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羽田新飛行ルート問題|品川区議会11件「不採択」

品川区議会で7月12日に開催された「行財政改革特別委員会」では、羽田新飛行ルート関連11件の請願・陳情審査がすべて「不採択」であった。

同会議の議事録(PDF:362KB)が2か月経ってようやく公開されたので(遅っ!)、ひも解いてみた。


もくじ

 「不採択」になった11件の請願・陳情審査とは

11件の「請願・陳情審査」の件名はよく読むと、微妙に違うことが分かる。

  • 【平成27年請願第14号】羽田空港の増便計画による品川・八潮上空の飛行中止を求める請願

  • 【平成27年請願第15号】大型旅客機が品川区上空を飛行することに反対するよう求める請願

  • 【平成27年請願第16号】大気汚染と環境破壊を進める大型旅客機が品川区上空を飛行することに反対する請願

  • 【平成27年請願第19号】羽田空港の増便により大型旅客機が品川区上空を飛行するルート案の撤回を求める請願

  • 【平成27年請願第20号】羽田空港増便にともなう品川区上空への新飛行ルート設定に反対する請願

  • 【平成28年請願第7号】羽田空港増便計画による「航空機の都心飛行、品川上空の低空飛行ルート計画」を強行しないよう求める請願

  • 【平成28年請願第8号】住民の理解が得られない中、平成29年度予算概算要求に、新ルート費用を入れないよう品川区として政府に求める請願

  • 【平成28年請願第18号】国交省の羽田空港増便計画による「航空機の都心飛行、品川低空飛行ルート計画」の白紙撤回を求める請願

  • 【平成29年請願第 4号】羽田空港機能強化による品川区低空への新飛行ルートについて、品川区、都が独自に説明会を開くことに関する請願

  • 【平成28年陳情第11号】国土交通省の首都圏空港機能強化による羽田空港増便の環境と住民の健康への影響について、品川区、東京都と国土交通省が調査・検証することを求める陳情

  • 【平成28年陳情第12号】住民の不安を受け止めて環境影響評価の実施を求める陳情

品川区議会の議論をひも解く

公開された「行財政改革特別委員会」の議事録は32頁とボリュームたっぷりなので、興味深いところだけピックアップしておいた。

「国の説明は全く丁寧にされていない」

安藤委員(共産)から「国の説明は全く丁寧にされていない」という、モリカケ問題のような指摘。

【安藤委員(共産)】

(略)まず前提としましては、全戸配布などは行われていない。ポスターも張られていない。教室型説明会は何度求めても全く応じないなど、国の説明は全く丁寧にされていないということが、まず前提としてあります。

しかし、区の言うように丁寧に説明された場合でも、区民の不安は払拭されるのかなという思いもあります。

区民の不安を払拭するような丁寧な説明というのは、一体何を指しているのか、伺いたいと思います。

 

【計画課長】

(略)どこまで説明をするか、可能な限り説明をするというところは、区が求めているところでございますけれども、こういったところは、国が国の責任において判断するべきものというふうに考えております。

飛行時間帯の枠(午後3時から7時)が拡大される!?

飛行時間帯の枠(午後3時から7時)が拡大されることはあるのか?

計画課長は、国に対して「情報を求めているというところ」だという。

【石田委員(共産)】

(略)品川でも、今の計画では、午後3時から7時ということで言っていますけれども、需要によっては飛行時間の拡大を検討することも国交省は否定をしていません。(略)、飛行時間拡大もあり得るという認識はあるのか、伺いたいと思います。

 

【計画課長】

(略)この飛行時間の拡大につきましては、今外国の空港の関係、時差の関係などで、この枠が便を増やすためには効率がいいというところで提案をしてきているというところでございますので、現在これについて、区としては情報を求めているというところでございます。

区民の不安ワースト4は…

区民の不安ワースト4は「騒音、そして墜落事故の危険、落下物、資産価値の低下」だという。

【石田委員(共産)】

(略)私たち共産党が取り組んできたアンケートでは、騒音、そして墜落事故の危険落下物資産価値の低下。これが区民の皆さんが持っている不安のワースト4です。

これを払拭するために必要な情報を集めて、可能な限り不安を払拭して丁寧な説明をする。それでこの不安が取り除けるというふうに本当に思っているのですか。伺います。

 

【計画課長】

今、国から示されたこの案について、具体的な対応策などがまだ十分に出てきていないこと。これはもう委員ご指摘のとおりでございます。

したがいまして、今はまだ必要な情報、対応策。こういったものを、さらに具体的に国が示すべきだというふうに考えております。(略)

実際の飛行騒音を体験!?

実際の飛行騒音を体験するために、伊丹空港まで出掛け、品川に相当する位置で騒音測定したという渡部委員(自民)。

ここはVR技術を活用してほしいところである(モデルルーム不要!?『マイクロソフト ホロレンズ』 )。

【渡部委員(自民)】

(略) 実際例えば頭上を飛行機が飛ぶのがどういう感覚なのかというときに、当然真上を飛んでいるのは、見たことがございませんので、どういうものなのか。

地理院の出している地図を買って、(伊丹空港で)精密に距離を測って空港から何メートルのところ。品川に当てはめたらどういうところというのを、地図のポイントまで落として、そこに騒音測定器を持って、実際全員で体験しました。(略)

「不採択」の理由

各会派の賛否は、次表のとおりである。

「自民党・子ども未来」「公明党」「民進党・無所属クラブ」の反対多数で「不採択」となった(次表)。

各会派の賛否

「不採択」とした、自公、民進の理由は以下のとおり。

自民:「お門が違う」

【渡部委員(自民)】

(略)実際飛ぶ飛ばないという議論になりますと、そういう問題ではないというところの話に入っていってしまうので、今回この請願・陳情については、1個1個細かい違いは確かにあったりするのですが、区ないし都が説明会を開くようにという話がございましたけれども、それはそもそもお門が違う話でございまして、説明会はあくまで国が開いていかなければならないものでありますので、しっかりとそこは国に伝えていくということを要望しておきたいと思います。

結論を申し上げます。11本全て不採択でお願いいたします。

公明:「現時点で結論を出すということであれば、不採択」

【若林委員(公明)】

1本除いた10本は継続ということで、先ほど態度を表明いたしましたけれども、結論を出すということですので、態度としては、あえて現時点で結論を出すということであれば、不採択でございます。(略)

民進:「意見書と同じ内容の事柄も含まれている」

【松永委員(民進)】

(略)今回の請願・陳情に関しまして、意見書と同じ内容の事柄も含まれているのではないかと考えております。

そうした理由から、我が会派では、今後とも議会で議論し、国に対し、騒音、落下物やその他の事故の可能性についての説明を、教室型説明会を含めて行うよう意見を求めていきたいと考えております。(略)

雑感

委員会は午前中に11件の「請願・陳情審査」が書記により朗読された後、昼の休憩をはさみ、13時10分に再開(閉会は15時18分)。

審議に入る前に、写真撮影の許可をどうするかで、時間を空費。

安藤委員(共産)の「審査中でも自由に写真撮影してよい」に対して、渡部委員(自民)の「審議に入る前のみ写真撮影を認める」の意見のやり取り。

採決の結果、賛成少数(3人)ということで、自由撮影が却下された。

このようなアホらしい議論のやり取りは、写真といわず、ぜひネットで中継してほしいものだ。

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