以前マスコミが盛んに取り上げていた「違法貸しルーム(脱法ハウス)」はその後どうなったのか?
国交省が1月16日に公表した「建築基準法違反の是正状況等の調査結果」をひも解いてみた。
そもそも違法貸しルームとは、どういうものなのか?
違法貸しルームとは
同発表資料に、「違法貸しルーム」の定義が次のように記されている。
違法貸しルーム
事業者が入居者の募集を行い、自ら管理等する建築物の全部又は一部に複数の者を居住させる『貸しルーム』で、防火・避難関係規定等の建築基準法に違反しているもの
具体的には次図のようなイメージ。
多数の人が寝泊りなどをして実質的に居住していながら、各部屋の仕切りが燃えやすい材料でできている、窓がないなど建築基準法に違反している疑いのある建築物。
国土交通省HPより
是正指導にもかかわらず約1200件で推移(全国)
国交省の発表資料には調査結果の概要として全国の集計表(次表)が掲載されているのだが、数字の羅列なので状況がイメージできない。
そこで過去の公表資料もひも解き、違法貸しルームの是正指導などの推移を可視化してみた(次図)。
国交省や自治体への違法貸しルーム疑いの新たな通報は少なく、調査対象物件は2千件ほどで頭打ち。年数が経過するにつれ「調査中」だった物件が「是正済み」物件に変わっていることが確認できる。
「是正指導中」の物件は現在、1,170件。違法の疑いのある「調査中」の物件を含めるとまだ1,399件存在している。
ここ数年「是正指導中」の物件は1,200件前後であまり変化していない。このような状況を放置しておいていいのか? 罰金を課すとか、事業者名を公表するとかしないのか? 事故が発生するまで、強力に対応しなのか……。
23区内の違法貸しルーム件数 新宿区がダントツ
東京23区の違法貸しルームの件数(違法の疑いのある調査中を含む)は、新宿区(114件)がダントツ。2位北区(81件)、3位台東区・世田谷区(76件)と続く(次図)。
新宿区が多いのは容易に想像がつくが、3位に世田谷区が入っているのは意外。世田谷区では、通報が多いということなのか。
国交省は、違法貸しルームの情報提供を呼び掛けている。
念のため、23区の違法貸しルームの件数(違法の疑いのある調査中を含む)の推移を確認してみた(次図)。
新宿区の違法貸しルームは、少しずつではあるが減少している。
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