不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

首都圏を中心に、マンション選びのためのお役立ち情報を提供しています


『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』

産経新聞社論説委員の河合雅司氏著『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書)を読了。

「第1部 人口減少カレンダー」には、暗い未来が描かれている。

不動産についても言及されている。2033年、いまから15年後には、全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる。

空き家が増加する最大の要因は供給過剰だという。

最大の要因は供給過剰

(略)最大の要因は住宅の供給過剰だ。1968年の同調査以降、住宅総数は総世帯数を上回っている。2013年も818万戸の超過である。(略)

「新築志向」の強さも空き家が増え続ける理由だ。住宅企業は、顧客ニーズがあるのだから、それに応えていく。(略)

 歴代政権にとっては分かりやすい「景気浮揚策」だったわけだ。人口の減少が避けられないことも、それゆえに空き家対策が必要なことも分かっていながら、人気政策を優先せんがために目をつぶり、空き家対策どころか空き家数の増大に拍車をかけるような政策を講じてきたのである。

 新築住宅の推進政策は、その歴史的役目をとっくに終えている。中古市場の活性化や既存住宅の有効活用を図っていかなければ、われわれは“悪夢”を目の当たりにする。(P96-97)

空き家が増加する要因は供給過剰と新築志向。

誰もが空き家問題に気づいていながら、見て見ぬふりをしていないか。それでも自分だけは新築マンションが欲しいと考えていないか。

「お前たちのことだ!」(村本大輔風に)

本書の構成

2部構成、全206頁。

第1部には、人口減少による暗い未来が描かれている。

第2部で提案されている10の処方箋を読むと、少し明るい気持ちになれる、かも。

第1部 人口減少カレンダー

  • 序 2016年、出生数は100万人を切った
  • 2017年 「おばあちゃん大国」に変化
  • 2018年 国立大学が倒産の危機へ
  • 2019年 IT技術者が不足し始め、技術大国の地位揺らぐ
  • 2020年 女性の2人に1人が50歳以上に
  • 2021年 介護離職が大量発生する
  • 2022年 「ひとり暮らし社会」が本格化する
  • 2023年 企業の人件費がピークを迎え、経営を苦しめる
  • 2024年 3人に1人が65歳以上の「超・高齢者大国」へ
  • 2025年 ついに東京都も人口減少へ
  • 2026年 認知症患者が700万人規模に
  • 2027年 輸血用血液が不足する
  • 2030年 百貨店も銀行も老人ホームも地方から消える
  • 2033年 全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる
  • 2035年 「未婚大国」が誕生する
  • 2039年 深刻な火葬場不足に陥る
  • 2040年 自治体の半数が消滅の危機に
  • 2042年 高齢者人口が約4000万人とピークに
  • 2045年 東京都民の3人に1人が高齢者に
  • 2050年 世界的な食料争奪戦に巻き込まれる
  • 2065年~ 外国人が無人の国土を占拠する

第2部 日本を救う10の処方箋
――次世代のために、いま取り組むこと

  • 序 小さくとも輝く国になるための第5の選択肢
  • 1.「高齢者」を削減
  • 2.24時間社会からの脱却
  • 3.非居住エリアを明確化
  • 4.都道府県を飛び地合併
  • 5.国際分業の徹底
  • 6.「匠の技」を活用
  • 7.国費学生制度で人材育成
  • 8.中高年の地方移住推進
  • 9.セカンド市民制度を創設
  • 10.第3子以降に1000万円給付

おわりに 未来を担う君たちへ


未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(講談社現代新書) 2017/6/14

2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
Copyright(C)マンション・チラシの定点観測. All rights reserved.