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羽田新ルート|品川区議会「18年第4回定例会」質疑応答

品川区議会の「18年第4回定例会」本会議一般質問(12月6日、7日)で、羽田新ルートに関して、おくの晋治議員(共産)田中さやか議員(品川・生活者ネット)の質疑応答があった。

議会中継(録画)をもとに、テキスト化(約6千文字)しておいた。

※以下長文なので、時間のない方は「質疑応答のポイント」と最後の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

※答弁は都市環境部長


おくの議員(共産)

おくの議員(共産)
奥野晋治議員(共産、区議1期、東大法卒、塾講師・家庭教師、62歳)

おくの:国に対し計画撤回を求めるべき

まず、はじめは「濱野区長の公約違反は許されない 安全安心が最優先というのなら羽田新ルート計画は反対を」です。

先の区長選では、立候補者3名中2名は羽田新ルート撤回を公約に掲げ、その合計得票は全投票数の過半数を占めました。一方、再選された濱野区長の公約は、「区民の安全安心を最優先」で、区長を応援した都議会議員は「区長は断じて容認していない」と街頭で訴えました。つまり、区長選で示された民意は羽田新ルート「容認」ではなく、「反対」だということです。

この民意を受け止めるならば、区長の公約「安全安心を最優先」とは、「計画撤回を国に求めること」しかありません。ところが、区長は当選直後の就任会見で、「国全体のインバウンドということを考えたら、一品川区が反対するわけにはいかない」と容認に転じる発言

しかも、これは区民の毎日の生活・財産よりも、国策を優先するもので、区民の生命・財産を守る責任がある区長の資格が問われる重大な公約違反です。

選挙後の議会で、共産党はこの区長発言につき何度も質問。しかし、その場にいる濱野区長は答弁に一切立ちません。それどころか部長に答弁させ、その答弁もはぐらかして時間を稼ぐという姑息な答弁。行政を監視しチェックする議会の役割を妨害し、民主主義を壊す態度です。

「安全安心を最優先」と公約しながら、「一品川区として反対できない」と、なぜ公約を破ったのか、改めて濱野区長に伺います


決算委員会で、区長選で示された民意を質問したところ、部長は「一自治体の職員である私が特に意見をするところではない」と答弁しました。区長選挙で示された民意は何かは、当事者である区長しか答弁できないことを部長が認めたものです。

そこで濱野区長に伺います。区長選挙で示された民意とは、現行の羽田新ルート反対ではないのか伺います。

総括質疑では、国が新ルート実施の前提だとしている「住民の理解」について、部長は「理解が十分ではない」と答弁。重要な発言です。

この認識は濱野区長も同じなのか伺います。そして、理解が十分ではないと判断するならば、そのことを国交省に伝えるべきと思いますが、あわせて伺います。

こうしたなか、国は住民説明会、第5フェイズを発表。このなかで新たに「検査飛行」や騒音イメージ、落下物対策などを示しました。区はこれまで国の説明について、「新ルート案自体について容認はしていない。説明や対策はまだまだ不十分」と繰り返し答弁しています。
第5フェイズで新たに示された対策について、区はこの内容で新ルートを容認するのか伺います

第5フェイズの内容は、全く容認できるものではありません。「検査飛行」は小型セスナ機であり、住民が求める「テスト飛行」ではありません。また、新たな落下物対策でも事故はゼロにはできません。市街地の上を飛ばないのが唯一の安全安心を最優先の方策です。

重大な危険を隠して安全だと偽り、国策だからと自治体に押し付ける。これは原発の場合と同じです。かつて区長は原発事故を受けて、「原子力発電所が所在する自治体の長は、必要であるとか必要でないとか考えを述べることは、長としての義務」と述べています。

品川区も1番影響が大きい区と認めるこの新ルートについて、自治体の長は必要であるとあるとか必要でないとか態度を表明する義務があるのです。
原発立地自治体の長と同様に濱野区長は新ル―ト計画について、賛否の態度を示す義務があると思うが、いかがでしょうか。

