土地総合研究所は5月23日、「不動産業業況等調査結果(19年4月実施)」を発表。
「住宅・宅地分譲業」に関して、販売価格が高水準ではあるが、モデルルーム来場者数・成約件数がともに上昇しそうな兆候……。
住宅・宅地分譲業(調査結果)
- 「モデルルーム来場者数」の指数は、前回から 16.1ポイント上昇し 6.1ポイントとなった。増加傾向にあるとの見方に転じた。
- 「成約件数」の指数は、前回から 4.6ポイント上昇し 10.4ポイントとなった。3期連続して上昇傾向にあるとの見方が続いている。
- 「在庫戸数」の指数は、前回から 4.4ポイント上昇し 31.2ポイントとなった。平成21年4月調査以降41期連続して減少傾向にあるとの見方が続いている。
- 「販売価格の動向」の指数は、前回から 16.2ポイント上昇し 41.2ポイントとなった。平成24年7月調査以降28期連続して上昇したとする回答が下落したとする回答を上回っている。
「住宅・宅地分譲業」の変化を可視化する
これだけではよく分からないので、長期的なトレンドを可視化すべく、過去の発表資料もひも解き、「販売価格の動向」「在庫戸数」「成約件数」「モデルルーム来場者数」それぞれの指数を可視化してみた(次図)。
折れ線の動きが激しくて、分かりにくい。
販売価格は高水準、MR来場者数上昇に向かう
そこで、近似曲線(5次の多項式近似)を重ねてみた(次図)。
上図から読み取れる長期的なトレンドは次の通りである。
- 「販売価格」指数、約10年周期の下降から上昇!?
約10年周期の下降から上昇に変化しているように見える。 - 「成約件数」指数は上昇傾向。「モデルルーム来場者数」指数も上昇に向かう
「成約件数」の指数は上昇(プラス)傾向。「モデルルーム来場者数」も、上昇に向かっている。 - 「在庫戸数」指数、減少したとする傾向が低下
41期連続して減少(プラス)だが、在庫が減少したとする傾向が低下している。
つまり上図からは、販売価格は高水準であるが、成約件数・モデルルーム来場者数ともに上昇に向かっている。
参考メモ(各指数の定義)
この調査は、毎四半期(1月、4月、7月、10月)、三大都市圏と地方主要都市で不動産業を営む業者に対して郵送またはEメールにてアンケート形式で実施されている。今回の調査は143社を対象(うち住宅・宅地分譲業は47社、回収数34社・回収率72.3%)。
各指数の定義は次のとおり。
- 販売価格の動向、成約件数、モデルルーム来場者:
{増加(上昇)したとする回答数-減少(下落)したとする回答数}÷全回答数×100- 在庫戸数:
{減少したとする回答数-増加したとする回答数}÷全回答数×100- 「横ばいである」「変わらない」の回答は、0として算定(-100~+100、0が判断の分かれ目)