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「経済財政運営と改革の基本方針 2018」住環境編

経済財政諮問会議での答申を経て6月15日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2018~少子高齢化の克服による持続的な成長経路の実現~」(骨太方針)全72頁のうち、住環境に係る部分を整理しておいた。

下記の※文章は関連情報。


もくじ

経済財政運営と改革の基本方針 2018

地方創生、地域活性化の推進

様々なライフステージに応じた移住や交流を推進する。

東京一極集中の傾向は依然として継続している。地方への新しいひとの流れをつくるために、個々人の「人生の再設計」とも合わせ、UIJターンなど様々なライフステージに応じた移住や交流を推進する。(P5)

※少し古いが、一般社団法人1more Baby応援団(理事長は森まさこ参議院議員 元少子化担当大臣)が16年5月30日に発表した「夫婦の出産意識調査2016」によれば、「子育てを主な目的とした移住に関して、情報収集・検討したことがあるか」という設問に対して、18%が「したことがある」と回答。
そのうちの半数が実際に移住している。調査対象者の9%が実際に移住したというのは、けっこう高い数値だ(次図)。

主に子育てを目的とした移住について

若い世代の移住により地方を活性化させる政策はよしとして、シニア世代を移住させるのはどうなのか?(ふるさとは遠きにありて思ふもの!都市高齢者の地方移住は現実的か)。

既存住宅市場の活性化

人生 100 年時代において、多様なライフステージに対応した住まいの確保を目指す。

人生 100 年時代において、多様なライフステージに対応した住まいの確保を目指す。このため、民間賃貸住宅による住宅セーフティネット制度公的賃貸住宅の活用を図りつつ、若者・子育て世代が安心して結婚でき、子育てしやすく、高齢者等が安心して暮らせる良質な住環境の整備や、住み替えへの支援などを一体的に進める。
また、空き家の利活用を図るとともに、住宅の良質化・省エネ化、リフォームの推進、不動産管理業の適正化などにより、既存住宅市場を活性化させる。(P36)

※「既存住宅市場の活性化」は不動産業界からも渇望されている。2017年不動産業界団体トップの年頭挨拶では、4人が掲げている(不動産業界団体トップの年頭挨拶にみる2017年の問題意識)。

まちづくりとまちの活性化

人々が安心して暮らせる持続可能なまちづくりを進める。

地方への新しいひとの流れを支え、人口減少が進む中でも、人々が安心して暮らせる持続可能なまちづくりを進める
より高い水準のユニバーサルデザイン化を推進しながら、「子育てに寄り添うまちづくり」に取り組む。また、高齢者が安心して暮らせるよう、地域の生活機能を集約したコンパクトなまちづくりを健康づくりと合わせて進める。(P38)

※住まいや公共施設、医療施設、商業施設などを一定の範囲内に収めて、コンパクトな街づくりによって、市街地の空洞化を防止しようというのが「立地適正化計画」。

立地適正化計画の区域外エリアにある不動産の価格は、周辺インフラの整備が疎かになると、間違いなく暴落するといわれている(立地適正化計画の区域外は暴落!?『5年後に笑う不動産』)。

防災・減災と国土強靱化の推進

住宅・建築物の耐震化や地盤の強化、木造密集市街地の改善、無電柱化、民間投資の活用を進める。

我が国は、その自然条件から、場所を問わず、様々な自然災害が起こりやすい環境にある。国民の生命と財産を守るため、近年の災害の発生状況や気候変動の影響を踏まえ、体制整備に努めつつ、ハード・ソフト両面において防災・減災対策、国土強靱化の取組を進める。(中略)

安全なまちづくりに向けて、住宅・建築物の耐震化や地盤の強化、木造密集市街地の改善、無電柱化、民間投資の活用を進める。(P44)

※木造密集市街地の改善は待ったなし。
都内でいえば、区部東部は、地盤が軟弱で建物倒壊危険度が高く、延焼による火災危険度も高い。総合危険度1位:荒川区 町屋4丁目、2位:足立区 千住柳町、3位・・・(危ない街50!「建物倒壊や延焼火災の危険度」ランキング(東京23区))。

2019年10月1日の消費税率引上げと需要変動の平準化

税率引上げ後の住宅などの購入支援。

(4)耐久消費財対策
2014年4月の消費税率引上げ時に耐久消費財を中心に駆け込み需要とその反動減が生じたことを踏まえ、2019 年 10 月1日の消費税率引上げに際し、税率引上げ後の自動車や住宅などの購入支援について、需要変動を平準化するため、税制・予算による十分な対策を具体的に検討する。(P50)

※3%から5%に増税された年(97年度)は、発売戸数が前年度よりも21%減少。消費増税前の水準に回復するのに2年を要した。

また、5%から8%に増税された年(14年度)は、発売戸数が前年度よりも19%減少。消費増税前の水準には未だ回復していない(次図)。

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過去に学ぶ!新築マンション市場への消費増税の影響」より

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