は8月7日に行われた「第5回首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」。この協議会は、各自治体の副知事、副市長や有識者等で構成される協議会であり、東京都の副知事や特別区長会会長も出席する会議でございます。

この協議会において、東京都副知事が発言するにあたり、その内容の確認を求められたものでございます。

東京都副知事の発言は、東京都としての意見でございますので、本区として意見をいうべきものではございませんが、この副知事の発言には関係区市の意見を伝えている部分がございますので、その点確認をしたところ、これまでの本区の主張と特段の齟齬がありませんでしたので、東京都に意見を伝えることはしなかったものでございます。また他の区からも、東京都に対して意見が提出されたとは聞いておりません

この8月7日に行われました協議会に特別区町会会長が出席するにあたりましては、前日の8月6日に特別区町会も開催されており、国土交通省の職員が出席するなか、私(目黒区長)もその場で目黒区の意見として、区民の不安の払拭に向けて更なる情報提供や説明会の開催、落下物対策の充実・強化や騒音の軽減などの環境影響への配慮などについて直接伝えてもおります

いずれにいたしましても、この具体化協議会での特別区としての意見は、区長会での意見の私の発言も含め各区の意見を踏まえたうえで特別区町会会長からお伝えした通りであると理解しておりますので、議員ご質問のように東京都の意見案に対して異論や意見をいうべきであったとは考えておりません

答2:今年の秋以降も説明会が予定されている

次に、第2問。全区民を対象とした教室型説明会の開催を国に求めるべきと考えるがいかが、についてでございますが、国では平成27年7月から平成31年2月まで5巡にわたり住民説明会を実施してきました。

その説明会の方法はパネルや映像資料等を用意したうえで担当者が常駐し来場者の関心事に応じてマンツーマンで説明し、合わせて来場者の意見、質問、懸案等を聴取する方法でありまして、いわゆるオープンハウス型説明会と呼ばれる方式でございます。

この説明会は目黒区においても各フェーズで行われ、総合庁舎、区民センター、田道住区センター、同三田分室、恵比寿ガーデンプレイスで計6回、合計で1000人を超える方にご来場をいただいております。

このオープンハウス型の説明会は、来場者がご自身の都合に合わせて参加しやすいことや、個々の来場者の関心事に応じた情報提供が可能であることなどがメリットとしてあることから、国ではこの方式を基本として行っておりますが、一方で担当者の説明を聞いた上で他の来場者の方の質問なども聞きながら理解を深める方式である教室型の説明を望まれる場合もあるところでございます。

本区といたしましては、そのような要望があればきちんと伝え、その実施を要請しているところであり、現に本区においても本年6月に教室型説明会が実施されたところでございます。

目黒区から国に対し出しております意見・要望などで、教室型説明会の開催については繰り返し言及しておりますし、この意見・要望に対しては、国からも今年度以降も住民に対する説明会を実施していくことと合わせ、その具体的な形式に関してはオープンハウス型を基本としつつも地域の事情も踏まえ調整するとの回答を得ているところでございます。

これまでも、第1フェーズから第5フェーズまで5巡にわたり説明会が実施され、今年の秋以降も説明会が予定されているなかでありますので、説明会の形式につきましては地域の要望等を踏まえながら対応してまいりたいと考えております。

答3:国の事業として国が責任を持って判断すべき

次に、第3問。区民からの合意が得られていないなかで新羽田ルートを認められないと、態度をきちんと示すべきではないか、についてでございます。

国では去る8月8日に国土交通大臣が会見し、首都圏の国際競争力強化や訪日外国人旅行者の受け入れ等のため来年の令和2年3月29日から新飛行経路の運用を開始し、羽田空港において国際線を年間約3万9千回増便することを発表しました。

その際、大臣は「関係自治体からいただいた意見・要望をしっかりと受け止め、丁寧に対応していくことを前提に地元の理解が得られたものと判断した」と発言しているところでございます。

本区といたしましても、羽田空港の機能強化を図ることは首都圏の競争力の強化や訪日外国人のさらなる増加の観点からやむを得ないことと考えているところでありますが、区民の皆様にとってはこれまで経験したことのないことであり、騒音影響や落下物に対して不安に思っていらっしゃることは承知しているところでございます。

そこで、区といたしましては、これまでも落下物対策の充実・強化、騒音影響などの環境へのさらなる配慮、迅速で丁寧な情報提供や教室型説明会の開催、新たな課題が生じた場合等の適宜・適切な対応などを国に対して求めており、今後もこれらへの取り組み対応を継続して求めてまいります。

いずれにいたしましても、羽田空港の機能強化を図るために新飛行経路の運用を開始することは、地元の理解を得られたかどうかの判断も含め国の事業として国が責任を持って判断すべきことと考えておりますので、議員ご質問のように区として国に対し新羽田ルートは認められないといった態度を示すことは考えておりません

雑感(区議として最低限の責任…)

区民への周知、区議として最低限の責任

目黒区議会の定例会一般質問で、羽田新ルート問題が取り上げられたのは今回が初めて。筆者の独自調査によれば、目黒区の人口約28万人のうち、航空機騒音の影響を受ける可能性があるのは8%(約2万人)でしかないので、区議の関心が低いのも仕方がないことなのかもしれない。
羽田新ルートの影響を受ける町丁目マップ(目黒区)
羽田新ルートが通過する地域名_目黒区」より

ただ、来年1月末から小・中型の旅客機を使った試験飛行が開始される。そのとき初めて頭上からの轟音(目黒駅の騒音レベルは約76dB)を経験する目黒区民はこんなことを思わないだろうか。「なぜ、目黒区議はこの事態を事前に教えてくれなかったのか」と。

 

そんななか、斉藤優子議員(共産)が羽田新ルート問題を取り上げた。区議として最低限の責任を果たした。

発言内容からは羽田新ルート問題をよく勉強している様子が伺える。羽田新ルートの最新の論点も含まれているので、羽田新ルート問題に関心のある区民にとってはお役立ち情報といえる(目黒区の議会中継録画を視聴する区民がいればの話だが)。

青木区長の答弁は無駄に長い

斉藤議員の質疑もそうだが、青木区長の答弁も長い。文章として読むぶんにはまだしも、音声として聞いて理解するには困難が伴う。

特に、青木区長のほうは無駄に文章が長い。しかも原稿棒読みであるにも関わらず、引っ掛かり過ぎて聞きづらい。羽田新ルートのことをよく知らない大半の区民にとって、どの程度理解することができるのか疑問が残る。 

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