そして、国に対し計画撤回を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか。

都市環境部長
都市環境部長

部長:安全安心を優先して対応していく

私からは羽田空港の機能強化についてお答えいたします。
はじめに区民の安全安心についての考え方ですが、区は国から新ル―ト案が示されてから今日に至るまで、一貫して区民の安全安心を最優先に、国に強く求めてまいりました

これからも「安全安心を最優先」の考え方を基本とし、国に対し騒音影響の低減や落下物対策の取り組みなどのさらなる徹底的な対策を具体的に示し、あわせて地域への丁寧かつきめ細やかな説明を行うよう強く求めてまいります。

また、選挙は様々な観点から有権者が総合的に判断するものであると認識しております。

次に、「区民の理解」につきましては、現在も「計画を知らない。詳しく教えてほしい」という声が寄せられていることから、「区民の理解が十分でない」と捉えております

現在国は第5フェイズとして、新たなオープンハウス型説明会を12月15日から品川区を第一に開催することとしております。第5フェイズで示される対策についてですが、区としまして本年8月に改正された落下物対策に関わる関係法令の運用の徹底など、その実効性の担保について求めているところです。
また、騒音影響の低減に向けた対応として、防音工事助成の具体的な内容を早急に示すようあわせて求めてまいります。

また、第5フェイズ説明会に加え、区のかねてからの強い要望に基づき、初めて品川区において教室型説明会が実現することになったところでございます。
国はまず、大井第一地域センター管内を対象として開催し、他の地区においても順次開催するとしています。

区としましては、区民の立場に立ち、地域の声をしっかりと国に届けるとともに、区民の不安の払拭に向け、引き続き安全安心を優先して対応していく考えでございます

おくの:新ルート計画に賛成するということですか

自席より再質問させていただきます。まず、羽田新ルート計画です。
結局、区長はお答えになりませんでした。しかし、区長の就任会見の発言は重大です。
「一品川区が反対するわけにはいかない」とは、新ルート計画に賛成するということですか。端的にお答えください。

部長:一自治体としてしっかりと区民の声を国に届ける

再質問にお答えいたします。はじめに羽田空港の機能強化についてです。こちらは国が示しました新飛行経路案につきましては、複数の自治体の上空を通過するというところでございますので、一自治体だけの考えで国として判断をするというようなことは聞いてないところでございます。また……
ヤジ:〇×□△
議長:議員席、静粛に願います

従いまして、区としてまずなすべきことは、一自治体としてしっかりと区民の声を国に届けるというところであると認識しているところでございます。

おくの:「容認」から「撤回」へと切り替えるべきとき

自席から再々質問させていただきます。まず、羽田新ルートです。
もし国がこの計画を強行するのなら、その実施までもう1年半ほどで、間近に迫っています。実施されれば区民の日々の生活、健康、命などに取り返しのつかない害悪をもたらすことは明らかです。

区長の計画容認というのは、この区民への害悪発生を容認することになります。品川区もいよいよその態度を「容認」から「撤回」へと切り替えるべきときです。そのことを私として強く求め、かつもう一度お伺いします。いかがでしょうか。

部長:実効性について強く求めていく段階

再々質問にお答えいたします。はじめに羽田空港の機能強化について、でございますけれども、こちらは先ほども申し上げましたが、この新飛行経路案のルートを通る自治体は品川区だけではございません。
しかし、品川区は一番影響を受ける自治体というところを踏まえ、しっかりと国に対して、今後の対応、様々な環境影響に配慮した方策について、その具体的な内容、そしてその実効性について強く求めていく段階であるというふうに認識しております。

田中議員(品川・生活者ネット)

田中さやか議員(品川・生活者ネットワーク)
田中さやか議員(品川・生活者ネットワーク、区議1期、都立南高卒、36歳)

田中:(都主催の連絡会)開催が決まったときには、区は何と発言する予定?

