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羽田新ルート|新宿区議会「平成30年 決算特別委員会」質疑応答

新宿区議会では「平成30年 第3回定例会」が開催されているのだが、代表質問や一般質問では、どの会派からも羽田新ルート関連の質疑が行われなかった。

定例会期間中、常任委員会や特別委員会などでも、羽田新ルート関連の質疑がなかったのか? 各委員会でどのような質疑が行われるのか(行われたのか)については、通常、会議を傍聴するか、会議録が公表されるまで分からない。

関係者らにメール照会したところ、10月2日の決算特別委員会で、佐藤佳一議員(共産)が取り上げているという情報を入手したので、議会中継(録画)をもとに、テキスト化しておいた。


質疑応答のポイント

※答弁は環境対策課長


議員:教室型説明会が行われる目処?

佐藤佳一議員(共産)
佐藤佳一区議(共産、区議2期、早大卒、59歳)

再三取り上げている「羽田空港の飛行ルートの騒音問題」と「説明会の問題」なんですが、定例会や、また予算・決算特別委員会で、「討論型の説明会をやってほしい」ということをずっと言っていて、課長の答弁は「協議しています」ということだったんですが、直近でいうと2017年の4月1日に新宿駅の西口でオープンハウス形式の説明会をやって――毎回私もオープンハウスの説明会に出てるんですが――けっこうな人が来てて、関心の高さを伺わせるんですね。

 

そのときにも国土交通省の職員の方に話をしたら、(私が)「ぜひ討論型、教室型の説明会をやってほしい」というふうにいったら、(国交省の職員は)「要請してくれればやりますよ」というふうに毎回言うんですけれども、なかなか話が進んでいかないと。

2017年の3月には意見書を議会として採択をして、そうした地元住民への丁寧な説明、教室型説明会を開くようにという意見書が採択されてるんですが、いま国交省とのやり取りや協議はどのようにやられていて、説明会が行われる目処というのはあるんでしょうか

課長:年度内の開催を目指して、国と協議を進めている

環境対策課長
答弁に立つ環境対策課長

教室型説明会に関するお尋ねです。

(2018年)1月の18日に(新宿駅)西口広場でオープンハウス型の説明会を行って、525名の来客がありまして、そちらのほうですと区民以外の方も多いということで、私どもも国に対して教室型説明会というのを重ねて要望していたところ、国の方から「やる方向で調整していきたい」という回答を得てます。

それで現在調整中でして、国のほうも、また今後オープン型説明会もやっていくので、その日程と調整しながら、なんとか年度内の開催を目指して、いま国との協議を進めているところです。

議員:今年度中になんとかできる?

以前この質問したときに、課長から「国土交通省が嫌がっている」というお話をされて、「港区かどっかで、(教室型説明会を)やったら紛糾をしたと。それで躊躇してるんじゃないか」ということなんですが、今年度中になんとかできるというふうに見てよろしいでしょうか。再度確認です。

課長:会場等について、検討している状況

いま国の方と、国のほうも年末から年度初めにかけてオープンハウス型の説明会をやっていくんで、なかなか日程調整がいま難しいという話もあるんですが、国のほうも「区の要望に応えて年度内にやる方向で一緒に検討していきたい」ということで、私どものほうも会場等について、いま検討している状況でございます。

議員:落下物を海外の航空会社に報告させることについて?

ぜひお願いします。

それでもう一つ、落下物の対策なんですが、2017年の9月に関西空港を離陸したKLMオランダ航空から重さ4.3キロのパネルが落下した。同じ9月に全日空機から約3キロのパネルが2日続けて落下した。これで非常に落下物に対する危惧というか、そういうのが非常に拡がったわけですね。

国土交通省が2009年から8年間で落下物として報告されたものが451件あったとのことです。これは国内での航空会社だけで、海外の航空会社は含まれていないんですね。そうすると相当な数が落下していて、本当にルート上にある住宅街は非常に心配だというふうに思います。

それでこれは「落下物防止の総合対策検討会議」(落下物防止等に係る総合対策推進会議)が行われていて、日本の国内会社には指導というか要請はできるけども、報告させる「義務」があるんですが、海外の航空会社に対してお願いはできるけれども強力に指導したり、ちゃんと定期的に報告することができないということがあったんですが、なかなか法的な問題があって、それはできないということなんですけども、その辺の状況について、区として何かつかんでいることはございますか。

課長:航空法の施行規則が改正され報告が義務付けられた

私どもも、新宿の上空を航空機が飛ぶということで、落下物に対して非常に安全対策に対してはシッカリやってほしいと考えております。

そういうなかで国のほうで9月27日に航空法の施行規則を改正しまして、落下物対策というのを規則のなかに盛り込みました。

それで、そのなかで国内の航空会社および国外の航空会社においても、「部品等脱落防止措置に関する技術基準」というのがあるんですが、それに準じて対策を盛り込むことが義務付けられまして、国に国内の航空会社に対しては1月中に、国外については3月中に、これをやることが義務付けられましたので、落下物対策というのはかなり前進したと考えております。

議員:飛行ルートについては、国に対して見直しをするように求めていきたい

それは非常に大きなことですね。なかなか海外の航空会社にはそういうことができなかったので、私も国土交通省にレクチャーに行ったときに、そういう説明を受けたので、今回のことを非常に歓迎したいと思います。

最後に「意見」だけ終わって(言って)、終わりにしたいと思います。

この問題は上空を飛ぶルートにある新宿区だけでなくて、港区やそれから品川区など多くの区で住民から不安と反対の声が拡がっております私たちも引き続き「この飛行ルートについては、国に対して見直しをするように求めていきたい」というふうに思っております。

雑感(撤回を求めない!?)

新宿区議会では、いまだに「教室型説明会」を国に実施させることが論点のひとつになっていることに驚かされた。仮に環境対策課長が答弁したように「年度内の開催」が実現したとして、その後の具体的な展開は見通せているのだろうか……。

 

港区の大滝議員(共産)は、「第3回定例会」本会議一般質問(9月12日)で、武井区長に羽田新ルートの「撤回」を迫っていた(羽田新ルート|港区議会「第3回定例会」質疑応答全文)。また、品川区長選では共産党は、野党4党(立憲・共産・自由、都民F)で、羽田新ルート撤回を公約に掲げる佐藤裕彦氏を推薦していた(羽田新ルート|品川区長選から来夏参院選へ「撤回」連鎖の可能性)。

ところが、新宿区の決算特別委員会で質問に立った佐藤議員(共産)は、撤回を求めるのではなく、「国に対して見直しをするように求めていきたい」とややトーンダウンした「意見」を述べている。港区と新宿区の共産党議員団との整合性は取れていないのではないか。

羽田新ルート問題係る中途半端なスタンスでは、野党統一候補を立てても、羽田新ルート容認派の現職区長の再選を阻むことは難しいのではないか(羽田新ルート|新宿区長選挙シミュレーション)。

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