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傾斜マンション問題のその後……泥沼化!?

2015年10月に不祥事が発覚して、世間を賑わせたパークシティLaLa横浜の「傾斜マンション問題」。

それから3年近くが経過。

建物の解体は終わったが、どの業者がどれだけ補償費を負担するのか、未だ決着をみていなかった。


もくじ

横浜の傾斜マンション、報告を31年に延期(産経記事)

建物の解体は終わったが、くいの引き抜きが8月にずれ込んだため、予定していた7月末の報告ができなくなったという。

横浜の傾斜マンション、報告を31年に延期

横浜市都筑区のマンション傾斜問題で、事業主の三井不動産レジデンシャルと施工主の三井住友建設は、くい先端部を固めるセメント液量データの改竄(かいざん)原因に関する調査報告を平成31年1月末まで延期すると市に伝えた。(以下略)

(産経ニュース 7月29日)

 

2015年10月に発覚して、世間を賑わせたパークシティLaLa横浜の「傾斜マンション問題」。
傾いていなかった棟も含めて全4棟の建て替えと住民の仮住まいなどの補償費も負担するという、三井不動産レジデンシャル(以下、三井不動産R)の太っ腹戦略。

あれから3年近くが経過。建物の解体は終わったが、どの業者がどれだけ補償費を負担するのか、未だ決着をみていなかった。

「傾斜マンション問題」のプレイヤーのおさらい(次図)。

「横浜市のマンション傾斜問題」のプレーヤー
「横浜市のマンション傾斜問題」 7人のプレーヤー」より

補償費の負担で揉めているのは、三井不動産R(施主)、三井住友建設(元請け)、日立ハイテクノロジーズ(1次下請け)、旭化成建材(2次下請け)の4社。

各社の言い分を確認してみよう。

三井不動産R:損害賠償請求459億円から509億円に増額

三井不動産Rは17年11月28日、「当社分譲済みの横浜市所在マンションに係る訴訟提起について」として、三井住友建設以下3社に総額約459億円の損害賠償を請求する訴訟を提起。

(前略)今般、当社は平成 29 年 11 月 28 日付で施工会社である三井住友建設株式会社、並びに杭施工を行った株式会社日立ハイテクノロジーズ、および旭化成建材株式会社に対し、不法行為責任、瑕疵担保責任等に基づいて、総額約459億円の損害賠償を請求する訴訟を提起しました。今後は、裁判を通じて本件求償に関する考えを主張してまいります。(以下略)

当社分譲済みの横浜市所在マンションに係る訴訟提起について|三井不動産R

三井不動産Rは今月(18年7月11日)、「当社分譲済みの横浜市所在マンションに係る訴額変更について」として、着工に伴い見積額が増加したため約509億円に変更した(50億円の増額)。

(前略)総額約459億円の損害賠償を請求する訴訟を提起しておりますが、今般、建替えるマンションが着工したことに伴い工事費等が提訴時の見込額から増加しましたので、損害賠償請求額を約509億円に変更いたしました。

当社分譲済みの横浜市所在マンションに係る訴額変更について|三井不動産R

損害賠償請求された3社の反応

三井住友建設:争う方針(原告の請求は、根拠を欠く)

三井不動産Rの損害賠償請求(総額約459億円⇒約509億円に増額)に対して、三井住友建設は争う方針を示している。

当社といたしましては、本訴訟におけるレジデンシャル社の請求は、根拠を欠くものであると考えており、裁判において、適切に当社の主張を展開してまいります。

17年12月8日|三井住友建設

当社といたしましては、本訴訟における原告の請求は、根拠を欠くものであると考えており、裁判において、引き続き、適切に当社の主張を展開してまいります。

18年7月13日|三井住友建設

日立ハイテク:争う方針(当社の考えを主張)

日立ハイテクノロジーズも三井住友建設と同様、争う方針を示している。

当社といたしましては、本件訴訟に対して当社の考えを主張してまいります。

17年12月21日|日立ハイテクノロジーズ

本件訴訟に対しては、引き続き当社の考えを主張してまいります。

18年7月17日|日立ハイテクノロジーズ

旭化成建材:争う方針(請求には根拠がない)

