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環境省アスベスト規制強化案、中古マンションのリノベーションに打撃!?

環境省の有識者会議は9月2日、建物の解体などに伴うアスベスト(石綿)飛散防止の強化策をまとめた。一般の人には、あまりピンとこないかもしれないが、じつは大変な内容が含まれている。


もくじ

アスベスト規制、全工事が対象(毎日新聞)

環境省の有識者会議は9月2日、建物の解体などに伴うアスベスト(石綿)飛散防止の強化策をまとめた。規制対象を大幅に拡大。

アスベスト規制、全工事が対象 飛散防止へ事前調査義務化 来年改正案

環境省の有識者会議は2日、建物の解体などに伴うアスベスト(石綿)飛散防止の強化策をまとめた。規制対象を大幅に広げ、石綿が使われた全ての建物の解体・改修工事について、施工者に事前調査などを義務付ける。年内にも環境相に答申し、環境省は来年の通常国会に大気汚染防止法の改正案を提出する方針。(以下略)

(毎日新聞 9月2日)

一般の人がこのニュースを読んでも、あまりピンとこないかもしれない。じつは大変な内容が含まれている。

まずは、アスベスト飛散防止の強化策をまとめた有識者会議の内容を確認してみよう。

アスベスト含有建材も規制対象に

有識者会議の正式な名称は、石綿飛散防止小委員会。「今後の石綿の飛散防止の在り方について」検討すべく、第1回(18年10月18日)からスタートした会議は第6回(19年9月2日)に「今後の石綿飛散防止の在り方の方向性(案)」(PDF:366KB)(以下、「方向性案」)を提示するに至った。

方向性案は全部で19ページ。次の4部で構成されている。

Ⅰ 背景

  1. これまでの経緯
  2. 平成25年の改正以降の主な課題

Ⅱ 総論

Ⅲ 各論

  1. 特定建築材料以外の石綿含有建材の除去等作業の際の石綿飛散防止
  2. 事前調査の信頼性の確保
  3. 石綿含有建材の除去等作業が適切に行われたことの確認
  4. 特定粉じん排出等作業中の大気濃度の測定
  5. 作業基準遵守の強化
  6. その他
Ⅳ 今後の課題 

 

方向性案で特に気になったのは、「特定建築材料以外の石綿含有建材の除去等作業の際の石綿飛散防止」(上記の朱書き)のなかの「大防法への位置付け」。

現行の大気汚染防止法では、建物の解体・改修工事の際に、飛散する恐れの高い吹き付け石綿、石綿を含む断熱材や保温材などの「特定建築材料」を対象に規制していたのだが、石綿を含有している建材は飛散の可能性が高くないとして規制対象ではなかった。ところが、方向性案では、石綿含有建材も規制の対象にするというのである。しかも、工事の規模にかかわらず規制の対象となるのだ。

【方向性】大防法への位置付け

  • 特定建築材料以外の石綿含有建材が使用された建築物等の解体等工事についても、適切な石綿の飛散防止措置を確保する必要があり、建材の種類、除去工法及び工事の規模にかかわらず、基本的に全ての工事を大防法上の特定建築材料に係る規制の枠組みの対象とするべき。(以下略)

(P5)

中古マンションのリノベーションに打撃!?

規制の対象は「工事の規模にかかわらず、基本的に全ての工事」とされていることから、建物の解体工事だけでなく、中古マンションのリノベーションも対象となる。

 

中古マンションのリノベーションにどのような影響が出てくるのか?

石綿含有建材を撤去するためには、湿潤化を行いつつ建材を原型のまま取り外す(破壊・破断をしてはいけない!)という手間が増えること。また、原形のまま取り外すことが困難な場合には、十分な飛散防止措置を取ることが求められる。その結果、工事期間は延び、工事費もアップするということだ。

【方向性】石綿含有成形板等(作業基準)

  • 石綿含有成形板等の除去について、湿潤化等を行いつつ、建材を原形のまま取り外すことを原則とすべき。
  • 接着剤で強力に建材が接着している場合等、原形のまま取り外すことが困難な場合には、建材の種類や除去工法等に応じて十分に飛散が防止されるよう、作業基準として、養生、湿潤化等の飛散防止措置を検討し定めるべき。(以下略)

(P7) 

「方向性案」が実現すると、そのほかにも次のような工事費増要因が課せられる。

石綿含有の有無に係る事前調査(書面調査、現地調査)の強化、石綿に関する一定の知見を有する者の活用、 特定粉じん排出等作業中の大気濃度の測定(←検討中)など。

 

ちなみに、石綿含有建材(石綿を0.1重量%を超えて含有するもの)は労働安全衛生法施行令により、2006年9月から、製造・使用等が全面的に禁止された(国交省アスベスト対策Q&A)。したがって、築浅の中古マンションのリノベであれば、今回の環境省のアスベスト規制強化の影響は受けない。影響を受ける可能性が高いのは築10年を超える中古マンション。

アスベスト含有建材は、どのような部位に用いられているのか?

特定建築材料以外の石綿含有建材は、どのような部位に用いられているのか?

建築物における主な施工部位は次の通り。

  • 外壁・軒天
    スレートボード、スレート波板、窯業系サイディング、押出成形セメント板、けい酸カルシウム板第一種、建築用仕上塗材
  • 屋根
    スレート波板、住宅屋根用化粧スレート
  • 内壁・天井
    スレートボード、スラグせっこう板、パーライト板、パルプセメント板、けい酸カルシウム板第一種石膏ボード、ソフト巾木、建築用仕上塗材、壁紙、ロックウール吸音天井板

  • ビニル床タイル・シート、フリーアクセスフロア材

石綿飛散防止小委員会(第2回)資料3JATI協会提出資料」(P6)より

具体的な建材名や対象となる製造期間などは、国交省が運営しているサイト「石綿 (アスベスト) 含有建材データベースWeb版」で調べることができる。

アスベストに関する情報や東京都の取組については、「東京都アスベスト情報サイト|東京都環境局」参照。

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2019年6月1日、このブログ開設から15周年を迎えました (^_^)/
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