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京都市の民泊条例案、マンション住民への影響が大きい5つの論点

京都市は10月25日、有識者会議において、民泊は観光閑散期の1~2月に限定し、60日程度に営業日数を制限する方針案を提示。

同会議で京都市が提示した論点は10。このうちマンション住民への影響が大きそうな5つの論点を整理してみた。


もくじ

京都市の民泊条例案、民泊は観光閑散期の冬限定(日経記事)

京都市は10月25日、有識者会議において、民泊は観光閑散期の1~2月に限定し、60日程度に営業日数を制限する方針案を提示した。

京都市の民泊条例案、金閣寺や南禅寺周辺など1~2月限定

京都市は25日、住宅に旅行者を有料で泊める民泊で市独自のルールを検討する有識者会議を開き、金閣寺や南禅寺周辺など市中心部を外れた住宅密集地の民泊は観光閑散期の冬に限定する方針を示した。この地域での過度の民泊増加は住民の生活環境に影響を及ぼす恐れがあると判断した。これらを踏まえ11月4日に独自の条例の骨子案を示す方針だ。
(中略)
京都市は市街地を取り囲む東山、北山、西山の「三山」の麓一体を「住居専用地域」に定め、店舗や宿泊施設の立地を制限している。民泊は観光閑散期の1~2月に限定し、60日程度に営業日数を制限する方針だ。(以下略)

(日経新聞 10月26日)

京都市検討会での10の論点

10月25日に開催された「第2回京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議」で配布された資料5「論点(京都市における民泊の考え方」(PDF:1.2MB)には、次のように10の論点が整理されている。

1 御議論いただきたい論点

  • 住居専用地域における規制
  • 対面による本人確認
  • 共同住宅における取扱いについて
  • 京町家の保全・活用と安全確保

2 御確認いただきたい事項

  • 管理者の駆け付け要件
  • 事業計画の事前説明・周知
  • 無許可営業物件及び新築家屋の取扱い
  • 営業者等の要件等
  • 衛生の確保
  • 適正な廃棄物処理
  • 共同住宅
  • 利用者に対する啓発

これら10の論点のうち、マンション住民の関心高そうな5つの論点(上記黄色マーキング項目)を以下に抜粋してこう。

筆者の雑感(※印)も記しておいた。

【論点1】住居専用地域における規制

生活環境の悪化の防止の観点から、住居専用地域においては民泊の営業を1~2月(約60日間)に限定する。

【検討案】生活環境の悪化防止を目的とした営業日数の制限
(案)住居専用地域のみ、1~2月に限定して営業を認めるのはどうか?(約60日)

  • 京都市の住居専用地域は、住宅と観光地が混在しており、無秩序に民泊が乱立するおそれが高く、生活環境の悪化につながるため、営業日数の制限が必要。ただし、住宅宿泊事業法の目的等を踏まえると、完全規制を行う必要性までは認められないため、必要最小限の措置として、観光閑散期以外である3月から12月までの期間について営業制限を行う。
  • また、住居専用地域以外の地域についても、実施期間の制限が必要か検討を行う。

※民泊新法(住宅宿泊事業法)の営業日数上限180日に対して、さらに60日に半減させるという大胆な提案。これが条例化されると、他の自治体に及ぼす影響が大きいのでは。

【論点2】共同住宅における取扱い

不特定多数の人間が出入りすることによるセキュリティの低下をどうするのかが課題。

【検討案】共同住宅において以下のようなことを求めることはできないか。

  • 駆け付け要件を厳格化し、通常よりも厳しいものとするのはどうか?
  • 共同住宅の入口部分などに営業している部屋番号などを提示させることはできないか?
  • 共有部分の使い方について宿泊者に対し周知徹底を行うことはできないか?
  • 住人に対し、いつ、何人が宿泊に来るのか、周知させることはできないか?
  • 宿泊者に対し、施設内(居室を除く)において、ゲストパスを携行させることはできないか?
(以下略)

 

【メモ】駆けつけ要件

  •  (案)営業者には原則として施設に常駐することを求め、営業者が常駐できない場合は、速やかに駆け付けられる範囲に営業者又は管理者を駐在させる。
  • 現在、玄関帳場の設置を免除している京町家の簡易宿所について、20分以内に駆け付けられる管理体制を求めている。

