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羽田新ルート|大田区議会「第3回定例会」質疑応答全文

大田区議会の「平成30年第3回定例会」本会議一般質問(9月13日)で、羽田新ルートに関して、清水菊美議員(共産)と松原区長との間で質疑応答があった。

ネット中継のビデオライブラリ(録画)をもとに、全文テキスト化(約3千文字)しておいた。

※マスメディアが取り上げなければ、羽田新ルート問題は区民には届かない。区議会議事録の肥しとなるだけだ。弱小なこのブログメディアによる区議会質疑応答の全文書き起こし情報が少しでもお役に立てば幸甚。


質疑応答のポイント

清水議員の質問

清水菊美議員(共産)
清水菊美議員(共産、区議4期、東京家政短大卒、60歳)

次に、経済最優先の羽田空港機能拡充計画は見直し、区民の安全と快適な生活環境を確保することについて質問します。

質問1:新飛行経路により大田区製造業の重要な地域が危険にさらされてしまうことについて区長の考え?

区長は今までこの質問に対して、空港との共存共栄の立場で、落下物ゼロの十分な安全対策など丁寧な説明を国に要望している、と答弁していますが、「経済最優先と区民の安全と快適な生活環境の確保とどちらを取るのか」が2020年もあと1年半後に控えた今問われています

現状の羽田空港は旅客数も貨物も増加し、発着回数1日あたり1,220回。
4本の滑走路は井桁状で、すでにハザードエリア、危険なエリアがあり、着陸やり直し、ゴーアラウンドは気象によるものだけではなく、人的要因も約3割を超え、年間400回。
危険と隣り合わせというのが現在の羽田空港で、管制の労働者の実態も深刻です。

飛行機事故は離発着時に多いといわれ、羽田空港周辺住民が事故に巻き込まれる可能性もあるということです。

落下物についても、大阪、熊本で甚大な事故が発生しました。
国土交通大臣も「落下物ゼロを目指す」としており、「ゼロにはできない」ということは明らかになっています。

機能拡充に伴う新飛行経路計画では京浜島275社、城南島167社、大田区の中小企業の多くが集中している地域上空を南風時、午後4時から7時まで1時間に90便の飛行機が地上50メートル以下でA・C滑走路に着陸するということになります。

京浜島においては昭和63年7月、新A滑走路の供用が開始され、地上40から50メートルの超低空で航空機が飛行し、工場の従業員は騒音、恐怖等で耐え難い状況となり、11月運輸大臣等に行政訴訟を起こしました。
その訴訟のなかで当時の運輸大臣は「新C滑走路が供用された段階では原則として京浜島上空は飛行しない」としたことから行政訴訟は取り下げをされたという歴史があります。

しかし新飛行経路は、裁判を取り下げた歴史的経緯を無視した計画です。経験した方々の「裏切られた。何の説明もない」の怒りの思いは当然です。
精密機械への影響も計り知れません。働いている人たちの身体的、精神的影響も甚大で、従業員の確保にも、工場としての財産価値にもマイナスになりかねません。
「第2回大田区景観まちづくり賞」を京浜島工業団地が受賞されました。全社挙げて環境美化運動活動の取り組みが評価されています。

このようななか、新飛行経路により、騒音、振動、大気汚染などの環境が大きく変わり、大田区製造業の重要な地域が危険にさらされてしまうことについて、区長はどのように考えますか。安全対策を国に求めるだけでは済まされないことです。お答えください。

質問2:区長は「区民の理解が得られていないので進めるべきではない」という立場に立つべき

国は、訪日外国人旅行者の受け入れ、国際競争力の強化と羽田空港の機能強化は不可欠、最重要と国民に理解が得られるよう説明。それもオープンハウス型の取り組みを進めています。

国土交通大臣は「理解が得られるように努力する」と国会で答弁を続けていますが、それはまだ理解されていないということを認めているということです
理解されない場合はどうするのかについては正確に答えていません。

区民アンケートでは、「羽田空港の離発着便数が増えて都心上空を飛行する計画をご存知ですか?」で、「知っている」は61.8%、「知らない」は30.1%。「増便計画についてどう思いますか?」では、「賛成」19.6%、「反対」33.1%、「どちらもとも言えない」35.7%でした。

区議会へも「新飛行計画を含んだ羽田空港機能拡充計画を見直すよう国に求めて欲しい」等々の趣旨の、いくつもの陳情が提出されています。
特別区議会議長会も国土交通省に新ルートの懸念解消を求めています

