各区議会では2月から3月にかけて、19年の第1回定例会が開催されている。
羽田新ルートが通過する13の区議会では、羽田新ルートに係る一般質問がなされているのかといえば、必ずしもそうではない。
渋谷区議会ではどうなのか、状況を確認してみよう。
渋谷区、羽田新ルート議論が最も活発な区の一つ
19年第1回定例会、本会議一般質問で、羽田新ルートに関して、5名の質疑応答があった。
ただ、残念なことに、答弁に立った長谷部健 渋谷区長は、「国が責任を持って丁寧に区民へ説明し・・・」という、他の区議会でもよく聞くお決まりのフレーズ。
※詳しくは、「羽田新ルート|渋谷区議会「19年第1回定例会」質疑応答 」参照。
渋谷区議会の定例会では、19年第1回に限らず毎回、羽田新ルート問題が一般質問で取り上げられている。
このように、渋谷区議会は、羽田新ルートが通過する13区のなかで、羽田新ルート問題の議論が最も活発な区の一つ。
陳情・請願3件、すべて「採択」
では、請願・陳情はどうなっているのか?
渋谷区議会HPの「議決の結果」で調べてみると、これまでに次の4件の陳情・請願が提出されていることが確認できる。
- (請願29)羽田空港新飛行経路案に関する教室型住民説明会及び落下物事故の検証報告の早急な実施を国交省へ求める請願
- (陳情30)羽田空港の機能強化に関する国交省の住民説明会に関する陳情
- (請願30)羽田新飛行経路計画における区民の生活環境保全に関する請願
- (請願31)羽田空港増便による都心低空飛行計画の撤回を国に求める請願
上3件は、いずれも全会一致で採択されている。
4件目(都心低空飛行計画の撤回)の採決については、3月20日に持ち越された。※要経過観察。
渋谷区議会では、他の区議会と異なり、陳情・請願がすべて採択されているのである(4件目の審査中を除く)。
なぜなのか?
最大の理由は、会派のパワーバランスにある。羽田新ルートを推進/容認している自公が過半数を割っているのである。
審査に係った「交通・公有地問題特別委員会(定数6人)」の議員構成(19年1月15日現在)は次のとおり。
- (委員長)木村 正義(自民)
- (副委員長)苫 孝二(共産)
- 松山 克幸(公明)
- 一柳 直宏(自民)
- 秋元 英之(秋元英之と須田賢)
- 薬丸 義人(シブヤを笑顔にする会)
また、渋谷区の議員定数34名(2名欠員)の会派構成をみても、羽田新ルートを推進/容認している自公が過半数を割っているのである(次図)。
区議会での議論が活発だから(?)教室型説明会が実現
渋谷区民の5割、12万人が落下物・墜落事故の危険リスクや騒音などの影響を受ける可能性がある(羽田新ルート|渋谷区民5割が騒音の影響 )。
滑走路到着ルートが通過する26地域に住む有権者らは、4月の統一地方選挙で、どのような判断を下すのか……。
渋谷区(26地域)
- A滑走路到着ルート
恵比寿南2丁目、恵比寿西1丁目、恵比寿西2丁目、代官山町、猿楽町、鴬谷町、桜丘町、道玄坂1丁目、道玄坂2丁目、神山町、宇田川町、富ケ谷1丁目、元代々木町、初台1丁目、初台2丁目、本町1丁目、本町2丁目、本町4丁目、代々木5丁目 - C滑走路到着ルート
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