品川区議会の建設委員会で7月30日、新飛行ルート見直しなどを求める2件(陳情)の審査が行われ、反対多数で「継続審査」扱いとなった
腑に落ちない投票行動が観測されたので、気になるところを整理しておいた。
羽田新ルート見直し陳情案件、4対3で「継続審査」に
品川区議会の建設委員会で7月30日、新飛行ルート見直しなどを求める2件(陳情)の審査が行われ、反対多数で「継続審査」扱いとなった(「採択」には至らなかった)。
- 平成30年 陳情第12号
区長が、羽田空港増便による新飛行ルートについて、国に対し見直しを求める交渉をすることに関する陳情 - 平成30年 陳情第13号
羽田空港新ルート見直しと説明会開催に関する陳情
建設委員会の委員8名のうち、委員長を除く7名の賛否は次表の通りである。
自民・公明の3名は国交省の進めている新飛行ルートを見直すことに賛成しないことは既定路線だろう。
共産1名と無所属1名に加え、国民民主が「採択」(賛成)に回ったため、「採択」されそうだったのだが、西本氏(無所属)が「継続」(反対)票を投じた。4対3の「継続」多数ということで採択されず、継続審査扱いとなった。
なんとも、微妙な投票結果である。
前回の請願案件と異なる投票行動を取った西本区議
念のため、前回(7月2日)に審議された、新飛行ルートの撤回を求める請願(1件)が「不採択」となったときの委員7名の賛否の内訳(次表)をみると、腑に落ちないところが出てくる。
- 平成30年請願 第13号
都心・品川上空新飛行ルートの撤回を国交省に求める請願
自民・公明が反対(不採択)票を投じる姿勢に変わりないが、国民民主と西本氏(無所属)の投票行動が7月30日とは逆なのである。
※上表の投票行動は公開された会議録を基に再現した。同会議録に横山委員(自民)の発言は一切記載されてなかったが(これはこれで問題だが)、賛成者少数で「不採択」と決定したことから、横山氏を「不採択」とみなした。
国民民主が反対(不採択)票なのは自公の補完勢力的なところがあるので違和感はないが、西本氏(無所属)の投票行動はなぜ7月30日と違うのか?
7月2日に開催された建設委員会の会議録(PDF:565KB)から、西本氏の発言を抜粋してみた。
「継続して当委員会で議論を進めていくというのが筋」だとしながらも、本日結論を出すのであれば「採択」(賛成)という趣旨の発言している。
西本氏(無所属)の主な発言(7月2日)
- 品川区としてどうするのかといったときに、もうそろそろ決断しなければいけない時期にあるのではないでしょうか。私はそう思います。(P24)
- こういう形で請願・陳情がたくさん出て、議会にかけられて、いつもいつも国の責任だという形で中途半端な議論になってしまっているという状況だと思うのです。(P26)
- 国策だ国策だと言っておりますけれども、地元の理解が得られなければということもあるわけです。そういうことであるならば、やはり継続して当委員会で議論を進めていくというのが筋ではないかと思いますので、私は継続して審議をしていただきたいと思います。(P35)
- 本日結論を出すということの決定がありましたが、この趣旨というのは、非常に私は賛同するところがありますので、本来は継続的に審議をしていきたいところでありますが、採択という形でお願いします。(P36)
品川区長選に出馬表明した西本区議の思惑…
西本貴子議員(無所属、区議4期、東京農工大卒、57歳)
西本氏は7月2日の請願(1件)に対しては「採択」(賛成)票を投じておきながら、7月30日の陳情(2件)に対しては「継続」(反対)票を投じた。なぜか?
7月30日の会議録はまだ公開されていないので、その真意は確認できないが、1点だけ確かなことがある。
西本氏は7月12日の品川区長選への出馬表明で、羽田新ルートの撤回を断言したのだ。
品川区長選 西本区議が出馬表明
(前略)西本氏は記者会見で「区政は硬直化している。(現職の成果を)否定はしないが、生活者の視点が求められている」と出馬の動機を説明。4期16年の区議経験を強調し「旧来型政治のしがらみ」からの脱却を訴えた。羽田空港発着便の増加については、航空機からの落下物の危険性を指摘し、撤回すべきだと表明 した。
(毎日新聞 7月13日)
出馬表明で羽田新ルートの撤回を表明した18日後に、羽田空港新ルート見直しを求める陳情(1件)に反対(継続)票を投じた西本氏の投票行動を、品川区民はどのように理解すればいいのか?
品川区長選への出馬を表明しているのは、西本氏のほか、現職区長の浜野健区長(70)と元都議の佐藤裕彦氏(60)。
羽田新ルートへの対応は、区長選挙の争点のひとつになるに違いない(そうあるべきだ)。西本貴子氏(区議4期)の選挙公約に注目したい。
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