次に、羽田新飛行ルート計画の白紙撤回を求めて、区の姿勢を伺います
品川・生活者ネットワークは、国土交通省が発表した低空飛行ルート計画に一貫して反対を表明しています。

落下物事故による命の危険はもとより、騒音によるストレスからくる健康被害をはじめ、視覚障碍者は単独歩行が困難となり、聴覚障碍者は騒音・振動を感じるといいます。

そして、音に過敏な発達障碍者も日常生活が困難となり、また航路下には子供たちの保育や学びの場があり、子供たちの健やかな育ちが阻害されます。

区民の生活を危険にさらすこの計画から区民を守るために、区が白紙撤回の立場に立つよう強く求めます

都内の住民が連携して、石井国交大臣にこの白紙撤回を要請する署名活動が行われました。品川区内でも多数の住民が参加し、区内では5,700筆を超える署名が集まり、全体では署名24,500筆以上を11月27日に衆議院会館にて、国土交通大臣宛に手渡しました

先日閉会した第3回定例会の決算特別委員会総括で、品川・生活者ネットワークは国の「首都圏機能強化協議会」に向けて、東京都が設置した関係区、自治体の連絡会に対する区の姿勢を質しました。

改めて「区の政策決定」について伺います

副区長をメンバーとする東京都主催の連絡会開催の通知は届いているのでしょうか。また、開催が決まったときには、区は何と発言する予定でいるのか伺います。

決算委員会のなかで、都市環境部長は「連絡会や協議会の場で根強い反対の声があることを国に伝えるかは未定」としています。先に述べた国交省に提出した署名に現れているように、計画に反対する住民は現に多数存在します。この反対意見を発言内容に入れるべきと考えますが、見解を伺います。

「連絡会での発言内容を決定するプロセスについては、発言する内容によって、決定のプロセスが変わる」と答弁し、「決定のプロセスは、区のなかで意思決定をする通常のルート」とお答えになりました。「発言内容を決定する通常のルート」とは、どのような手順なのか、改めて正確にお答えください。

このような区民生活に重大な影響を及ぼす案件に対して、国から独立した形で地方行政を処理すべき区長が、住民や議会の意思を超えて政治判断として決定してしまうとすれば、それはあってはならないことだと考えます。
発言内容について、連絡会後に報告ということは、まさかはるはずはないと品川区の良識を信頼していますが、総括の場では明確なお答えがなかったので伺います。

都市環境部長
都市環境部長

部長:現時点において発言内容をお示しする状況にはございません

私からは羽田空港の機能強化についてお答えいたします。
はじめに「東京都主催の連絡会について」ですが、現時点において開催を知らせる通知は届いておらず、また今後の開催時期を知らせるスケジュールについても示されておりません

次に、「開催された場合の区の発言について」ですが、本連絡会は国より羽田新飛行ルート案が示されて以降、これまで開催の実績はなく、今後の予定はもとより、話し合う内容についても示されておりませんので、現時点において発言内容をお示しする状況にはございません

次に、「発言内容を決定する手順について」ですが、通常の意思決定につきましては、所管にて原案を策定し決定していくものですが、発言の内容は都から連絡会での話し合いの内容が示され、また開催時点での国の対応状況も踏まえ決定されるべきものと考えております。その際の議会への報告について適時、適切に行ってまいります

田中:根強い反対意見をしっかりと届けてください

そして羽田です! 羽田問題です。
東京都主催の連絡会の開催の通知、通知、届いて……来ていない? ぜひお知らせください。そして、都は連絡会を開催するとのことです。そして……
議長:質問まとめてください!
すみません。

いろいろな場面で、国に様々な区民の、様々な意見を伝えているということを何度も伺っていますが、この連絡会での発言が重要という認識で伺ってます。
昨日の議会質問でのご答弁では……
議長:質問時間が過ぎているので、質問まとめてください!