隣の品川区では区長選挙が30日投票で行われていますが、新飛行経路が大争点となっています。

羽田空港機能拡充計画について、区民の理解は得られていないと考え、区長は国に対して「丁寧な説明を求める」から、「区民の理解が得られていないので進めるべきではない」という立場に立つべきです。 お答えください。

区長の回答

松原大田区長

松原忠義 大田区長(無所属、3期、早大法卒・明大院卒、75歳)

回答1:航空機の運航による騒音及び安全の問題に関しては最優先で取り組むよう(国に)求めてまいります

次に、羽田空港の機能強化についてのご質問でございますが、現状の滑走路運用においても左旋回や北風時の西行きルート、ゴーアラウンドなど、区内上空を航空機が通過する場合がございます。

これらの運用等に伴う騒音影響はもちろんのこと、航空機や空港そのものの安全対策につきましても、ご指摘を待つまでもなく極めて重要なことであると考えております

国や関係機関、航空会社において、日々の安全対策に万全を期すことにより事故が未然に防止され、空港内で空港隣接地域はもちろんのこと、広く区内における安全・安心が確保されているものと考えます。

区ではそのような観点から国、航空会社など、関係機関に対し、航空機の安全等に関する適時の情報提供とともに、落下物をはじめとする安全対策の強化並びにトラブルの未然防止に向けた対策の推進をこれまでも要請をしてまいりました。引き続き機能強化提案にかかわらず、航空機の運航による騒音及び安全の問題に関しては最優先で取り組むよう求めてまいります

回答2:国に対して様々な手法を活用したより丁寧な情報提供を求めてまいります

次に、機能強化提案についての区民の理解についてのご質問でございますが、先ほども申し上げたところでございますが、羽田空港の滑走路運用により、現況においても航空機による区民生活への影響が生じております。
区では様々な機会をとらえて、これら検討課題への対応を国や航空会社に要請してまいりました。

このような事実を踏まえ、区は羽田空港の機能強化提案を重大なものと受け止め、広く区民の皆様に正確な情報を知っていただきたいと考え、国に対して丁寧な説明の実施を求めてまいりました

国は現在までオープンハウス型の説明会を大田区はもちろんのこと、東京、神奈川、埼玉の関係自治体において開催しております。
区内では平成27年7月の第1フェーズ以降、延べ8会場で18日間にわたり開催され、来場者は合計で1,510名となっております。
このほかにも羽田空港国内線第1ターミナルにおける情報発信拠点や特設電話窓口の設置等を通じて、広く地域住民や関係自治体に情報提供を進めております。

繰り返しにはなりますが、区といたましては機能強化提案について区民の皆さんにしっかりと理解いただくことが何より重要であると考えております。国に対して様々な手法を活用したより丁寧な情報提供を求めてまいります

雑感

安全対策を国に求めるだけで済む!?

清水議員の最初の質問(意見)「大田区製造業の重要な地域が危険にさらされてしまうことについて、区長はどのように考えますか。安全対策を国に求めるだけでは済まされないことです」に対して、区長は「航空機の運航による騒音及び安全の問題に関しては最優先で取り組むよう(国に)求めてまいります」と答弁。

安全対策を国に求めるだけでは済まないと主張している議員に対して、最優先で国に求めると答弁する区長。区長は「安全対策を国に求めるだけで済む」と言っているに等しいのではないのか。

「区民の理解」が焦点に…

また、二つ目の質問(意見)「区民の理解が得られていないので進めるべきではない」に対して、区長は「区民の皆さんにしっかりと理解いただくことが何より重要であると考えております。国に対して様々な手法を活用したより丁寧な情報提供を求めてまいります」と答弁。

「区民の理解」が焦点で、区民の理解が進めば羽田新ルートを運用してもいいという流れになっているように読める

清水議員が言及した区民アンケートは、日本共産党大田区議団が2018年に実施(25万世帯に配布し、現在3,500を超える返信)。「増便計画についてどう思いますか?」は、「賛成」19.6%、「反対」33.1%。

「どちらとも言えない(35.7%)」と回答している区民にシッカリ説明し、理解が得られれば賛成・容認派が多数を占めることになる(もちろん、逆のケースもあり得る)。

増便計画についてどう思いますか?

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2020年6月1日、このブログ開設から16周年を迎えました (^_^)/
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