東京都は12月7日、「平成30年夏期 路上生活者概数調査の結果」を公表。「新宿区の25人減」は、路上生活者対策事業等の効果だというのだが……。
夏期・昼間の路上生活者153人減(都発表)
東京都は12月7日、「平成30年夏期 路上生活者概数調査の結果」を公表。昨年8月と比べて都内の路上生活者数が153人減ったという。
調査結果(概要)
平成30年8月時点での東京都の路上生活者数は、1,184人でした。このうち、都・区市町村等の調査による人数は639人(区614人、市町村25人)、国土交通省の調査による国管理河川の人数は545人でした。前年同月と比べ、合計で153人の減となりました。
市区町別や施設別(公園・道路・河川・鉄道・その他)に、路上生活者の概数が表形式で公開されているので、23区を中心に可視化してみよう。
都の路上生活者調査結果(夏期・昼間)
半数は河川敷
この6年間で2,160人(12年度)から1,184人(18年度)へと、4割近く減少している。18年8月時点で、河川敷(616人)、公園(286人)、道路(260人)の順に多い(次図)。
河川敷の路上生活者は、減少してきてはいるものの14年度以降全体の5割を超えている。
新宿区(117人)がダントツ
路上生活者数は、新宿区(117人)がダントツ。次いで台東区(72人)、渋谷区(70人)、墨田区(53人)の順(次図)。
「新宿区の25人減」はミスリード…
「新宿区の25人減」は、路上生活者対策事業等の効果だという。
区市別では、新宿区の25人減をはじめ、大田区等で減少し、施設別では、主に国管理河川、区市管理公園、都管理道路等で減少しました。
これには、都と23区が共同で取り組んできた、自立支援センターの運営をはじめとする、路上生活者対策事業等の効果が、寄与しているものと考えられます。
念のため、都が過去に公表したデータもひも解き、路上生活者が多い上位5区の変化を確認してみた(次図)。
台東区や渋谷区、墨田区は減少傾向が確認できる。でも、新宿区は足踏み状態ではないか。
「新宿区の25人減」という都の記述は、都民をミスリードしていないか。
パリでの東京2020大会のPRイベント開催や秋のライトアップモデル事業に血税を投じている一方で、都庁舎があるおひざ元の区では路上生活者数が減っていないという状況。東京2020大会に向けて不都合な真実……。
夜間(市民団体調査)は昼間(都調査)の2.6倍
ホームレス問題を研究している市民団体ARCH(アーチ)が8月3日(金)・4日(土)の深夜(24:30〜28:30)、157名(8月3日)+232名(8月4日)で都内15区(千代田・中央・港・新宿・文京・台東・墨田・目黒・大田・世田谷・渋谷・中野・杉並・豊島・江戸川)の路上生活者数を調査した結果『2018夏東京ストリートカウント』を公表している。
同市民団体が調査した15区の路上生活者1,344人(夜間)に対して、都調査の15区合計は510人(昼間)。昼間に比べて2.6倍(=1,344人÷510人)の違いがある。
昼間(都調査)と夜間(市民団体調査)人数を区ごとに比較したのが次のグラフ。昼夜で2~4倍の開きがあることが分かる。昼間出掛けていたホームレスが、夜になるとネグラに戻ってくるのだから、昼夜で2~4倍の開きがあっても驚くことではないだろう。