三井不動産Rからの訴訟に係るプレスリリースは特に見当たらない(7月29日現在)。

ただ、旭化成(旭化成建材の親会社)の第127期 有価証券報告書(17年4月1日~18年3月31日)(PDF:1.2MB)には、下記のように詳述されている。

2次下請けである旭化成建材は、三井不動産R(1次訴訟)からだけでなく、元請け三井住友建設(2次訴訟)と1次下請けの日立ハイテクノロジーズ(3次訴訟)からも提訴されていることが確認できる。

いずれの提訴に対しても、「請求には根拠がない」として、争う方針を示している。

(杭工事に関する訴訟の件)
三井不動産レジデンシャル株式会社は、2017年11月28日に、当社子会社の旭化成建材(株)(以下、「旭化成建材」)が二次下請として施工した横浜市所在のマンション(以下、「本件マンション」)の杭工事において、一部不具合が懸念されることにより本件マンションの建て替え費用等を負担したとして、本件マンション施工会社である三井住友建設株式会社、一次下請会社である株式会社日立ハイテクノロジーズ及び旭化成建材の3社に対して不法行為等に基づき約459億円の損害賠償を請求する訴訟(以下、「一次訴訟」)を東京地方裁判所に提起しました。旭化成建材は、三井不動産レジデンシャル株式会社の請求には根拠がないと考えており、一次訴訟においてその考えを主張していきます。

なお、一次訴訟に関連して、三井住友建設株式会社が、一次訴訟において損害賠償責任を負担した場合に被る同社の損害を株式会社日立ハイテクノロジーズ及び旭化成建材に対して請求するための訴訟(以下、「二次訴訟」)を2018年4月27日に提起しました。旭化成建材に対する二次訴訟の訴状送達の日は、2018年5月14日です。旭化成建材は、三井住友建設株式会社の請求には根拠がないと考えており、二次訴訟においてもその考えを主張していきます。

また、一次訴訟及び二次訴訟に関連して、株式会社日立ハイテクノロジーズが、一次訴訟又は二次訴訟において損害賠償責任を負担した場合に被る同社の損害を旭化成建材に対して請求するための訴訟(以下、「三次訴訟」)を2018年5月25日に提起しました。旭化成建材は、株式会社日立ハイテクノロジーズの請求には根拠がないと考えており、三次訴訟においてもその考えを主張していきます。(P106)

雑感

階層が下に行くほど、ツケが回されている!?

三井不動産Rは17年11月28日、三井住友建設以下3社に総額約459億円の損害賠償を請求(18年7月11日、約509億円に増額)。

これに対して、三井住友建設以下3社とも争う方針を示している。

日立ハイテクノロジーズ社の有価証券報告書に詳述されている「1次訴訟」「2次訴訟」「3次訴訟」を可視化したのが下図。

三井住友建設が負担する損害賠償を1次下請け・2次下請けに請求するのが「2次訴訟」。さらに、日立ハイテクノロジーズが「1次訴訟」「2次訴訟」で負担する損害賠償を2次下請けに請求するのが「3次訴訟」。

なんだか階層が下に行くほど、ツケが回されているように見えなくもない。

ただ、日立ハイテクノロジーズや旭化成建材は、三井不動産Rを忖度するような関係にないだろうから、裁判は長引くのではないか。

訴訟関係図

 

マンション・ブランドは守れたかもしれないが…

「大手不動産は、不具合があってもキチンと対応してくれる(建て替えまでしてくれる!)から安心」というイメージ戦略。

太っ腹の解決策で、三井不動産Rのマンション・ブランドは守れたかもしれないが、不具合への対応相場が一気に上がってしまった。他のデベロッパーにとっては、悪しき前例になったことであろう。

ちなみに、関東宇部コンクリート工業の生コン材料の仕様不適合事案(マン点流!(回答)産地偽装問題 )が5月末に発覚。

本事案のほうは、大手不動産の超大規模タワーマンションなども絡んでいるからなのか、忖度メディアはあまり報じず。すぐに鎮火……。

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