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羽田新ルート|協議会で特別区長会 会長ほか5名、国交省に「感謝」

20年夏ダイヤ(来年3月29日)からの羽田新ルート運用開始を決めたときの国の協議会(8月7日開催)の議事要旨(PDF:222KB)が昨日(8月27日)公開された。

第5回「首都圏空港機能強化の具体化に向けた協議会」で、関係自治体の代表者(副知事、副市長、ほか)はどのような発言をしたのか?


もくじ

特別区長会 会長ほか5名、国交省に「感謝」

関係自治体の代表者としては、茨城県を含む4都県の副知事(茨城県は交通局長が代理出席)、4市(さいたま市、千葉市、横浜市、川崎市)の副市長(横浜と川崎は代理出席)、特別区長会 会長(江東区長)と成田空港圏自治体連絡協議会 会長(成田市長)。以上11名。

関係自治体の代表者11名からの反対意見は皆無
驚いたことに、11名のうち山﨑孝明 特別区長会会長(江東区長)ほか5名が国交省に対して「感謝」を述べている。

  • 山﨑孝明 特別区長会会長(江東区長)
    (前略)国土交通省において、これまで住民向けの丁寧な説明会や、安全対策や騒音対策の徹底について、各区からの要望に対し丁寧に対応していただいたことに感謝する。(後略)
  • 神奈川県 中島正信副知事
    (前略)これを受けて国では、騒音軽減等の対策、落下物防止対策基準の策定等の安全対策を講じるとともに、3県市との連絡会、オープンハウスによる説明会、地元の協議会・住民との意見交換などの場においても、丁寧な説明を重ねてきていただいており、改めて感謝する。(後略)
  • 川崎市 藤倉茂起副市長
    追加対策として、継続的な地元説明とともに、騒音、安全対策、試験飛行の実施等を示していただいたことに対し、感謝する。(後略)
  • 埼玉県 奥野立副知事
    (前略)羽田空港の機能強化に関し、県内関係市町や関係住民への説明会を開催していただくなど、丁寧な進め方をしていただいていることに感謝する。(後略)
  • さいたま市 阪口進一副市長
    住民説明会等の開催や各種メディアを通じた報道により、新飛行経路の必要性や安全対策等について継続的に説明を行っていただいたことについて、感謝する。(後略)
  • 千葉市 服部卓也副市長

    平成 28 年 12 月からの3度に渡る市民相談会の開催に感謝するとともに、今後とも市民への丁寧な説明をお願いしたいと考えている。(後略)

「感謝」を述べた6名のうち、3名(江東区長、神奈川県副知事、埼玉県副知事)は、国交省の「丁寧な」対応などに謝意を示しているのである。


国交省はこれまで、羽田新ルートの問題を地域住民に極力知らしめないように対応してきた。

本来であれば、23区を代表している山﨑 特別区長会会長(江東区長)は、国交省のこれまでの不誠実な態度に対して激怒してもいいくらいなのだが……。

住民視点が感じられない有識者(2名)の発言

では、有識者2名の発言はどうだったのか?

家田仁 政策研究大学院大学 教授
(元 東京大学・政策研究大学院大学 教授)

機能強化が極めて喫緊の課題だから、利便性と負担(不利益)を共有するのが大人の解決だという。こんなロジックで、都心の空を騒音で汚染させることを子や孫の世代に説明できるのだろうか。

  • 日本の国際競争力の再構築のためには、首都圏のみならず3大都市圏の空港の世界へのアクセス性を高める、増便を可能にする、より便利に使えるようにする、災害のときにも安定して使えるようにする、という機能強化が極めて喫緊の課題だと考えている。
  • これを踏まえると、利便性を共有するのみならず、負担も共有するという、いわば大人の解決によって機能向上が図られることは、非常に大きな前進ではないかと思っており、高く評価している。(以下略)

山内弘隆 一橋大学大学院経営管理研究科 特任教授
(元 一橋大学大学院商学研究科 教授)

完全に国交省の応援団になっている。住民の視点が全く感じられない。

  • 今回のプロセスは、国と地方の、特に首都圏の自治体の在り方を変えた、1つの大きな転換、大きな新しい始まりだと考えている。まず、国土交通省航空局の方が自治体に出向いて真剣に説明されているのを私自身目にしており、そのような新しいやり方でこれを実現したということで、これに対して大きく評価したいと考えている。また、先ほど自治体の方からも概ね評価の声をいただき、今後国としてそれを進めることに対して同意をいただいたと理解している。(中略)
  • 関係者の5年間の努力に対して感謝の意を表し、ぜひ進めていただきたいと考えている。

航空局長「引き続き丁寧に対応したい」

航空局長による、2020年夏ダイヤからの羽田新ルート運用開始宣言。

  • (前略)関係自治体からいただいた、騒音・落下物対策や、引き続きの情報提供に関するご意見・ご要望をしっかり受け止め、引き続き丁寧に対応したいと考えている。
  • 今後の段取りとして、本日いただいたご意見を踏まえ、改めて内部で検討し、2020年夏ダイヤからの羽田空港における新飛行経路の運用開始、及び国際線の増便について、国土交通省の責任において、判断することとしたい。

この航空局長の運用開始宣言を受けて、石井国交大臣は翌日「地元の理解が得られた」宣言を出したのであった。

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