「自治体の役割は区民の意見をしっかり届けること」と言われました。「その区民の意見として現に存在する根強い反対意見をしっかりと届けてください」ということを伝えています。その確認の質問です。明確にお答えください。

部長:現在は逐一、国のほうへ区から直接ご意見を届けている

羽田空港の機能強化についてですが、連絡会につきましては、まだ内容が示されておりませんので、現在その発言内容についてお示しすることはできませんが、ただ、いま区へ様々な意見が届いております。


こういった多岐に渡る意見、これは様々な意見を連絡会のなかで逐一すべて述べるというのは非常に現実としては難しいという所もありますけれども、まだ1回も開催されてないわけですけども、従いまして、現在は逐一、国のほうへ区から直接ご意見を届けているというところでございます。

これは意見のなかには「様々な意見」と先ほど申し上げましたが、少数意見もあります。そういったところで区としましては、全ての意見に対して国に届けるというところで現在対応しているところでございます。

議長
松澤利行議長(無所属、区議8期、慶應法卒、米穀商、73歳)

議長:質問は簡潔に行い、質問時間をお守りください

田中議員に、再々質問を行うにあたり一言申し上げます。質問は簡潔に行い、質問時間をお守りください

田中:根強い反対の声があるということをしっかりと届けていただきたい、ですっ!

羽田新ルート問題です。昨日の一般質問のご答弁では、「自治体の役割は区民の意見をしっかり届けること」と言われました。

その区民の意見として、「現に存在する根強い反対意見をしっかり届けてください」ということを確認の質問をしています。ぜひ明確にお答えください。
この声が、根強い反対の声があるということをしっかりと届けていただきたい、ですっ!

部長:速やかに国に届けているところです

羽田空港の機能強化についてお答えいたします。ただいま議員のほうからお示しいただきました意見を含め、様々な意見がございます。

そのなかには賛否も含め、また、「個別に説明会を開いてほしい」、それから「具体的な防音対策の場所を教えてほしい」ですとか、様々あります。

また、こういったものについては確実に国に届けるために、いつ開催されるかわからない連絡会を待たずして、速やかに国に届けているところです
今後も引き続き確実に区民の声をお届けしたいと考えております。

雑感(平行線、質問力不足…)

平行線…(おくの議員)

撤回を迫る奥野議員(共産)に対して、区長を代弁する都市環境部長は「容認」という言葉も「撤回」という言葉も使わず、ひたすら安全安心を最優先で対応していくといった噛み合わない答弁が続く

容認/撤回の噛み合わない議論が続いている最大の理由は、答弁に立たずダンマリを続けている濱野区長の姿勢にあるのではないだろうか。

品川区議会HPの「会議録の検索」機能を使って調べてみると、羽田新ルート問題で濱野区長が答弁に立ったのは、過去に1回しかないことが確認できる。しかも2年半も前のことだ。
16年6月24日の第2回定例会一般質問で吉田ゆみこ議員(品川・生活者ネット)の「羽田増便計画に対する区の姿勢」の質問に対して、「区としては、事故が起きないように徹底した対応を国に求めており、これからも強く求めてまいります」といったように、現在の都市環境部長の答弁と同じなのだ(区の姿勢として一貫している点ではスゴイのだが)。

質問力不足…(田中議員)

「根強い反対意見をしっかりと(国に)届けてください」を繰り返す田中議員(品川・生活者ネット)に対して、「逐一、国のほうへ区から直接ご意見を届けている」旨を繰り返し回答する都市環境部長。

議長からは「質問は簡潔に行い、質問時間をお守りください」と釘を刺される。

いくら語気を強めても、議事録にゴシック体で記録されるわけではない。質問者に求められるのは感情を込めた発話だけでなくロジックだ。さらに質問力に磨きがかけられることを期待したい。

※マスメディアが取り上げなければ、羽田新ルート問題は区民には届かない。弱小なこのブログメディアによる区議会質疑応答の書き起こし情報が少しでもお役に立てば幸甚。

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