札幌市は12月27日、民泊条例の素案を公開。
学校周辺と住居専用地域での宿泊を、土、日曜日と祝日が連続する場合や年末年始などを除き、土曜日からの1泊に制限する。
札幌市、民泊条例の素案(日経記事)
学校周辺と住居専用地域での宿泊を、土、日曜日と祝日が連続する場合や年末年始などを除き、土曜日からの1泊に制限する。
住宅地域など民泊制限 札幌市も独自条例の素案
札幌市は26日、有料で一般住宅などに客を泊める「民泊」の営業を規制する独自条例の素案を明らかにした。学校周辺と住居専用地域での宿泊を、土、日曜日と祝日が連続する場合や年末年始などを除き、土曜日からの1泊に制限する。道条例の素案とほぼ同じ内容で、2月の市議会に条例案を提出し、住宅宿泊事業法(民泊新法)と同じ来年6月に施行する。(以下略)
(北海道新聞 12月27日)
札幌市が12月27日に公開した「(仮称)札幌市住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例(素案)」に対する意見募集についてを確認してみよう。
民泊条例の狙いは、生活環境の悪化防止
生活環境の悪化を防止するため、条例を制定しようとしている。
条例制定の背景
(前略)札幌市においては、法第 18 条の規定に基づき、札幌市における住宅宿泊事業による生活環境の悪化を防止するため、住宅宿泊事業の実施を制限する区域等を定める「(仮称)札幌市住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例」を制定しようとするものです。
学校周辺・住宅地域を土曜日からの1泊に制限
制限対象区域は、市内の小中学校から100m以内の範囲と、ホテルや旅館が営業できない住居専用地域。
制限期間は次表のとおりだ。
とても分かりにくい表現なのだが、ようするに、土日と祝日が連続する場合や年末年始などを除き、民泊は土曜日からの1泊しか営業できないということ。
今回のパブコメ(12月27日~1月26日)の結果を踏まえ、市条例案を策定し、来年2月に同案を定例市会議に提出し、3月に公布する予定とされている。
ちなみに、北海道も12月27日、「北海道住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例(素案)」のバブコメを開始している。制限対象区域・期間は札幌市の条例素案と同じである。もちろん、道条例は札幌市には適用されない。
道内Airbnb登録物件の6割が札幌
北海道内のAirbnb登録物件は、沖縄県に並んで増え続けている(次図)。
「Airbnb国内登録件数5.5万件(前月比2.5%減)」より
道内のAirbnb登録物件2,520件のうち、札幌市内のAirbnb登録物件は1,411件(12月28日現在、AirLABOデータ)。道内の56%の物件が札幌市に集中しているのである。
道内のAirbnb登録物件がいかに札幌市に集中しているのか、次図で確認できる。
道内のAirbnb登録物件数の分布(AirLABOデータを元に作成)
雑感
厳しい民泊条例で違法民泊は水面下に
上記のように札幌市内にAirbnb登録物件が集中している状況において、民泊条例で学校周辺・住宅地域に厳しい制限が課されるとどうなるか。
学校周辺は授業のない日に民泊営業が限られるので年間150日程度、住居専用地域は土曜日からの1泊と年末年始に限られるので年間60日程度となる。民泊事業者にとって経済性を確保することは難しい状況だろう。実質的に札幌市内の学校周辺・住宅地域から民泊が排除されるに等しいのではないか。
こうなると、現在違法民泊を営業している事業者は、事業から撤退するか、水面下に潜るしかなくなる。
民泊条例は施行するだけでなく、施行後の違法民泊への指導強化も伴わなければ意味をなさない。
違法民泊はAirbnbから中国系民泊サイトへ…
違法民泊はAirbnbだけでなく、「途家」「自在客」「住百家」といった中国系の民泊仲介サイトにも登録されている(次図)。
途家(253件)の登録件数はAirbnb(2,520件)の1割。今後、Airbnbに登録されている物件が中国系民泊サイトにシフトしていくのか、経過観察要。