各区議会で2月から3月にかけて、19年の第1回定例会が開催されている。
羽田新ルートが通過する区の議会では羽田新ルートに係る一般質問がなされているのかといえば、必ずしもそうではない。
そのうちのひとつ、3月8日に閉会した練馬区議会の状況を確認してみよう。
一般質問で「羽田新ルート問題」を掲げているのか？
19年第1回定例会、本会議一般質問で、羽田新ルートに関して、やくし辰哉議員（共産）とやない克子議員（生活者ネットワーク）の質疑応答があった。
答弁に立った環境部長は、「国に要請、国の責任において・・・」という、他の区議会でも繰り返し聞かれたお決まりのフレーズ。
※詳しくは、「羽田新ルート｜練馬区議会「19年第1回定例会」質疑応答 」参照。
18年に4回開催された定例会では、羽田新ルート問題が一般質問で取り上げられたことはない。
陳情2件、「継続審査」扱いという名の先送り
では、請願・陳情はどうなっているのか？
練馬区議会のHPで調べてみると、「結果の出た請願・陳情」情報しか掲載されていないので、「継続」扱いの請願・陳情が何件あるのか把握できない。
仕方がないので、すこぶる使い勝手の悪い「会議録検索システム」を使って調べていくと、次の2件の陳情がヒットした。
- （陳情第177号）練馬区上空を飛ぶ羽田新ルートの中止撤回を求めることについて
- （陳情第96号）羽田空港機能強化による練馬区上空の飛行ルート計画について
これら2件の審査付託先である「環境まちづくり委員会」の議事録をひも解くと、毎回ほとんど議論されることもなく、「継続」（先送り）扱いになっていることが確認できる。
「19年第1回定例会で結果の出た請願・陳情はありませんでした」とされているので、上記の陳情2件は「継続」（先送り）扱いということなのであろう。
これら陳情2件は、4月の統一地方選挙（港区の投票日は4月21日）の改選により自動的に廃案となる。
ちなみに、審査に係った「環境まちづくり委員会（定員10名）」の議員は次のとおり。
羽田新ルートを推進／容認している自公が過半数（6名）を占めているので、「不採択」（却下）か「継続」（先送り）にしかなり得ない構造になっている。
※敬称略
- [委員長] 宮原よしひこ（公明党）
- [副委員長] 上野ひろみ（自民党）
- 藤井たかし（自民党）
- 福沢剛（自民党）
- 西野こういち（公明党）
- 平野まさひろ（公明党）
- やくし辰哉（共産党）
- やない克子（生活ネット）
- 池尻成二（市民の声）
- 土屋としひろ（オンブズ）
区議会での議論が低調だから（?）教室型説明会なし
練馬区民の3割、21万人が落下物・墜落事故の危険リスクや騒音などの影響を受ける可能性がある（羽田新ルート｜練馬区民3割が騒音の影響）。
それなのに、区議会での議論が低調だからからなのか、練馬区では未だ教室型説明会が開催されていない。
少なくとも滑走路到着ルートが通過する37地域の住民（下図） は怒りの声を上げてもいいのではないか。羽田新ルート周辺に住む有権者らは、4月の統一地方選挙で、どのような判断を下すのか……。
- Ａ滑走路到着ルート
（好天時のみ）
田柄5丁目、光が丘2丁目、光が丘4丁目、旭町2丁目
（悪天時のみ）
旭丘1丁目、高松5丁目、光が丘3丁目、光が丘5丁目
（好&悪天時）
豊玉南3丁目、中村1丁目、中村南1丁目、中村北1丁目、中村北2丁目、向山1丁目、向山2丁目、向山4丁目、春日町5丁目、春日町6丁目、高松1丁目、高松4丁 - C滑走路到着ルート（悪天時）
豊玉上1丁目、豊玉上2丁目、豊玉北1丁目、豊玉北2丁目、桜台1丁目、桜台2丁目、桜台4丁目、桜台5丁目、桜台6丁目、早宮1丁目、早宮2丁目、早宮3丁目、早宮4丁目、春日町2丁目、北町6丁目、田柄1丁目、田柄2丁目
