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羽田増便計画策定に至る経緯とは

2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する羽田新ルート計画。

羽田新ルート周辺の100万人を超える区民の生活環境を脅かしてまで実施する大義はあるのか?

なぜ羽田増便は必要なのか? 羽田増便計画策定に至る経緯を確認してみよう。


もくじ

国交省FAQ:国際競争力強化には羽田空港の国際線強化が欠かせません

まずは、国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」に掲載されているFAQ冊子v4.1をひも解いてみよう。

「羽田空港の国際線増便の必要性」と題して(次図)、11頁にわたって説明がなされている。

「羽田空港のこれから」に掲載されているFAQ冊子v4.1

ズバリの回答を抽出することは困難なのだが、あえて掲げるとすれば以下の3か所。

ハブ空港としての羽田の増便の必要性が掲げられている。

Q1 外国との人の往来よりも、人口減少、少子高齢化そのものの対策に取り組むことが重要ではないですか。

(略)豊富な国内線との接続を通じ「地方と世界を結ぶ」という重要な役割を担う羽田空港だからこそ、将来のために国際線の増便が必要になると考えています。(P12)

 

都心へのアクセスに優れているので、羽田の増便が必要だという。

Q4 周辺のその他の空港をもっと活用すればいいのではないですか。

茨城空港、静岡空港等の首都圏周辺のその他の空港も重要であり、これらの空港の活用にも取り組んでいきます。
他方で、これらの空港については、都心へのアクセスの改善(時間、運賃等)が課題となっており、アクセスに優れた羽田空港の国際線の増便が必要であると考えています。(P15)


国際競争力強化には羽田空港の国際線強化が欠かせないという。

質問 都市の国際競争力の強化と、どう関連するのでしょうか。

「都心から近く」、「24時間オープンしている」という強みを持つ羽田空港の国際線が増便すると、企業誘致、投資にも追い風となり、国際競争力に大きく寄与すると考えられます。
また、世界の都市総合力ランキング2017において、交通・アクセス分野では、国際線直行便就航都市数などのスコアの上昇がみられますが、更なる国際競争力強化には羽田空港の国際線強化が欠かせません(P16)

チャンギ国際空港(シンガポール)や仁川国際空港(韓国)に後塵を拝している羽田空港のハブ機能を強化したいということなのだろう。

国交省のFAQよりも、次に紹介する石井国交大臣の答弁のほうが分かりやすいかもしれない。

石井大臣:全国各地と海外とのヒト・モノの交流促進による地域活性化

石井国交大臣は、参議院「国土交通委員会」(18年4月3日開催)の場で、「観光政策の在り方と首都圏空港機能強化」の質疑に関連して羽田増便の意義として、「2020年東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催」「訪日外国人2030年6千万人達成」「全国各地と海外とのヒト・モノの交流促進による地域活性化」などを掲げている。

これ(2020年までに発着容量を年8万回増加、2020年以降さらに16万回増加)が実現いたしますと2020年東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催に資するほか、観光ビジョンの目標である訪日外国人旅行者数2020年4千万人、2030年6千万人を達成

首都圏の国際競争力の強化、成田・羽田の日本最大の国内・国際ネットワークを活用した全国各地と海外とのヒト・モノの交流促進による地域活性化就航都市の増加による旅客利便性の向上など、幅広い効果が見込まれるところであります。

※詳しくは、「羽田新ルート|参院「国土交通委員会」質疑全文」参照。 

有識者会議での議論

羽田増便計画が策定されるまでに行われていた検討会は2つ。「交通政策審議会航空分科会基本政策部会」(12年10月~14年4月)と「首都圏空港機能強化技術検討小委員会」(13年11月~16年7月)。

前者では、羽田・成田両空港の今後のあり方について議論が行われ、13年9月に両空港の更なる機能強化に向けて具体的な方策の検討に着手することが決定された。
また後者では、中間的な取りまとめとして、羽田空港の飛行経路の見直しを含む機能強化策が14年7月8日に発表された。

以下に両検討会のポイントを紹介する。

基本政策部会:(欧米主要空港並みの)100万回クラスの実現

交通政策審議会の第15回(14年4月23日開催)の「取りまとめ(案)」をひも解くと、現在の増便計画に至る背景がよく理解できる。

欧米主要空港トップクラスの発着回数100万回超を実現しているから、首都圏空港(羽田・成田)も100万回クラスを実現する必要があるというのである。

首都圏空港の更なる機能強化

(前略)欧米主要空港トップクラスにおいては、発着回数100万回超を実現しており、世界の経済成長を取り込んでいくためには、首都圏空港においても100万回クラスの実現を目指した検討を進めていく必要がある
これらの状況に対応するため、2020年の東京オリンピック・パラリンピックや、更にその先を見据え、首都圏空港の更なる機能強化を図る必要がある。(以下略)(P4)

また、関西国際空港や中部国際空港については、LCC や訪日外国人旅行者の受入れのゲートウェイとしての機能の強化を図ることがうたわれている。

首都圏以外の国際拠点空港等の機能強化

首都圏以外で拠点となる空港については、それぞれの地理的特性を生かした活用や、それに必要な機能強化が図られるべきである。

具体的には、関西国際空港や中部国際空港を中心に、LCC や訪日外国人旅行者の受入れのゲートウェイとしての機能の強化、あるいは、地場産業としての強み、例えば、関西国際空港であれば医薬品産業、中部国際空港であれば航空機関連産業等を生かした国際航空貨物の拠点としての機能の強化を図ること、また、そうした利用を促す経済的施策に関する検討も重要である。(以下略)(P4)

技術検討小委員会:2020までに飛行経路の見直し

首都圏空港機能強化技術検討小委員会の第6回(16年7月22日開催)で配布された「首都圏空港の機能強化について」をひも解くと、2020年東京オリンピック・パラリンピックまでに実現し得る主な方策として、滑走路運用・飛行経路の見直しなどが掲げられている(次図)。

首都圏空港の機能強化について

上図の右下に、その他の課題として「羽田空港、成田空港以外のその他の空港の活用」が掲げられている。

その他の課題として、両空港をフルに有効活用するための方策、異常発生時における回復性の強化、空港処理能力拡大以外の機能強化方策、羽田空港、成田空港以外のその他の空港の活用等が挙げられている。


羽田増便に頼らず、関西国際空港や中部国際空港の増便で、石井国交大臣が目指す「訪日外国人2030年6千万人達成」「全国各地と海外とのヒト・モノの交流促進による地域活性化」がどこまで対応可能なのか知りたいところだ。 

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2019年6月1日、このブログ開設から15周年を迎えました (^_^)/
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