※ホストは原則常駐、駆けつけ要件(20分以内)が厳格化されると、現在の違法民泊の多くは撤退せざるを得なくなるのでは。

【論点3】無許可営業物件・新築家屋の取扱い

民泊専用の投資型マンションの乱立防止や営業日数の確認(宿泊客か居住者かの判別)が課題。

【検討案】

無許可営業を行っている施設・営業者への対応
  • (案)届出において、当該施設において一定期間無許可営業を行っていない旨の誓約書を提出させる。
    ⇒ 本市のルールを遵守するよう求め、法に則った事業運営を行うことで、地域と調和した安心安全の確保を図る必要がある。

新築物件の取扱い
  • (案)届出の対象となる「入居者の募集が行われている家屋」への該当性の判断基準として、届出以前に入居者募集が行われていた期間(建設中における募集期間は含めない。)を設定する。
    ⇒ 新築物件は、入居者の募集を行うことを届出要件とすることで、民泊専用の投資型マンションの乱立を防止する。

住宅宿泊事業法の届出施設において賃貸契約がなされている期間の把握
  • (案)事前の届出は義務付けず、2ヶ月に1回の定期報告の際に、事後的に賃貸営業の期間等について報告するよう求める。

※「新築物件は、入居者の募集を行うことを届出要件とする」が条例化されると、京都市内では民泊専用のマンションは建てられなくなるのでは。

【論点4】共同住宅

管理規約の改正や管理組合の総会・理事会決議が民泊新法の施行に間に合わなかった場合の対応として、管理組合に禁止する意思がないことを確認したことを証する書類の提出を民泊事業者に求めている。

【検討案】
分譲マンションにおける管理規約によらない居住者合意の確認

  • (案)管理規約に民泊が可能であることが明記されていない場合は、管理組合に禁止する意思がないことを確認したことを証する書類の提出を求める。
    ⇒ 住宅宿泊事業の実施において、権原の確認を行う必要がある。

賃貸マンションにおける営業要件の設定

  • (案)契約書等により所有者等が同事業の営業を認めていることを証する書面の提出を求める。
    ⇒ 住宅宿泊事業の実施において、権原の確認を行う必要がある。

※民泊禁止条項の規約制定が間に合っていない分譲マンションや賃貸マンションで民泊を営むために、管理組合や大家からの同意を得なければならないという規定は、民泊事業者にとってかなりハードルが高そうだ。

【論点5】利用者に対する啓発

宿泊施設と地域住民との調和や違法な宿泊施設の拡大防止を図ることとしている。

【検討案】迷惑行為の抑止
(案)宿泊観光地に係るマナーを明示する。
(例)

  • 早朝、夜間に、旅行かばんを引く音などの迷惑な騒音をたてないこと。
  • 大声、大きな物音などで、周辺に迷惑をかけないこと。
  • たばこの吸い殻やごみのポイ捨てをしないこと。
  • 施設の周りに、きまりに反したごみ出しをしないこと。 など

【検討案】違法な宿泊サービスの抑止

  • 宿泊者が違法な宿泊サービスの提供を受けないよう求める。
  • 宿泊者から本市のルールを守れていない民泊施設の通報等の奨励

※「迷惑行為の抑止」として例示されている「大声、大きな物音などで、周辺に迷惑をかけない」や「たばこの吸い殻やごみのポイ捨てをしないこと」などは、マンション住民にとっては常識的なことばかりである。

雑感

京都市が提示した10の論点のうち、マンション住民の関心高そうな5つの論点に対する雑感は以下の通り。

  • 民泊新法(住宅宿泊事業法)の営業日数上限180日に対して、さらに60日に半減させるという大胆な提案。これが条例化されると、他の自治体に及ぼす影響が大きいのでは。
  • ホストは原則常駐、駆けつけ要件(20分以内)が厳格化されると、現在の違法民泊の多くは撤退せざるを得なくなるのでは。
  • 「新築物件は入居者の募集を行うことを届出要件」が条例化されると、京都市内では民泊専用のマンションは建てられなくなるのでは。

  • 民泊禁止条項の規約制定が間に合っていない分譲マンションや賃貸マンションで民泊を営むために、管理組合や大家からの同意を得なければならないという規定は、民泊事業者にとってかなりハードルが高そうだ。
  • 「迷惑行為の抑止」として例示されている「大声、大きな物音などで、周辺に迷惑をかけない」や「たばこの吸い殻やごみのポイ捨てをしないこと」などは、マンション住民にとっては常識的なことばかりである。

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