羽田新ルートが運用開始されると、品川区民の3割(12万人)が騒音などの被害を受けることになる。この衝撃的な事実を品川区民のどれくらの人たちが把握しているのだろうか。
その品川区で、品川区長選挙・議会議員補欠選挙が9月30日に実施されることになった(告示日9月23日)。
羽田新ルートへの対応は、品川区長選挙の争点のひとつになるに違いない。現時点で立候補を表明している3名の公約を整理しておいた。
浜野健氏(現区長、3期目):羽田新ルート計画容認!?
4期目を目指す浜野氏(区長3期目、早大政経学部卒、70歳)の公式サイトのトップページには「3期目のための新政策」が表示されている。
なんと4年前の公約のままなのである。もちろん羽田新ルートについては記されていない。
最新の区議会での答弁(6月29日「第2回定例会」)からは、「引き続き国に対しては、安全対策のさらなる検討を求めてまいりたい」(都市環境部長)というのが区の基本的スタンス。
役人答弁の常で、言質を取られないよう慎重な言い回しではあるが、羽田新ルート計画の容認しているようにも深読みできる。
※詳しくは、「羽田新ルート|品川区議会「第2回定例会」質疑応答全文 」ご参照。
浜野健氏の公約の発表が待たれる。
佐藤裕彦氏(元都議6期):品川上空低空飛行の撤回
佐藤裕彦氏(元都議:史上最年少27歳で初当選、以後連続6期当選。慶大法卒、59歳、日出学園理事)は、さとう裕彦公式ホームページで発表した「7つの約束」の一番初めに「品川上空低空飛行の撤回」を掲げている(次図)。
安全が確保されない
品川上空低空飛行の撤回を!(前略)現区長は2年前の4月と5月に国交省に行き、基本的にこの問題にゴーサインを出しています。これは区民の安全・安心を考えない暴挙と言えましょう。
加えて、その記録が国交省にあるのにも関わらず品川区には無いという、森友・加計問題のような事態が品川区でも起こっています。(中略)
安心して暮らせる品川区、安全に暮らせる品川区を目指すためには、低空飛行問題については撤回を強く求めて行きたいと考えています 。
また、東京上空にある米軍管轄の空域(いわゆる横田エリア)の返還要求など国として果たすべき事をまずやるべきでしょう。
「品川上空低空飛行の撤回を!」という力強い見出しとは裏腹に、「撤回を強く求めて行きたいと考えています」(←考えるだけかいっ!)とか、「横田エリアの返還要求など国として果たすべき事をまずやるべき」(←べき論を並べるだけなら誰でもできる!)とか、実効性に疑問を持ちたくなるような表現に留まっている。
西本貴子氏(無所属、区議4期目):羽田新ルートに反対
西本貴子氏(無所属、区議4期、東京農工大卒、57歳)は、7月12日の出馬表明で「羽田空港発着便の増加については、航空機からの落下物の危険性を指摘し、撤回すべきだ」と踏み込んだ発言をしている。
また、「品川区議会議員 西本たか子」HPに掲載されている「西本たか子通信」の18年8月号(PDF:2MB)には、「女性の視点力で品川刷新!!」と題して、実質的に公約が掲げられている(次図)。
上図右下に、わざわざ「品川区の問題に向き合う」と題して、「羽田新ルートに反対!!」の立場を鮮明に打ち出している。
品川区の問題に向き合う
羽田新ルートに反対!! 飛行機からの落下物はゼロにはなりません。
国交省の落下物ありきの政策にNO!!命より大切なことはありません。
騒音による健康被害も大きな問題です。
追記(9月11日)
浜野健氏
浜野健氏のHPは、4年前の公約のままである。投票日は今月末。自公支持にあぐらをかいているのだろうか。
自民2世衆議院議員が、政策論争ではなくネガティブキャンペーンを仕掛けている……。
17:48 - 2018年9月4日
佐藤裕彦氏
佐藤裕彦氏のHPは、撤回の意思が感じられる表現に修正された。また実現可能性の低い横田空域のくだりは削除された。
安心して暮らせる品川区、安全に暮らせる品川区を目指すためには、低空飛行問題については撤回を強く求めて行きたいと考えています国に対して、東京都と連携し撤回を強く求めます。
また、東京上空にある米軍管轄の空域(いわゆる横田エリア)の返還要求など国として果たすべき事をまずやるべきでしょう。
佐藤裕彦氏の6期連続の都議選戦績につき(いずれも自民党)、グラフを追加。
西本貴子氏
前回(4期目)の当選順位が40人中39位(次図)。
ジリ貧傾向のなかで、区長選出馬は来年区議選の宣伝活動を兼ねているのか。
羽田新ルート 「撤回」の本気度が問われる……。
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