「すべての女性が輝く社会づくり」の推進は安倍内閣の最重要課題のひとつ。
子育て期の女性の就業率が低いだけでなく、女性の管理職割合が低いといったことが課題に掲げられている。
実際のところ女性管理職の割合はどの程度なのか?
女性管理者2割超は4業界
帝國データバンクが8月14日に発表した「女性登用に対する企業の意識調査(2018年)」に業界別のデータが掲載されていたので可視化してみた(下図)。
女性管理者が2割を超えているのは、次の4業界。
- 1位:医薬品一日用雑貨品小売(35.6%)
- 2位:繊維・繊維製品一服飾品小売(30.4%)
- 3位:郵便、電気通信(20.5%)
- 4位:医療・福祉・保健衛生(20.1%)
一方、女性管理者の割合が1割を下回っているのは、次の7業界。
ワーストは建設業界。
- 18位:建設(4.7%)
- 17位:運輸・倉庫(5.1%)
- 16位:製造(5.6%)
- 15位:農・林・水産(5.9%)
- 14位:卸売(7.4%)
- 13位:金融(9.1%)
- 12位:サービス(9.8%)
ちなみに、不動産業界は9位(13.4%)で、ほぼ真ん中。
※調査対象(2 万 3,112 社、有効回答企業 9,979 社、回答率 43.2%)
”女性が輝いていない”6業界
17年から18年にかけて、女性管理者の割合は増えたのか?
18年の女性管理者の割合を横軸に、「改善率」(17年の女性管理者の割合に対する18年の同割合の増加率)を縦軸にして描いてみた(下図)。
「医薬品一日用雑貨品小売業界」は、女性管理職の割合も改善率も高く、最も”女性が輝いている”。
逆に、女性管理職の割合も改善率も低い、”女性が輝いていない”のは、次の6業界(下図のオレンジ色ゾーン)。
- 改善率(18年女性管理職割合/17年女性管理職割合)
- 金融 -5.2%(9.1%/9.6%)
- 建設 -2.1%(4.7%/4.8%)
- サービス -1.0%(9.8%/9.9%)
- 不動産 2.3%(13.4%/13.1%)
- 卸売 4.2%(7.4%/7.1%)
- 製造 5.7%(5.6%/5.3%)
不動産業界の役員女性比率ランキング
不動産業界の女性管理者の割合は13.4%で、全業界のほぼ平均であることは確認できた。ただ、改善率2.3%は高いとはいえない。
では、不動産業界の女性経営者の割合はどうなのか?
内閣府が公表しているデータで調べてみよう。
内閣府は14年1月「女性の活躍『見える化』サイト」を開設。上場企業について、役員・管理職の女性比率や女性登用に関する目標のほか、男女別の勤続年数、新卒者の定着率、育児休業の取得者数・復職率、残業時間、年休取得率など13項目のデータを公表している。
「女性の活躍推進企業データベース」として、業種別に9,606社のデータが公開されている(8月16日現在)。
「不動産業、物品賃貸業」をクリックすると、202社がヒットする(8月16日現在)。
そのうち、「役員に占める女性の割合」が1%以上の主な不動産会社は次の10社。
- 1位:コスモスイニシア(20.0%)
- 2位:大成有楽不動産販売(16.7%)
- 3位:三井不動産(11.8%)
- 4位:独立行政法人都市再生機構(7.7%)
- 5位:ヒューリック(6.7%)
- 6位:エヌ・ティ・ティ都市開発(5.6%)
- 7位:森ビル(3.7%)
- 8位:東急不動産(3.5%)
- 9位:レオパレス21(3.1%)
- 10位:三菱地所(2.4%)
第1位のコスモスイニシア(20%)の内訳をHPで調べてみると、全役員15名のうち女性は3名。3名のうちの1名は社外取締役(女性弁護士)。プロパー女性役員は2名(82年・86年入社)であることが確認できる。
2位以下の企業の女性役員は1~2名。そのほとんどが社外取締役。例外的なのは、森ビルの同族役員の森佳子氏、東急不動産HDグループ初の女性役員河合通恵氏くらい。
※レオパレス21は、18年4月1日付で早島真由美氏が新任執行役員に加わったことで、同社の役員女性比率は3.1%から6.3%に上昇している。