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羽田新ルート|参院「国土交通委員会」質疑全文

第196回 国会参議院「国土交通委員会」において4月3日、「観光政策の在り方と首都圏空港機能強化」に関して、山添拓議員(共産党)の質疑(21分)があった。

ネット中継のビデオライブラリ(録画)をもとに、「首都圏空港機能強化」に係る石井大臣とのやり取りをテキスト化(約1,800文字)しておいた。


もくじ

山添議員「誰のための機能強化なのか?」

山添拓議員(共産党)
山添 拓 参議院議員(共産党、1期、東大⇒早大大学院法務研究科、33歳)

(誰のための機能強化なのか?)

ようするに航空会社の希望なんですけども、航空会社の希望は何なのかといいますと、これは国際線の乗り継ぎ旅客を取り込むということなんですね。

15時台から18時台にかけては北米便ですとかアジア便の発着が重なります。ですから、アジア各地、中国なども含めてそこから東京で乗り継いで北米に向かう、あるいはその逆の経由客を取り込むことができれば座席の利用率が上がり航空会社の収益性が高くなるというわけです。

従来、国際線は国家間の航空協定で、航空会社や発着空港、便数や運賃等が決められておりましたが、90年代から広がったオープンスカイ協定という世界的な規制緩和によって、航空会社の競争が激化をしまして、これに空港が巻き込まれるという事態になっています。

羽田や成田は夕方の時間帯の発着枠が頭打ちになりますと、韓国ですとか中国あるいは香港などアジアの他の空港にとられてしまう。

だから航空会社の利益のために空港間で競争をする。そういう構図の中で発着枠の拡大が狙われております
しかし乗り継ぎ客のためでしたら、これインバウンドでも何でもないんですね。国際線同士の乗り継ぎ客でしたら出国税の課税対象にもなりません。ですから「そもそも誰のための機能強化なのか?」ということが改めて問われてくると私は思います。

(利潤第一の歪んだ政策)
観光客だけが狙いでは全然ないわけです。日本再興戦略では、「成長著しいアジア等の成長力を取り込むといい、企業が活動しやすい国のために国際競争力を高める必要がある」としています。

国際金融都市としての東京のステイタスを高めるために、企業立地を促進し、外国企業のアジア拠点を500社以上誘致をする。国際戦略総合特区を活用して外資の投資環境を整えることが計画されました。

そのためのインフラ整備として交通政策が位置づけられ、国際戦略港湾や首都圏3環状道路、リニア新幹線など、都市機能の強化を図るとしています。

首都圏空港の機能強化も同じ発想によるものです。

大企業や投資家をこうして儲けさせて、都心上空ルートですとか、あるいは夜間の飛行制限の緩和によって、騒音や落下物の危険が増える周辺住民にとっては不安や迷惑をもたらすばかりです。

大臣に伺いますけれども、「こういう利潤第一の歪んだ政策を進めようとしているものだ」こういう認識を大臣お持ちでしょうか

石井大臣「航空会社や特定の大企業など特定のものだけが享受するものではございません

石井 国交大臣
石井啓一 衆議院議員(公明党、9期、東大工学部、60歳)

(効果は特定のものだけが享受するものではない)

首都圏空港につきましては、羽田空港の飛行経路の見直しや、成田空港の高速離脱誘導路の整備によりまして、2020年までに発着容量を年8万回増加させる。

2020年以降には成田空港の第3滑走路の増設、夜間飛行制限の緩和などにより、発着容量をさらに16万回増加させまして、発着容量を約100万回とする機能強化を実現したいと考えております。

これが実現いたしますと2020年東京オリンピック・パラリンピックの円滑な開催に資するほか、観光ビジョンの目標である訪日外国人旅行者数2020年4千万人、2030年6千万人を達成。

首都圏の国際競争力の強化、成田・羽田の日本最大の国内・国際ネットワークを活用した全国各地と海外とのヒト・モノの交流促進による地域活性化、就航都市の増加による旅客利便性の向上など、幅広い効果が見込まれるところであります。

こうした効果は首都圏のみならず、全国各地の住民の方々に幅広く届くものであり、航空会社や特定の大企業など特定のものだけが享受するものではございません
(丁寧な情報提供に努める)
一方で両空港の機能強化にあたっては、落下物や航空機騒音に対する懸念の声などが寄せられております。

このため落下物防止対策基準の策定、義務化等による未然防止策の徹底、保証等の充実など、事案発生時の機能強化両面からの総合的な落下物対策や防音工事の充実強化や低騒音機の導入促進等の騒音対策に取り組むこととしております。

こうした取り組みにつきまして、着実に実施をするとともに、引き続き住民や関係自治体の方々に丁寧な情報提供を行い、首都圏空港の機能強化についてご理解をいただけるよう努めて参りたいと考えております。

山添議員「住民生活の犠牲の上に増便拡張ありきの機能強化は見直すべき」

観光政策の基本理念というのは「住んでよし、訪れてよしの観光街づくり」です。

住民生活の犠牲の上に増便拡張ありきの機能強化は見直すべきだということを改めて主張・強調いたしまして質問といたします。

ありがとうございました。

雑感(羽田新ルート問題は国民に届いているか)

  • 先月(3月2日)衆院財務金融委員会での宮本徹議員(共産党)の質疑ポイントは「地元の理解が得られるまで飛行ルートの変更を行わないということでいいか?」。これに対する簗国交省政務官の答弁は、「多くの方々の理解を得られるように引き続き努めて参りたい」であった(議論がかみ合っていない)。

    今回の山添議員(共産党)の質疑は、切り口を変えて「誰のための機能強化なのか?」。石井大臣の答弁は、「引き続き住民や関係自治体の方々に丁寧な情報提供を行い、・・・ご理解をいただけるよう努めて参りたい」。
    ちなみに、昨年12月6日の衆院国土交通委員会の初鹿明博議員(立憲民主党)の質疑に対する石井大臣の答弁も「引き続き丁寧なご説明を行い、できる限り多くの方にご理解いただけるよう努めて参りたい」とブレてない。

  • 理解をいただけるよう努めている「丁寧な説明」の効果はいかに? 野党議員には、羽田新ルートが国民にどの程度認識されているのか世論調査の実施を国に迫るとか、この問題を広く国民に知らせることに力を注いでほしいものだ。
  • せっかく衆・参両院の「国土交通委員会」で羽田新ルートに係る質疑が行われても、NHKや民放、新聞などのマスメディアが取り上げなければ国民には届かない。国会議事録の肥しとなるだけだ。弱小なこのブログメディアによる国会質疑の全文書き起こし情報が少しでもお役に立てば幸甚。

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